単独猟日記:シカ笛で大きなオスジカを目の前まで引き寄せる

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獲物を獲らないのに、ちゃんと猟に行っているのはなぜか? 獲らないと獲らないなりに得ることがあるんですよ。もちろん獲ったら獲ったなりに得ることもあります。その「獲らないからこそ得られるもの」の1つは獲物を見る機会だと思っています。

なにしろ単独猟だと1頭獲ったらもう終わりです。朝早く獲れれば2頭目をがんばることもありますが、それも残った体力次第だったりします。獲物を獲らなければ延々と獲物を探し、見て、観察できます。

そういう経験から「シカはこの辺りによくいるな」という場所を見つけたるするのが楽しいですね。きっと来年以降、この経験が生きてくるはずです。

狩猟の朝は目覚ましより早く起きる

仕事の朝は目覚ましが鳴っても目が覚めないというのに、狩猟の朝は目覚ましの10分前には目が覚める。それだけでどれだけ狩猟を楽しみにしているかがわかります。

うちの親父も日曜日なんか放っておけば14時くらいまで寝てるタイプの人間なんですが、釣りと狩猟の朝だけは誰よりも早く起きて、いつもは母親に作ってもらうだけの珈琲をしっかり自分で淹れて飲んでたりするんで、血は争えないってことなんでしょう。

 

林道に入るとシカがうろちょろしています。まだ数少ない経験ですが、こうして林道でウロウロしているのはメスが多いですね。オスもいるにはいるけど、少ない上に、メスより本気で逃げます。写真を撮らせてくれませんね。

 

こちらは親子のメスジカ2頭でしょうか。かわいいですね。

 

さて、猟場にしている場所に着くと、笹藪から音がした気がしました。

音といっても本当に気のせいレベルの微妙なもの。でも気になったのでジッと待つことにします。30分待っていたところ、下の写真のシカが笹藪から出てきました。シカの忍耐力と、動かないと決めたときの「動かない能力」には目を見張るものがあります。30分、これだけ濃い笹藪の中にいて、1度も音をたてませんでしたからね。

 

食べるのに手頃なシカだし、林道も近いので回収も楽。ということで、撃とうかと思ったのですが、やっぱり見送り。もっとシカを見たい!

シカはばれていないつもりなのか、ソッと静かに逃げていきました。その数分後に現れたのが、別の親子のメスジカ。先ほどのシカから100mほど離れた笹藪の中に隠れていたようです。

子どももちゃんと固まって音をたてずに耐えていたんですね。すごい。先ほどと同じ理由で見送り。

もしこの2頭を獲りたければまずは親ですね。子どもは親から離れないことが多いため、仕留められる可能性が高いです。ただし、もし仕留められないと、親ジカを解体している間、ずっと子ジカの鳴き声を聞くことになります。けっこう切ない声なので、オススメしません。無慈悲なようですが、獲るなら両方、と思うようになりました。

 

休憩は笹の葉茶

疲れているときは砂糖の入ったインスタントココアなんかを飲むんですが、そうでもなければその辺の笹の葉をむしって煮れば笹の葉茶になります。

 

ちゃんと作るなら笹の葉を乾燥させて、煎らなくてはいけませんが、即席なので気にせずむしった葉で淹れます。

お茶は何でもそうですが、煮すぎるとえぐみがでます。笹の葉は普通のお茶みたいにがっつり色はつきませんので、ついつい煮すぎてしまうんですが、色がつかないくらいで葉を出した方がおいしいです。

参考:山賊ダイアリーでも飲まれていた “笹の葉茶” 作りに挑戦

 

オスジカ現る

笹の葉茶で休憩していた場所で、シカの鳴き声が聞こえてきました。ラッティングコールと呼ばれる鳴き声です。

ちなみに「鹿」は秋の季語。秋になるとこのメスを求めるラッティングコールが鳴り響くからですね。さらに「孕鹿(はらみじか)」とする場合は春の季語。妊娠の時期ですね。

ここでオスジカの鳴き声に応えるようにシカ笛を吹いてしばらく待つことに。こういうとき笹の葉茶がありがたいですね。お茶を飲みながら鹿を待ちます。

すると、遠くにいたオスジカがずいぶんと近寄ってきて、鳴くじゃありませんか! その迫力はなかなかの物です。ここからの一部始終はyoutubeにアップしたのでごらんください。気の短い人は、最後の30秒くらいだけでもご覧ください。オスジカが目の前に姿を現します。

 

いや〜、このオスジカは今日のハイライトでしたね。家に帰ってからも、この動画を何回も見ました。妻にも子どもにも見せました(子どもは1歳4ヶ月なんでわけ分かっていませんが、最初のラッティングコールで興奮してました。ふむ)。

それほど大きな喜びでしたね。

これも最初のメスジカを撃っていたら出会えなかったオスジカでした。撃つも撃たないも正解はありません。どちらもそれ相応の喜びがあるでしょうし学ぶこともあるはずです。今日はこれでよかった、とわたしは大満足です。

 

ターハント……美しい……

それにしても、ターハント美しいですね〜。異論は認めません。頬付けしたときの頬の感触がすべすべして気持ちいいのです。ウッドストック(木銃床)が大好きなわたしとしては、これまた大満足の銃です。

また、今年から使い始めた帆布のサブザックも大活躍。今のところ大満足です。これはそのうち実戦投入レビューをしなくてはいけませんね。

 

オスジカで満足したのでこの日は終わり。帰り道、シカの多い場所を1ヶ所だけ覗いていこうと、寄り道すると案の定メスジカがいました。ソッと忍び寄ると、こんな感じでこちらを見返していました。

 

少し涼しくなってきたかな

雪虫が飛んでいました。雪虫が飛ぶと1週間そこらで雪が降ると言われています。この時期、仮に降ったとしてもすぐに溶けてしまうのでしょうけど、もしかしたら少しは笹を倒してくれないかな……。

結局、いまは笹が少ないところ・低いところを歩くしかないので、長時間歩ける場所がありません。

車を止めて 15〜60分ほど歩き、車に戻る。それを数ヶ所繰り返すという感じです。流し猟とは違いますが、やってる自分としてはそれに近い感覚ですね。わたしは歩く猟が好きなんです。だからちょっと物足りない。

雪が降ってくれればその状況が変わると信じて楽しみにしています。雪は雪でいろいろ苦労するのでしょうけどね。

では、雪虫のジンクスに期待します。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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