海外の狩猟の話題でよく取りあげられるゲームバッグというものについて

最終更新日

暇つぶしに海外の狩猟動画をよく見ます。

日本とは狩猟のスタイルも違ったり、そもそも狩猟者人口の違いから来る狩猟文化の深さ(広さ?)に驚くことも少なくありません。

それが端的に表れるのは狩猟グッズの種類の豊富さ。日本じゃ狩猟グッズを作っている会社なんて数えるほどしかないので輸入頼りだし、その輸入だってかなり限られたアイテムしか入ってこない状態。個人輸入でもしない限り、決まりきった狩猟グッズしか手に入らないのが現実のようですね。

わたしが海外の狩猟動画を見ていて「お、これは日本じゃ話題に挙がらないグッズだな」と思ったのが、今日ご紹介する「ゲームバッグ」というもの。

わたしは自分の狩猟スタイルの都合上、すごく気になっているアイテムです。

ゲームバッグ(Game bag)ってなに?

ゲームバッグとはなんでしょう? ゲームという英単語の意味を知っていないとピンときませんね。じつはこの “ゲーム = game” は英語の狩猟系コンテンツを見るために、絶対に知っておかないといけない英単語。

日本語のゲームは「試合・競技」などの意味合いになりますが、英語のゲームは、それに加えて「狩猟の獲物」という意味があります。

game

(中略)

16. 〔狩猟対象の〕動物、獲物
17. 〔狩った〕獲物の肉

alc “game” より

つまり、ゲームバッグと言えば「狩猟で得た肉を入れる袋」という意味になります。

 

わたしはビニール袋に肉を入れて、それを背負って持ち帰っています。しかしまったく満足はしていません。だってビニール袋じゃ、中に血が溜まり、肉が血に浸かっている状態になります。また、通気性もないので、乾くこともない。熱も逃げにくい。つまり湿った状態で、温度が下がらない。腐りやすい要因です。長時間持ち運ぶことが少ないのでなんとかなっていますが、衛生的にはかなり悪い。

そこでゲームバッグが登場します。

素材は色々あるようですが、総じて「通気性があり、でも虫が入らない」という売りになっていますね。

 

いくつかゲームバッグについての動画を……

あれこれ、説明する前に、英語圏の狩猟動画でゲームバッグが使われているものを挙げてみます。そのほうがイメージが湧くと思うので……。ただ全部英語です。英語が分からない人は心配なく、重要なことは次のトピック以降にまとめていきます。

こちらは「肉をザックに背負う方法」に関する動画。獣の肉が大きな袋に入っていますね。これがゲームバッグです。

こちらは「人里離れた場所でかった獲物を持ち帰るためのTips」の動画です。これぞまさにわたしがゲームバッグに興味を持った理由です。これについては次のトピックで。

最後はこちら。これはそのまんま「良いゲームバッグの選び方」です。ゲームバッグに求められている性能なんかが分かります。

 

なぜ日本では「ゲームバッグ」が話題に挙がらない?

わたしは猟歴も浅い1年生ですので、もしかしたらわたしが知らないだけで、日本でも実際はしっかり確立された方法論があるのかもしれません。しかし、少なくともわたしの耳には入ってきていませんね。日本の猟系のブログ/動画を見ていても、これが話題に挙がるのを見たことがありません。

その理由を考えてみました。あくまで想像ですが。

1.巻狩が多いから

日本は文化的に単独猟よりもグループ猟・巻狩が多いですね。小さな獲物(鳥・うさぎなど)は単独でやるとしても、大物猟はやっぱり巻狩がメイン。

で、獲った獲物はみんなで車まで引きずっていって、解体場所まで運んじゃうことが多いような気がします。少なくとも「枝肉をザックに背負い込んで何時間も歩く」という機会は多くない気がします。

 

2.車から極端に離れて猟をする機会が少ないから

じつはアメリカに親戚がいて、ハンターもいるので話を聞いたことがありますが、獲物を獲ったら、車まで3〜4時間(あるいはもっと)歩くこともザラらしいです。それどころか大物を獲ったときは「獲物から車までを4往復した」という話も聞きました。

仮に車まで2時間の場所で獲った肉を4往復して回収する場合、最後の肉が車に到着するのは14時間後です。つまり翌日になる可能性があるということですね。

14時間後というのが多少極端な例かもしれませんが、肉を3時間かけて運ぶだけだとして、その間に肉が傷まないような工夫が大事になるんでしょうね。

 

3.暖かい時期の猟もあるから?

日本で猟と言えば冬です。

想像ですが、国によっては冬とは限らなかったり、冬だとしても、日本ほど寒くないケースもあると思います。

たとえば日本の冬であれば、そんなに蚊なんかは気になりませんよね。しかし国によってはそういった虫がいる可能性もあります。その場合、その虫から肉を守るのも大事なことだろうと思います

 

単独猟をやると肉の持ち帰りは大事なテーマ

ゲームバッグに限らず、単独猟では「肉の持ち帰り」は大きなテーマになります。

  • どういうザックで行けばいいのか?
  • どうやって積めばいいのか?
  • 肉はどんな袋に入れればいいのか?

などなど……、とっても重要なことです。

 

ゲームバックというものはヒントになりそうです。

 

じゃぁ、どうすればいいのか……ゲームバッグか!

——で、考えました。どうすればいいのかなって。

そこで思い出したのが、海外の動画に出てくるゲームバッグというアイテムです。商品によりますが、さすが専用の商品だけあって、良くできているんですよ。

いろいろな会社が作っていますが、比較的よく紹介されている人気のゲームバッグはCaribou Gear Outdoor Equipment Company社の商品です。

Caribou Gear Outdoor Equipment Company

公式サイトに上げられている、特徴は……

  1. 暗い中でも見つけやすい蛍光色のタグ
  2. 口紐はガッチリ閉じて、肉の携帯中に不意に開かない
  3. 口紐などはパンパンに肉を入れても耐えられる丈夫さ
  4. コットンのように空気が通るようにデザインされたナイロン生地
  5. 洗って何度でも使える

とまぁ、こんな感じ。つまり、解体した肉をガンガン袋に入れて、木に吊しておけば空気が通るので乾燥するし、冷える。でもちゃんとした丈夫な袋なので外から汚れが入りにくい。

けっこう魅力的なアイテムだとわたしは思っています。というか、すぐにでも買いたいんですけどね。

 

安いわけではないンですけど、気になります

いろんなサイズがあり、数枚の袋をセットにした商品や、バラ買いもできます。

たとえばCaribouというモデルは6枚の袋がセットになっています。Caribouとはトナカイのこと。Wikipedia曰く、雄の成獣は160〜180kgになるので、90〜140kgになるというエゾシカよりもひとまわり大きいですね。

日本のシカやイノシシで使うならこれくらいのサイズがあれば、十分すぎるだろうと思います。

これで、価格は69.99ドル。日本円で8000円くらい。送料を考えると1万円は越えますし、営利企業が輸入販売すれば1.5万くらいになっちゃいそうな商品。ちょっと数が売れるとは思えないですよね。だからこそ、日本じゃ取り扱いがないんでしょう。

 

しかし、単独猟で、しかも巻狩の人たちが入らないような奥地を猟場にする自分としては、肉の持ち帰りは重要なテーマでして、本当に気になっています。

単独猟をしているみなさんは、どうやって肉を持ち帰っていますか? 自分はこうしているよ、というアドバイスがあれば嬉しいです。

 

追記(2018年1月17日 9時09分)

この記事を書いたあとで、Twitterで「日本でもゲームバッグを買えるよ」というご意見を頂きました。

Allen 狩猟用 獲物入れ 12×48インチ|ミリタリーショップ レプマート

送料が高いそうですが、それでも海外から輸入するよりはマシでしょう。気になる人は購入されてみては?

 

で、わたしはどう考えているかというと、サラシでいいんじゃないか、と思っています。じつは北海道の友だちがエゾシカの肉を送ってくれたのですが、後ろ足をサラシで巻いて送ってくれました。適度に血を吸ってくれるし、通気性はある。しかも洗ったらちゃんとキレイになる。

袋ではないのですが、今思っているのは、肉をサラシで巻いて、土嚢袋にでも入れて持ち帰るという方法。少なくともビニール袋に入れるにしても、サラシに入れてからビニール袋に入れるかな? まだまだ研究しないといけませんね。

 


また、おもしろいと思ったらこちらをクリックしていただけると、ランキングが上がります。応援のつもりでお願いします。
ブログ村へ
にほんブログ村 アウトドアブログ 狩猟・ハンティングへ


狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

シェアする