大物猟で使う双眼鏡の基礎知識
大物猟で使う双眼鏡。たかが遠くを見るための道具ではありますが、やっぱり使いやすいもの、使いにくいもの、自分に合うもの合わないものがあるわけです。
「合う合わない」は人それぞれです。この記事では自分に合うものを見つけるために必要な基礎知識をまとめてみたいと思います。
動画版
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なぜ双眼鏡が必要か?
そもそも双眼鏡ってなぜ必要なんでしょう?
ぼくは3つの用途で使います。
- 遠くの獲物を探すため
- 藪の向こうの獲物を探すため
- 獲物が獲物であると確認するため
「1.遠くの獲物を探すため」は説明は不要でしょう。
「2.藪の向こうの獲物を探すため」ってのは独特で、ちょっとした藪であれば、双眼鏡で透視することできます。実際に試してもらうと分かるのですが、肉眼では見えない藪の向こう側も、双眼鏡で藪の向こう側にピントを合わせると、藪がピンボケして、本当に向こう側が見えるんです。ぜひ試してみてください。
で、3つめの「獲物が獲物であると確認するため」ってのも重要です。
遠くに動いたものがあって、「あれ?シカかな?」と思ったとき、スコープで確認するのは厳禁です。もしかしたら人かもしれません。非狩猟鳥獣かもしれません。スコープを向けるということは銃口を向けること。覗いた結果「人間だった」となると、銃口を人に向けたことになり、安全管理としては最低最悪の行為になります。
こんな理由から忍び猟では双眼鏡がかなり有力な道具になると思っています。
双眼鏡選びの基礎知識
双眼鏡選びで重要なキーワードはいろいろありますが、思い切って絞って、この4つのキーワードだけ覚えておきましょう。
(メガネやサングラスを使う人はアイレリーフにも注目しましょう)
キーワードを理解して頂き、記事の最後で「ぼくなりの考え」をまとめていきます。
1.倍率
狩猟で使うなら6〜8〜10倍くらいが目安だと思います。
まず強調しておくと10倍以上は手ぶれが強くなるのと、あとで説明する「理想的なひとみ径」を考えると重くなりがちなので、流し猟などで車から使う人とか、「絶対10倍がいい」という強い意思を持って選ぶものだと思っています。
渉猟メインの人は6〜8倍あたりが狙い目というのが僕の考えです。
6倍か8倍か、これはトレードオフの関係です。
6倍だと視野が広く、軽量化しやすいけど、(8倍に比べ)より遠いものは見えにくい。
8倍だとより遠くがはっきり見えるが、(6倍に比べ)視野が狭く、重くなりがち。
2.対物レンズ径
対物レンズは単純に「大きくなるほど、明るく重くなる」ということです。
大きいことによる性能的なデメリットは重量以外はないと思います。
3.ひとみ径
ひとみ径は計算で算出します。
ひとみ径 = 対物レンズ径 ÷ 倍率
ひとみ径が双眼鏡の明るさを決めます。大きいほど明るく、小さいと暗い。単純ですね。
「ひとみ」と言うくらいなので、人間の瞳の大きさと密接な関係があります。
人間の瞳は猫と同じように明るさで変化します。明るいところでは2mm程度に、暗いところでは7mm程度まで広がるらしいです。
双眼鏡を使うときに、自分の瞳の大きさ以上のひとみ径であれば明るく見えると言われています(過剰に大きいことはあまりメリットでもないので、自分の瞳=双眼鏡のひとみ径が理想)。
たとえば夜間であれば、月明かりくらいしかなく、瞳は6〜7mmになるでしょうし、日中の明るい時間ならば2~3mmでしょう。どの時間、どういうシチュエーションで使うかを想定して、ひとみ径を選ぶことになります。
4.ポロ・ダハ
これは双眼鏡の構造を意味します。
接眼レンズから対物レンズまで一直線だとダハ、カクッと曲がってるのがポロです。
見た目はダハの方がシンプルですが、内部的な構造はポロの方がシンプルです。シンプルということは「安い」わけです。
このことから一般論として以下のことが言えると思います。
同じ価格帯ならばポロの方が「見え味」に金をかけられるので、見え味は良い。
同じ「見え味」ならポロの方が安い。
しかし、見て分かる通り、ポロは大きくなりがちです。そのあたりをどう考えるか、ですね。
ぼくなりの考え
まず倍率ですが、ぼくはずっと8倍を使ってきました。しかし今期、これまで愛用していたビクセン アトレックII 8×42WPが故障したため、猟友から格安で譲ってもらった6倍ポロの双眼鏡を使うようになりました。
8倍と6倍をそれぞれ使ってみて思ったことは「現実的には6倍で見えない獲物はいないし、視野が広いのは有利。でも双眼鏡としての喜び?は8倍の方が大きいかな」って感じ。でもあえて言うと「鬱蒼とした植生の中で尻尾だけ見えてるシカを見つける」みたいなことは8倍の方が圧倒的に有利。
この辺りをどう考えるかで、「どちらかが一方的に有利」とは言えませんね。
つぎに対物レンズ径とひとみ径ですが、結論を言えば「ひとみ径は5mm」が理想だと思っています。
薄暗い森の中で「あれはシカかな?」という場面。やっぱり明るいのはメリットですね。見えにくいときにこそ見たいのが双眼鏡。ひとみ径を妥協するのはもったいないと思っています。
(考えられる唯一の例外は超高価格帯の双眼鏡。20万オーバーとか。あれはひとみ径が小さいのにめちゃくちゃ見える。ずるい笑)
ひとみ径を5mmとすると、6倍なら対物30mm、8倍なら対物40mmですね。というわけで6倍だとけっこう軽量/コンパクトになりますね。
で、最後にポロ・ダハについてはどちらでもいいのですが、ぼく的には
なんとなく6倍ならポロ、8倍以上はダハ
と考えています。「絶対」って話ではなく、あくまでなんとなくですが。理由は大きさです。ぶっちゃけコスパはポロの方がいいと思いますが、8倍40mmのポロって結構大きいンです。常時胸から下げているわけで、ちょっと嵩張るな、と。その点6倍30mmクラスのポロはあまり気にならないサイズ。
というわけで、ぼく的な結論ですが、
視野広めで軽量コンパクトな6×30ポロか
遠くが見えて、覗く喜びも大きい8×40ダハか
ってな考え方です。ちなみに繰り返しになりますが、超高価格帯のものは別の話ね。あくまで5万円以下クラスのものでの考え方です。
実物を覗いてみようね
で、最後に元も子もない話なんだけど、表面的なスペックでは見えてこない魅力とか欠点ってのもあるんです。
たとえば倍率・対物レンズ径・ひとみ径・ポロ/ダハってのは、安くても高くても同じです。高価な8倍が、より大きく見えるわけじゃありません。でも、確実に安いものと高いものとでは見え味が違います。
分かりやすいのは周囲のゆがみ。
安いのは周囲が歪んで、双眼鏡を覗きながら動かすと視界がぐらぐらして酔います。とくに安くて視野角の広い双眼鏡は顕著ですね。
ある程度スペックで目星を付けたら、量販店で覗いてみることをオススメします。
ちなみにぼくは最近日の出光学さんの<ヒノデ 6x30-B+>を購入しました。いい感じですが、それはまたの機会にレビューしましょう。
では。
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