単独猟日記:で、やまくじよ、お前は何がしたいんだ!?

最終更新日

先日、北海道に来てから初めて鉄砲を持って単独猟に行ってきました。

まだまだ葉が落ちていないので忍び猟をやるにはかなりきびしい時期なのですが、それでも山には入れる隙間を見つけて歩いてみたかったんです。正直に言えば「山に身を置きたい」というのが本音。夏の間は仕事仕事で山にも行けなかったので、山を歩いて、汗をかいて、飯でも食べて、獲物を獲って……みたいなことをしたかったんです。

ところが……。

林道はサファリパーク

山の舗装路を折れて、非舗装の林道へとタイヤを転がします。

すると林道に入ってすぐにメスジカの群れに遭遇します。

もうね。あっという間でした。これは気持ちが昂ぶりますよね。よしよしきたきた! 山の中で会おうぜ! ってなもんです。

その後も動画こそ撮っていませんが、狙っていた入山地点に着くまでに合計4群れに遭遇。サファリパークかよ……。

 

山中もサファリパーク

林道沿いに車を止めて、ハンティングベストを着て、鉄砲を持って山に入ります。比較的笹が低い場所を見つけていたので、そこでチョロチョロと歩いてみようという試みでした。

ところが、入山して2分で鹿の歩く音。ソーッと忍び寄ると……。

え、もう? 簡単すぎない? 鉄砲に弾を装填し、一応狙ってみたりするんですが、なんだか撃つ気にもなれず、動画を撮ってみたりして見送ります。

ちょっと場所を変えて歩いてみると、またシカ……。

 

さらに場所を変えて……

なんだかあまりに呆気なく見つかるもんで、撃つ気にもなれず、場所を変えると……

これに至っては遠くで見つけて、死角に入りながらソーッと忍び寄り、最終的には30mくらいのところまで近寄れちゃいました。もちろん獲ろうと思えば獲れる場所です。この頃になると始めから撃つ気なし……。

なんだかあまりに簡単に獲物が見つかってしまい、猟欲がジワジワと失われていくのを感じてしまうのでした。それでも歩き回っていると、こんなヌタ場を発見。

 

上記写真の数メートル横には同じような水たまりがあるのですが、ご覧の通り濁りがありません。こちらはヌタ場としては(この日は?)使われていないのでしょう。そんなことを観察するのも勉強になります。この場所を明日あたり改めてチェックすると、水の濁り具合の勉強になります。

 

失われた猟欲を奮い立たせる

エゾシカの寝屋。

じつはあまりに簡単にエゾシカに遭遇したことで、拍子抜けしてしまい、猟欲が失われた挙げ句、山を降りてしまったんです。

でも、やっぱり猟はやりたいし帰るのはつまらない。そこでふと思い立ちます。

「オスジカ縛りで獲りに行くか!」

遭遇するのはメスが多く、オスは少なかったんです。改めて林道を走って山に入ります。そしてオスジカを探して小一時間歩いていたんですが、その間にもメス群れやピンコ(1歳のオスジカ)なんかに何頭か遭遇。それを見送りながら歩き回ります。

そして考えます。

「なんでオスジカ狙ってるんだっけ?」

というのも、いまはオスジカの発情期。朝夕は盛りのついたオスジカがピーピーと鳴いています。発情期のオスは一般的においしくないとされています。イノシシは顕著ですが、シカでもその傾向はあるでしょう。

わたしは基本的にミートハンターだと思っています。食うために獲る。もちろん、獲ること自体に楽しみを感じているし、楽しいから獲るということ自体は事実なんだけど、それじゃ「獲って捨てるか?」といわれればNO。やっぱり「獲って食べる」ところまでを含めて狩猟の楽しみだと思っています。

さらにいえば、あんまり角集めにも興味はありません。まぁ、獲ったらトロフィー(角付きの頭骨)を作ったり飾ったりもするでしょうけど、あくまでそれはおまけというか、付属的な物。やっぱり食べるという大前提があってのことなんですよね〜。

 

それじゃやっぱりメスも獲るか? なんて具合にぐらぐらと迷いが出てきます。

時計を見ると、いい時間にもなっているし、こうやって迷いがある中で獲物を獲るのがとてもつまらないことに思えてしまい、整理がつかないまま猟仕舞いにすることに。

 

おまえは何がしたいんだ!

結局この日は……

北海道の初猟だ! 獲るぞー! → あれ、あまりに簡単にエゾシカが見つかった → 簡単すぎてなんだか…… → オスジカ縛りで獲ろう → 食べるために獲るならメスジカがいいのでは? → おれは何がしたいんだ!?

ってな具合に迷い迷いの中でおしまいに。端から見たらバカみたいだと思うんですよ。まぁ、これは駆除ではなく狩猟です。それも単独猟。獲るも獲らないも自分次第で、獲らないことで誰かから怒られる筋合いもありません。この日は全力で「獲らない自由」を行使させて頂きました。

 

結局自分はなにがしたいのか……。

本州では歩いて歩いて、苦労して獲物を見つけるのが当たり前でした。その過程も楽しんでいたんです。むしろその過程こそ喜びだったんです。

その過程を通り越して、「車を降りて、すぐ獲物」というのがなんだか……ねぇ……。

たぶん、雪が降ると変わると思うんです。いまは笹藪が深くて、エゾシカも笹藪の薄い場所に集まるんでしょう。だから簡単に遭遇しちゃう。でも、一面真っ白になればまた違うはず。

雪が降ってからが本番かな。

それまでもコール猟などに限定して獲りに行くかもしれません。

はぁ、なんだか変な迷いが出てしまってみっともないことこの上なし。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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