単独忍び猟における肉の持ち帰り方を整理してみる

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単独忍び猟ってどこかロマンがあって、「おもしろそう」と感じる人も多いと思います。

獲物がいる場所を見定め、静かに山を歩き、忍び寄り、撃つ。どこかロマンがある、と感じる人もいると思います。

でもね、獲るのが1人なら、回収も1人です。それはやっぱり楽じゃないわけです。というか現実的に「ムリ」という人もいるはずです。

この記事では自分が見聞きしてきた範囲でのいろんな回収方法を整理した上で、ぼくのやり方を書いていきます。

動画版

動画でも同じような内容のことをお話していますので、そちらもご覧ください。おしゃべりメインなので、運転中のBGMなどにもどうぞ。

 

肉の持ち帰りを考える

最初の頃は一部を背負い、一部は手に持って運んでました。大変だし危ないのでオススメしませんが。

さて、漠然と「持ち帰り方」と言っても多種多様なので、ここでは3つのカテゴリーに分けて考えてみたいと思います。

  • 肉の処理
  • 肉の梱包
  • 肉の運搬

それぞれにいくつかパターンや注意がありますね。あとは、これらを組み合わせて自分なりの運用方法を考えることになるでしょう。

 

『肉の処理』

肉の処理はざっくりと言えば3種類に分けられそうです。

  1. そのまま持ち帰る
  2. 枝肉にバラして持ち帰る
  3. ブロックにして持ち帰る

厳密に言えば、これらのバリエーションもありますね。たとえば「枝肉にするけど、骨はいらないから脱骨して持ち帰る」みたいな。

そのまま持ち帰れば肉が汚れないという意味で衛生的です。一方ブロックにすると可食部を野外で晒すことになるので、例えば砂埃がついたり、汚れた手で触ってしまったり、と衛生面で気になる人もいるでしょう。枝肉ならば、まさにその中間だと言えそうです。そしてそのまま持ち帰って、自宅の庭など、解体しやすい場所に持ち込めれば、使いやすい道具や環境で解体できるメリットもあります。

一方、現実的にはそのまま持ち帰るのが難しい場面もあるでしょう。かなりの山奥であったり、谷底に落ちて締まったときなど、1人では手が出ないこともあるはずです。また、あまりに時間がかかれば肉の冷却に時間がかかるという問題もあるでしょう。あまりに長時間暖かいままにするのが良いとは思えませんね。

枝肉・ブロックならば肉の熱が逃げやすく、持ち帰りやすいというメリットがあります。

「どうやって持ち帰るのが1番美味しいのか?衛生的なのか?」というのは議論の余地がありそうですが、現実的には状況に合わせて臨機応変に変えていく必要があるでしょう。

 

『肉の梱包』

そのまま持ち帰るときは不要でしょうけれど、解体して持ち帰るのであれば、なにかで梱包する必要があるでしょう。

個人的には「ビニール袋だけはなし」だと思っています。やったことはあるのですが、袋の中で血や体液が出て、その中に浸かっている状態になり、いかにもまずそうな感じになりますし、熱も逃げずムシムシとしているのがちょっとイヤです。

氷点下10度のような寒い環境で、肉をきっちり冷やしてから入れるなら大丈夫かな?

ただ、それよりもオススメなのがゲームバッグです。

参考:海外の狩猟の話題でよく取りあげられるゲームバッグというものについて

通気性があり、丈夫で、繰り返し使える袋です。血や体液が出れば染み出ていきます。これならば肉が血に浸かっているなんてこともないし、徐々に乾燥していくので状態も良いように思います。ただし、ゲームバッグに入れて、それをザックに入れれば、当然ザックは汚れます(血が染み出てくるので)。また、熱を逃がし乾燥させるという意味でも、できればザックの外側に括り付けるなどして、空気にさらしておく方がいいかな、というのが僕の考えです。

たとえばこういうザックがありますね。

詳しくは商品紹介を見ていただきたいですが、これは身体とザックの間にフレームがあり、そこに肉を収納できるギミックがついています。ぼくはまだ使っていませんが、正直欲しくて、来期は導入しようかなと検討中です。

 

『肉の運搬』

そして最後に肉の運搬です。

これはザックリと「背負うか、引くか」の2択かな。

獲物をそのまま持ち帰るなら引くしかないでしょうけれど、枝肉/ブロックならば背負うことができます。

背負うなら背負うなりに、引くなら引くなりに必要な道具があるでしょうから、よく考えて用意しておかないと「獲ったものの、持ち帰るのが困難」という状態になります。

まぁ、もしも「背ロースしかとらないよ」という人なら、適当に持ち帰ればいいのでしょうけど、もっと多くの部位を持ち帰りたいなら、やはり工夫が必要になります。

「引く」ならばソリ的なものが必要でしょう。丈夫なブルーシートに包んで引くというのも見たことがあります。

背負うなら前述のミステリーランチのようなのザックであったり、普通のザックの外がに括り付けるならロープ類が必要でしょう。初めての人はよーくイメトレして自分なりの方法は考えておきたいですね。

 

さて、ぼくのやり方

ぼくは「できるだけ肉を持ちかえりたい」と思っています。1番多いときだと——

  • 後ろ足
  • 前足
  • 背ロース
  • 内ロース
  • アバラ
  • 背骨
  • 心臓・肝臓・膵臓・タン

あたりを持ち帰ることになります。さすがに何も考えてないと無理なので、季節に応じていろいろ考えます。方針は3パターン——

  • 無雪期:ザックの外側に括り付けて背負う
  • 無雪期:車がわりと近ければ車に戻り背負子をとってくる
  • 積雪期:ブルーシートバッグに包んで引いて帰る

ブルーシートバッグというのはIKEAのフラクタという商品です。

わりと丈夫なので、雪の上ならしばらくは大丈夫。だけど無敵ではないので、何度も使っているうちにちょっと傷んできています。使い方によっては短命に終わるかもしれないので、全力でオススメはしませんが、安いので試してみるのはありかな?

 

来期以降の考え

ザックの外側に括り付けるのはわりと手間なので、簡略化して、背負うのを楽にする意味でも、専用のザック(ミステリーランチのポップアップ38)を前向きに検討しています。安くないのでちょっと悩んでるんですけどね。頑丈だろうし、長く使えるならアリかな、と。

また積雪期は秀岳荘が作っているらしい「鹿肉を入れて雪の上を引くためのバッグ」があるようなので、それを導入したいとまじで思ってます。便利そうなんですよね〜。

 

——とまぁ、ある程度の数の獲物を獲ろうと思うと、回収のことは無視できない課題になってきます。

「ぼくはこうやってるよ」というご意見があればぜひ twitter@yamakuji_jp あたりで教えてください〜。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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