アイゼンの危険性と対策について考えて、自分に合ったアイゼンを選ぼう
狩猟の足回りの話でよく出てくる話題の1つは「トレッキングシューズ+アイゼン」のこと。
わたしもそういう組み合わせで使ったりもするので、便利なのは分かりますが、けっして無条件に使って良いものではないと思うので、改めて注意喚起的なことをしておきたいと思います。
狩猟でのアイゼンは便利だけど、危険も伴うことを理解しよう
アイゼンとは靴の裏に刃を付けるような道具です。
滑りやすい場所でもグリップが効いて、グイグイ登れるという意味では、道なき道を行く狩猟とは相性が良いと言えるでしょう。
ただし、間違った使い方は危険を伴うので、注意すべき点を挙げていきたいと思います。
1.歩き方が変わることを理解しておく
アイゼンは靴の裏に刃を付けているようなものです。町での歩き方だとふくらはぎの内側にアイゼンの刃が当たります。そうするとスパッツ・ゲイターが破けます。
わたしがつ買っているような強いゲイターなら破けないとは思いますが、それでも引っかかれば転ぶ可能性があります。転ぶとどうなるか? それは次の注意点に繋がります。
2.アイゼンで自分を切ってしまう危険性を理解しておく
キツイ斜面を上り下りしていれば、1〜2mくらいずるずるっと滑り落ちることって少なくないです。
普段ならば服が汚れるくらいのもので大した問題ではないのですが、このときたとえば右足のアイゼンが左足のふくらはぎや足の甲に思いっきり当たったらどうなるか?
ひどいときはパックリ切ります。
もちろん、こういうときに「滑らないために履いている」わけですが、それでも滑ってしまえばむしろ被害を大きくしてしまう可能性があります。
3.アイゼンでギリギリいける場所では滑落を止める道具と併用すること
たとえば完全に凍り付いた斜面。登山靴では到底登れない場面。たしかにアイゼンがあれば登れます。登山家などはこういうところをグイグイ登っていきます。
しかし、登山家は必ずピッケルと併用しています。
滑りやすい場所 → アイゼンで滑りを抑止 → それでも滑ったときのためにピッケルを併用
という考え方です。というわけで、登山であれば「ピッケルと併用しよう」という話になるのですが、狩猟だとピッケルを持つのは無理ですね。
対策:じゃアイゼンはどう使うのがいいのか?
狩猟でアイゼンを使うときにわたしが意識していることを挙げていきます。
1.アイゼンでギリギリいける場所には行かない
アイゼンはあくまで補助の道具だと思っています。だからアイゼンがなくてもいける場所にしか行きません。
「アイゼンがなくてもいける——だけどちょっともうちょいグリップが欲しい → 軽アイゼン」という考えです。
とくに重い肉を背負って斜面を登るときは、軽アイゼンによる「グリップ感のちょい足し」がかなり効いてきます。
※わたしの場合は雪国でもないし、アイスバーンができる場所でもありません。そういう地域の場合はまたちょっと考え方が違ってくるのかな? とも思います。最終的にはご自身の地域事情を踏まえて判断しましょう。
2.アイゼンを履いたら1歩1歩効いているか確認する
アイゼンって “木の葉収集機” なんです。この写真を見てください。
アイゼンに枯葉が溜まっています。まだ僅かに刃が見えていますが、ひどいときはまったく見えなくなります。
そうなると……わかりますよね? グリップがまったく効かなくなります。
「よーし、軽アイゼンのグリップを活かしてグイッと登るぞ」と1歩踏み出してみたら、まったくグリップせず、ズルッと滑ることも少なくありません。
キツイ斜面を登る必要があるときは、1歩1歩、ゆっくり足を踏み出して、グリップの効きを確認して、ようやく次の1歩を踏み出す。そういう動き方になります。
どういうアイゼンがオススメか?
じつはこれは難しい話で、人に勧められたアイゼンが良いとは限りません。
靴との相性があるんですよ。しかも試着したくらいじゃ分からないので、実際に使ってみないとなんとも言えない……。
いくつか見ていきましょうか。
《まずは土踏まずにだけ刃があるタイプ》
たとえばわたしはモンベルの軽アイゼンを使っています。これは固定する紐がゴムになっていて、切れそうに見えるし、なんだか華奢にも見えるので嫌う人も多いですが、わたしは特に問題ないですね。ただ、留め金の部分もゴムが摩擦で噛んでる形なので、負荷がかかると緩みやすいとかあるかも? わたしは気に入っていますが……。
こちらはマウンテンダックスの軽アイゼン。上記と同じように土踏まずだけに刃があるタイプです。こちらはモンベルに比べるとずっとしっかりしています。わたしもリロ氏から購入し使っています。ただ靴との相性なのか、モンベルよりはズレやすいです。でも使えるレベル。
《少し大きめの6本刃》
こちらもマウンテンダックス。Amazonでも人気の定番品です。
《スノースパイク》
こういうのをどういう呼び名で呼ぶのか分からないのですが、刃はアイゼンほどでもないものの、爪の数が多いタイプがあります。わたしは実際には使ったことがないのですが、パッと見はなんか良さそうと言う印象です。
ちなみにモンベルからも「チェーンスパイク」という名前で販売されています。
アイゼンは便利だけど、注意点もある
「アイゼンは便利だけど注意点もある」ということが伝われば嬉しいです。
みなさんはどのようにアイゼンを運用していますか? またなにか工夫していればそういうお話も聞かせてください。
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