この冬、単独大物猟を始める人の為のTODOリスト

最終更新日

「次の冬から大物単独猟を始めるんだ」という人が猟期までにやっておくべきこと、考えておくべきことをリスト化してみることにしました。

「鳥猟はやってた」「グループ猟はやってた」という人も対象ですが、主に「本当に狩猟を始める1年目」をイメージして書いています。

経験者の方は「これもやったほうがいいよ」という項目があればぜひ教えてください。追記していきます。

 

猟場探し編

  1. 前猟期のハンターマップを入手し、候補地を洗い出す
  2. Googleストリートビューや衛星写真を見て候補地を絞り込む
  3. 現地を車で回り、駐車場所や入山ポイントを見つけていく
  4. 良さそうなポイントから実際に入山し、獲物の痕跡を探してみる(特に秋からの時期に痕跡を見つけられるといいかも)
  5. ほかのハンターの痕跡にも要注意。痕跡が多いなら避けた方が無難かも。
  6. 実際に獲物を見つけてみる

 

【参考記事】

猟場探し:新しい猟場を捜しに行ったので、そのプロセスをまとめてみる
天気が悪くても猟場探し:車から降りない猟場探しだって楽しい

狩猟のイロハ編

  1. 獲物を撃つときの狙点を調べて、自分なりに狙点を決める
  2. いろんな角度の獲物に対して狙点をイメトレ
  3. 獲物を見つけてから撃つまでの段取りをイメトレ(バックストップの確認、安全確保、弾の装填、照準確認、発砲、脱砲)
  4. YouTubeや書籍で解体方法を調べてみる
  5. できたら解体方法を誰かに教えてもらう

 

ちょっと補足説明をします。

狙点については、もちろんその場その場で最適解が異なるのは百も承知ですが、初心者の1頭目なんかだと、いざ獲物を目の前にして、狙いを悩む時間なんてありません。数秒あればいい方です。そこで「基本は心臓、前脚の付け根手前」みたいな感じで、決めておくと迷いが減ると思います。基本はバイタル、と決めた上で「いや、ここはヘッドショットだな」と最適解を考えます。

解体については「やりながら勉強」で良いと思います。ただ、何も知らないと途方に暮れるかもしれないので、最低限の手順は調べておくと便利です。YouTubeでも解体動画は出回っているので、気に入った人の手順を丸暗記するのもありです。

もし頼れる人がいるなら、解体を見せてもらうとか、手伝わせてもらうのもよいですね。それができるなら、最高だと思います。

撃つまでの段取りについては、猟場探しで山を歩くときに「ここで獲物がいたらどうするか?」をシミュレーションするといいです。

「ここなら、横の木に依託すると良さそう。あ、でもバックストップが微妙だな。もし獲物がもう少し前に歩いたら安心して撃てるな」とか考えてみるといいです。わたしは実際の猟でも「もしあそこに獲物がいたら撃てるな」「あそこだったら撃てないな〜」みたいなことを考えながら歩くこともあります。

 

銃の取り扱い、射撃練習編

  1. スキートかトラップ射撃に何度か行ってみる
  2. スラッグ射撃で立射・膝射の練習
  3. 動的射撃を1度で良いので撃ってみる

お金と時間がかかるので、どれくらい射撃練習に費やすかは人それぞれになると思います。でも、個人的には「初めてスラッグを撃つのが山」っていうのは避けた方がいいと思います。反動が大きく、フォームが悪いとケガをします。

少なくとも「スラッグってこんな感じの衝撃がくる」ってことを把握するだけでも違うと思うので、せめて1度は撃ちに行くべきだと思います。

また動的射撃は難しいんですが、銃を振りながらスラッグを撃つという経験はきっと猟の現場でも役立つはず。下手でも良いので、1回は撃ちに行きましょう。秋頃になるとSNSでも「動的やるけど参加者募集〜」という告知を流してくれる有志が出てきます。ぼくもそういう情報はシェアすることがあるので、ぜひフォローしてみてください。

 

【参考記事】

行ったことがない人のための「射撃会の1日」を紹介

道具編

  1. 本・ブログ・SNSなどでほかのハンターたちの道具を見てみる
  2. 身近にハンターがいるようなら、意見を訊いてみる。地元の人の意見が1番
  3. 初年度は代用できるものは代用し、「やりながら揃えていく」の精神をもつ
  4. 獲物の解体・回収の入念なイメトレを行い必要なものを洗い出す(現地解体?車に積む?背負う?滑車?ロープ?肉を入れる袋?車に獲物を積める?肉はクーラーボックス?)

「道具はこれを揃えればOK」と書くのは難しいです。猟のスタイル、環境などで変わってきます。大事なことはイメージすること。

たとえば猟場探しをしているときに「ここで獲れたとして、回収をどうするか?」とイメージしてみることがとても大事。

引っ張って帰る? 背負って帰る? 解体して枝肉にして帰る? その場合の残滓の処理は? 肉の背負い方は? 衛生的な解体は?

すべてを完璧にこなすのは最初は大変だし、いきなり完璧にはいかないです(ぼくはいまだに模索しています)。ただ、一応の仮説として「おれはこうやってやる」という方針を持っておくと、自ずと道具も見えてきます。

 

【参考記事】

単独忍び猟における肉の持ち帰り方を整理してみる

人間関係編

  1. SNSでもリアルでも良いので、相談できる先輩が見つける
  2. 射撃場で他のハンターと知り合う
  3. (入るなら)猟友会の集まりなどに参加して顔見せしておく

ひたすら一匹狼でやる人もいます。でも、ちょっと相談できる人がいると安心です。人間関係が苦手な人には億劫かもしれないけど、お互いに顔を合わせておくと何かとメリットがあるものです。

べったりしなくてもいいので、お互い顔を知ってる仲間を作ることはわりと大事だと思います。

 

手続き編

  1. 猟友会に入会しておく(入会しないなら、各種手続きを自分で調べて洗い出しておく)
  2. 時期が来たら狩猟登録をする

猟友会に入るなら、手続きは半自動的に進んでいきますので、あまり心配はいりません。入らない場合は、そのあたりを自分で調べて切り拓く努力とセンスが必要でしょう。

唯一の注意点は早めに猟友会に入ることです。本州だと猟期が11月15日のことが多く、狩猟登録はたしか10月くらいから動き始めるのかな、と思います。その頃になって慌てて猟友会に入ると、猟友会側も「急に言われると準備できないよ〜」となりかねません。

さっさと入会の意思を伝えておきましょう。

 

いただいた追加のご意見

Twitterでいただいた「これもやったほうがいいよ〜」という意見を挙げておきます。

まずはこちら。

これは本当に大事です。狩猟を始めるからには「狩猟を始めること」の同意は獲れていると思いますが、おそらく家族は、家で何が起こるかを想像できていません。

ツイートにある通り、毛皮がついていると一般の人にはハードルが高いです。風呂場で解体する人もいますが、これも家族の同意が必要。「庭ならOK」とか「毛皮がなければOK」とか、線引きの同意は得た方がいいです、絶対。

 

次はこちら——

貰い手がいると、獲った肉の処理には都合が良い場面もありますね。とはいえ、これから始める人という意味では恐らく処理も下手な状態であげるのはあまりおすすめしません。ヤバい肉を渡してしまい、「も、もういらないよ、ありがと」みたいに疎遠になっても困りますしね。

でも、そういうのも含めて楽しんでくれる仲間がいるならアリかもしれません。それよりも、肉の保存方法についてはよく考えておいた方がいいですね。家庭用の冷蔵庫の冷凍スペースなんて、あっという間に埋まりますから。

 

良い狩猟には良い準備

良い狩猟がしたければ、準備が大切です。

猟期は3〜6ヶ月しかありません。準備ができていないと最初の1〜2ヶ月は平気で無駄にします。獲物を獲ることがすべてだとは思いませんが、やっぱり獲りたいわけです。準備不足でチャンスをみすみす逃すなんて避けたいですよね。

 

ほかにも「これは事前にやっておこう」ってポイントがあれば、ご指摘ください。必要なら加筆します。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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