単独猟日記:獲物を獲ることと肉を獲ること

最終更新日

前回の単独猟日記で「なんだか猟欲が湧かず悶々とした」というお話を書きましたが、それは相変わらずで焦って獲る必要もないだろうと、一眼レフカメラを持って写真優先で猟に出ることにしました。

夏の間に猟場の下見をあんまりやれていないので、それをやる感じですね。そしたらすごく獲物が沢山いて、写真撮影が捗りました。

猟場に向かう中で見る朝日

狩猟で「好きな瞬間」は色々ありますが、その代表が「猟場に向かう車で見る朝日」ですね。こういう景色を見ると「こうしている今も、山には動物がいて、これから行動を始めるんだろう」とワクワクした気持ちになります。

この朝の雰囲気が好きなので、朝、のんびり遅い時間に出猟する人の気持ちが分からないのが正直なところです。もったいないですよ。前に巻狩に参加したとき、集合が9時と言われ、着いたら陽も昇ってるし、なんなら暑いし、「情緒がないナァ」と残念に思ったのを覚えています。

出猟は日の出前に家を出て、日の出と共に到着するくらいがちょうどいい!

 

朝焼けと同じくらい、朝靄もいいですね。好きです。

 

こんな景色を見ながら、車から鉄砲を降ろし、リュックを背負い、山に入るときの気持ちはもう……最高です。

 

最初にお出ましの鬼のようなオスジカ

最初に現れたのはこちらのオスジカです。なんか角が未発達!? 皮が剥けてないってこと? ほかのオスはみんなもう白い立派な角になっているというのに。なんか鬼の角みたい。

 

ちょっと場所を変えると、こちらにまったく気が付いていないメスジカが一生懸命に餌を食べていました。

 

そして、次に向かったのは針葉樹林。植樹されたエリアです。

ここはシカが多いのを知っていたので、ソーッと入ります。すると近くでいくつかの物音が。静かにこっそり近寄ります。この一帯に何頭もシカが入っているので、音の質が「シカっぽければ」逃げません。だって、シカが沢山いて、お互いが見えていない状態です。それぞれが音を出しているので、音がする度に逃げていてはキリがないのでしょう。

こういう場所では音の質が大事。静かに、ペースを落とし、シカになったつもりで歩きます。そしたらこんなシカが立っていました。

 

このシカはこちらを向いていますが、わたしは実は木の陰に隠れていますので、認識できていません。しばらく睨み合いになりました。どうですか? 4段角ですよ。立派ですね〜。これはさすがに撃ちたいな〜と思いましたよ。そのうちこのオスジカもそそくさと逃げていきました。やっぱり匂いか何かで気取られるんでしょうね。

逃げられてもしつこく忍び寄っていったら、またやや離れた場所で発見。このときはさすがに撃とうと思って、弾を込めて、スコープ越しに覗いていたのですが、やっぱりやめました。

というのもね、この場所こそ笹藪が少なく見えますが、ちょっと移動したらすっごい深い笹藪なのです。本当に深い笹藪です。一度ムリして藪漕ぎしようとしましたが、進まないこと進まないこと。

もしシカを撃って、ぴったり心臓に当たったとしても、走るときは走ります。50mくらいは走る可能性があります。そうしたら深い笹藪に飛び込んでしまうかもしれません。しかもその笹藪は平地ではなく、山肌だったり、崖だったりして、回収困難になる可能性もあります。

それを考えると、そうそう撃てないんですよね〜。ヘッドショット・ネックショットが確実に当たる距離なら、それもありかな。う〜ん。本州と山の植生が違いすぎて、困惑がまだ拭えません。

 

その後、また大きなオスジカが!

いいオスジカの写真が撮れて満足していたら、また大きなオスジカが!

こちらはケンカ角が大きくて立派ですね。最初丸見えの場所にいて、わたしから逃げるように藪に飛び込んでいます。ここは藪が薄いですが、この先は壁のような藪があり、結局はそこに逃げ込んでいきましたね。

 

いい写真が撮れて満足したんで休憩します。最近はアルコールストーブでお茶を淹れて飲むことが多いです。

というのも、わたし休憩下手なんです。休むより行動したくなっちゃうもんで、放っておくと休まずにどんどん歩いてしまいます。でも体は正直でちゃんと疲れているわけでして、やっぱり休憩は取らないといけない、と。

そこでこうしてアルコールストーブでお湯を沸かして飲むというのはちょうどいい休憩になっています。

お湯を沸かし、お茶を作り、飲める程度に冷めるのを待ち、ゆっくり飲む。全部で15分くらいは休めるかな? ちょうどいい休憩です。

そういう理由もあって、魔法瓶で持って行くという選択肢は考えていません。もっと寒い季節に入ったら、頻繁に暖かいものを飲みたくなるかもしれないので、魔法瓶に移行するかもしれませんね。

ところで魔法瓶って言い方、まだします?

 

帰路も林道ではシカがたくさん。

 

親子でしょうね。

 

獲物を獲ることと肉を獲ること

前回の猟では、あまりに簡単に獲物に遭遇し、なんだか猟欲を削がれた、と書いたわけですが、今回、獲物を見ながら冷静に考えた結果、別のことが見えてきました。

たしかに「これ、簡単に獲れちゃう」という場面はありました。でも、シカって心臓を撃っても、場合によっては数十メートル走ってしまいます。もし走った先があの濃く深い笹藪の先にある谷だったら……。平地の笹藪だけでも歩くのが大変なのに、急斜面なんかに入ってしまったら簡単に回収不能、あるいは回収に長時間を要することに……。

しかもまだ気温も高いため肉を冷やすことが重要課題になりますが、沢までいくのも笹藪を越えなくてはならず、現実的じゃない場所が多い……。そうなると、いざ獲物を獲っても、回収に時間がかかり、沢に入れることもできず、肉を冷やせず下手すると肉をダメにしてしまいます。

「獲物が簡単に獲れる」ことと「肉をおいしく確保する」ことの間には大きなステップがあります。

それを考えると、けっして簡単じゃない。絶対に獲物を走らせないように獲る技術。手早い解体。すぐに冷やせる準備 or 立地。

撃つだけなら簡単に見えても、その先を考えると難しい。やはり奥が深いです。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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