単独忍び猟で大切なことは「獲物のいる場所を知っていること」
自分もまだまだぺーぺーですが、忍び猟で獲物を獲る上で重要なことは1つに集約されるように感じています。
少なくとも自分の場合は、その「1つのこと」で獲物に近付いたり、遠ざかったりしました。
歩き方、撃ち方、服装、匂い……そういうこだわりも、その「1つのこと」ができて初めて価値が出ることだと思っています。
『獲物のいる場所』
大切なことっていうのはタイトルにもある通り「獲物のいる場所を知っていること」に尽きると思っています。
イメージ図を手書きで書いてみました(ちゃんとパソコンで作ればいいのにね。字が汚くてごめんなさい)。
ぼくも最初の頃はなにも分からず延々とソーッと歩いていました。周りをよく観察し、音をたてないように足下に集中し、音の出にくい服装や荷物の携行方法にも気を配っていましたね。でも、8時間も歩けば集中力はカラッカラに切れ、帰り道は疲れて集中もできず、そういういときに限って、シカが現れて逃げられて、さよーならーってな具合でした。
まず「この辺りにシカが多いよね」みたいな勘所があり、その一帯のどこかにいる獲物を探すためにSLLS(Stop, Look, Listen, Smell)に取り組む。気取られないように静かに歩き、音の出にくい服を選ぶ。そして獲物がいたら、日頃練習していた射撃の技術で仕留める。
まずは「獲物がいる場所」を知っていることが重要だと思うんです。
でも、ぼくも含めて、忍び猟のノウハウや学びをブログなどで発信しようとすると、どうしても伝えやすいことである、SLLSやら歩き方やら道具の選び方が先に来てしまう気がします。
そして獲物のいる場所はネットでは教えられません。
それだけは自分で探さないといけないわけです。
獲物のいる場所は足で探すしかない
じゃあ、お前はどれだけいる場所を知っているんだ? と言われれば、口ごもってしまうのですが、それでも自分の通っている山であれば、わりと自信を持って「この辺りは多いよ」ってことは言えます。
もちろん予想もしなかった場所に、たまたま通りがかったシカがいることもあります。
「ここにいるのかよ!」
と驚くこともあります。そういうときは自分の負け。それでいいと思っています。
何度も何度も歩いていると、「ここはよく見かけるな」「足跡がいつも新しいな」といういことが分かってくるので、そこにアプローチするときこそ、最高の注意力を発揮し、逆に言えばそれ以外のところでは注意力なんて半分くらいまで落とします。一応、ゼロにはしないですが、緩急は確実につけています。
この「獲物のいる場所」は歩いて探すしかないと思っています。
極端に言えば、「いる場所」がわかるまでは早足でいいのでは?
これは、ぼくが実際にやっていることではあるのですが、新しい山域を開拓するときは、仮に猟期で鉄砲を持っているとしても、集中力はかなり下げて、早足で元気よく歩いていたりします。クセで少しは音に気を使いますが、でも気遣いレベルは10%くらいです。
「それで気取られて逃げられてもいい」
という考えです。逃げられれば音で「ああ、いたんだ」ということがわかりますしね。そうやって何度か歩いている中で「いる場所」が少しずつ分かってくることもあります。
そうしたらしめたもので、その場所にアプローチするときに120%の集中力で挑むんです。
足跡を追うスタイルの場合も考え方は同じ
積雪期なんかは足跡を追うスタイルで獲ることが多くなります。
そういうときはエリアとして「ここは多いよね」という感覚とは別に、「足跡から読み取って獲物がどれくらい先にいるか?」を読む感覚が大事になります。
足跡がすっごく新しく、いつ追いついてもおかしくないときは最大限の注意力で追いますが、ちょっと前だと思われるときは、むしろ早く追いつけるように注意力を下げ、ペースを上げたりします。
強調しておきますが、足跡を絶対に読めると言っているわけではなく、一応自分なりにそういう緩急をつけて取り組んでいる、というだけの話です。その読みが外れて、まだ遠いと思っていた獲物が近くにいて逃げられてしまうこともありますが、それはやはり負けだと思っています。
獲物の多い場所を探すことが狩猟の醍醐味
この獲物の多い場所を見つけることこそ、狩猟の醍醐味だと思っています。
なんというか、そこが要所であり、それこそが狩猟である、とさえ思っています。巻狩の人の話を聞いていても「見切りが大事」という言葉を聞きます。これもまさに「獲物がいる場所」を読む工程でしょう。
なかなか獲物が獲れないなら、「いる場所がわかっているか?」を自問してみてもいいかもしれません。
余談ですが、この「いる場所」が季節によって変わったりするんですよね〜。
今までいた場所からいなくなっちゃったりして、困惑することもあります。それも含めて狩猟のおもしろさだと思っています。
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