初猟期が終わろうとしている今、スコープについて改めて考える
わたしは今MSS-20にリューポルドのVX-HOG 1-4を乗せています。
参考:MSS-20に新しいスコープ『リューポルドVX-HOG1-4×20』載せた理由
参考:新たに手に入れたスコープ、リューポルドのVX-HOGについて研究する
Twitterでお世話になっている先輩ハンターさんに売ってもらったスコープです。とっても気に入っていて、今後も使う予定です。
とはいえ、「気に入ってます」だけじゃなくて、「実際に1シーズン運用した今、スコープについて思うこと」をつらつらと書いてみようと思います。
「もし買い替えるなら」というテーマで改めてスコープ選びもしてみました。
VX-HOG1-4の運用について
わたしは猟場では2〜3倍あたりにスコープをセットして歩いています。1倍や4倍にセットするのは、明らかにその倍率が有利になるときだけ。
獲物がいて、ゆっくり構えることができるならば、だいたい4倍にしちゃいます。やっぱりアップで見えると狙いやすいですからね。
4倍という倍率はこのスコープの中では1番の高倍率ですが、所詮4倍。極端な話、すごい近い獲物でも、4倍で撃てます。唯一の弱点だと思うのは「パッと据銃して、1発で獲物がスコープに入るか?」という点だけ。だから動いている近い獲物を瞬時に撃つなら1倍が有利ですが、近くても狙う時間が少しあるなら、4倍でもいけると考えています。
一方、1倍を使うのは「ここから顔を出すと、すぐそのへんにいる可能性がある」っていう場面。尾根から顔を出すと、もうどこにいてもおかしくないなんて場所ってけっこうあるものです。
あるいは視界が開けていない場所を歩くとき。パッと近くに現れる可能性がありますからね。そういう時は低倍率が有利です。さきほど書いたように、1発でスコープに獲物を納めるのが簡単です。
それ以外のシチュエーションでは2〜3倍を気持ちで使い分けています。やや視界が悪ければ2倍、やや遠くまで見えるなら3倍。これははっきりいって気持ちの問題です。ぶっちゃけ2倍でも、3倍でも、2.5倍でもいいんじゃないかな。
わたしの感覚で思い切って言うならば「パッと据銃して狙った獲物にスコープが合う技術があるなら、できるだけ高倍率にセットしておいた方がいい」ということ。
だから自信があれば4倍固定で運用しても問題ないでしょうね。近くを走り抜ける鹿にパッと構えて撃てるならば……。
わたしはまだまだ未熟で、獲物が近いとスコープを覗いて探すことになるので、4倍固定は不安。そこで2〜3倍くらいで様子を見ているわけです。
わたしの感覚では2〜2.5倍くらいだと、肉眼で見たまんまにスコープを構えられる = つまり、構えてすぐに撃てる。これは据銃の腕にもよりますね。
高倍率が欲しいか?
欲しいと言えば欲しいです。
ただ今のところ無いものねだりといいますか、身の丈に合っていないので4倍でいいかな、と思っています。
どういうことかと言いますと、4倍で不足を感じるということは、獲物がすごく遠いってこと。そんなに遠い獲物にカッチリ当てる腕はありません。これまで何度もそういう鹿に出会い、「当たるか? 際どいからやめよう」と我慢してきました。
わたしは射撃場でも50mで練習しています。100mはやってきませんでした。だから、100mを越えるような獲物に発砲しないことにしています(1回だけ撃ちました。そのときは当てましたね→単独猟日記18:雪の中、1発撃って、2頭獲る)。背伸びして80mくらいまでは(膝撃ち・委託ができるなら)撃ちますが、それ以上は我慢。
もし100mオーバーの距離を当てる腕があるなら、高倍率スコープを使ってもっと鹿を獲ることができるでしょうね。少なくともわたしが使っているMSS-20という銃はそれができるものです。だからわたし次第で、そういう可能性を広げることができます。
来期までに100mの腕を磨きつつ、もう少し高倍率のスコープを乗せるという選択肢はあります。その場合、どの程度まで倍率を上げるか? 悩ましいですね。2〜8倍みたいなものがあれば、それでもいいかもしれない、と思っています。
1倍は必須か?
これは悩ましいですね。やっぱりパッと近くに現れる鹿がいますから。そういうとき低倍率スコープは有利。true1xと言われる、純粋な1倍のスコープであれば、ドットサイトのような使い方ができるため、近くを走り抜けるシカやイノシシも撃てるでしょう。
その魅力は捨てがたいものの、2倍程度であれば、かなり近い獲物に対してもパッと構えて、スコープの中心付近に納めることができます。つまりちょっと妥協して2倍〜というスコープを使うという選択肢はありえると感じています。
先述の通り、2〜3倍にセットして歩いていることが多いので、言い換えればその倍率で撃っていることが多いのです。遠くて4倍に直すことはありましたが、獲物が現れてから1倍に直すことはありません。近い獲物も2倍くらいで撃っちゃってます。
「1倍なんて不要だよ」
と言う気はなくて「1倍があるに越したことはないけれど、高倍率に寄せるなら少し妥協してもいいかもよ」程度の意味です。
また、わたしの場合で言えば「パッと近くに現れる獲物」と「すっごい遠くて撃つか迷うような獲物」で言えば、後者の方が多い気がします。正確に記録を取れば良かったのですが……。つまり、近い獲物をある程度あきらめて、むしろ遠い獲物をカッチリ仕留めるという考え方はあるかな、と。であれば、低倍率を捨てて、高倍率に寄せるという考え方はあります。捨てると言っても2倍くらいは欲しいですけどね。
まだ迷いはありますが、少し1倍を妥協する気持ちが湧いているのは事実です。
明るさについて
スコープは双眼鏡と同じで対物レンズやレンズコーティングの質などで明るさが変わってきます。
これはね〜、明るい方がいいですよ。
早朝や夕方間際の杉林なんかで獲物がいるとその明るさが活きてきます。
わたしは比較的明るい双眼鏡を使っています。薄暗いときなんかは、肉眼で見るよりも双眼鏡の方が明るく見えるほどです。その双眼鏡で獲物を見つけて、鉄砲を構えたら微妙に暗くて見辛いなんてこともありました。
まぁ、双眼鏡の倍率が8倍、スコープが4倍なので、小さく見えるという違いもありますけどね。
うん、明るい方がいい。予算があるなら、明るいレンズ、シャープなレンズがいいです。双眼鏡と同じで、高価なものはレンズのコーティングなどが優れていて、本当によく見えるそうですよ。
スコープ傷つくよ
機能の話とは違いますが、山の中を這いずり回って単独猟をやっていると、転んだり、ぶつけたり、落としたり、スコープも銃も傷だらけになります。
大事な道具なのでキレイに使いたいものですが、いくら気を使っても避けられないものは避けられないものです。それに道具を大事にするがあまり、ビビって猟に支障が出るってのは本末転倒。
あんまり高価なスコープを乗せても気を使うでしょうね。
わたしのスコープもすでにキズが多いです。
高価なスコープはやっぱりよく見えるので有利でしょうが、ちょっと傷がついただけで凹むような背伸びはしない方がいいです。人によってお財布事情は違うでしょうから、「何円以下がいい」と言う気はありませんが、極端な話「数シーズンで壊すかもしれない」という前提で予算を考えた方がいいかと。
買い替えるなら……
すぐに買い替える気はなく、あまりちゃんとリサーチしていないので、確信はありませんが、ちょっと「いいな」と思うスコープを挙げてみたいと思います。いま使っているVX-HOGからのアップデートという視点で考えてしまうので、お値段もVX-HOGより安いってわけにもいきませんね……。
Vixen 1-6×24
1-6倍っていいですよね。国産ってのも嬉しいし、わたしがVixenの双眼鏡を使っていて気に入っているので、そういう意味でも信頼感があります。レティクルは2種類ありますね。選べるならミルドットレチクルがいいかな。
Leupold VX-R 2-7×33mm
わたしが使っているVX-HOGはVX1シリーズの1つなのですが、その1つ上級モデルがVX-Rですね。2-7倍というのも悪くないし、対物レンズが33mmということで、VX-HOGの20mmに比べると明るそうですね。ただ、VX-RシリーズはVX-1シリーズにイルミネーションがついているだけだと思うので、レンズのコーティングなんかは同じです。ということは対物レンズが大きい分明るいけど、それ以上の違いはないということ。
もし本当にアップグレードを狙うなら、ちょっと物足りないかもしれませんね。
Leupold VX-3 1.75-6x32mm
で、こちらはVX-3シリーズ。VX-1シリーズからするとグッとアップグレードされたモデルですよ。レンズのコーティングなんかも良くなっています。
お値段的には一桁万円後半のよう。これより上級モデルにもいいものはありますが、お値段は20万円超という感じで、飛び抜けて上がります。という意味では、わたしとしてはこの辺が猟でガシガシ使える上限かな? という意味でご紹介。
倍率も1.75-6倍で、わたしが使っているVX-HOGは1-4倍。でもVX-HOGの1倍は実際は1.4倍だったと思うので、下はあまり変わらず、上が6倍まで増えているという印象です。また対物レンズも大きくなっているので、レンズコーティングのアップグレードと相まって、見え方はすごくいいんじゃないかな。
VX-HOGからのアップグレードという意味では1番順当なのかもしれません。
Vortex Strike Eagle 1-8×24
こちらはずっと気になっているスコープです。旧モデルは1-6倍で、そちらも気になっています(参考)。
この新旧モデルのスペック上の比較については手前味噌ですが、わたしの過去の記事で書いています。
参考:1倍から始まる6つの低倍率スコープを比較(リュー ポルド・Vortex・ブッシュネル・サイトロン)
当時はまだ新モデルがAmazonに掲載されていませんでしたし、日本での販売価格が分かっていませんでしたが、今はAmazonで販売されていますね。62,900円ということで、ここまでご紹介してきたLeupoldなどに比べると、安く感じます。だけど倍率で言えば1-8倍。しかも、ここでいう1倍は真正1倍(true1x)と言われるもの(に近いはず)です。倍率の設計としてはやっぱりこれは魅力的ですね〜。
マーチなどのもっと高級なスコープであれば、1-10倍などといった超魅力的なスコープもありますが、この価格帯で、この設計はないですね。しかもVortexはちゃんとした光学機器メーカーですので、信頼できそう。
結局どれにするか?
今すぐ買うならVortex Strike Eagle 1-8×24を検討しますかね。あるいはリューポルドのVX-3 1.75-6x32mm。倍率もそうですが、見え方の違いも気になるところです。
リューポルドはやっぱりスコープの世界では圧倒的な信頼感がありまして、間違いは絶対にないだろうと思います。受け売りになってしまいますが、アメリカのYouTuberハンターであるRandy Newbergさんも「リューポルドのコスパは最高」と言っています(まぁ、スポンサー契約しているのでリップサービスを含むでしょうけれど)。
そんな中でもVortexの1-8倍を捨てきれないのはやっぱり8倍という倍率。そして真正1倍。これは魅力ですよ。
もしグッと予算を上げて20万円台まで出すのであれば、まったく違う議論になるでしょうけどね。うん。違うでしょう。
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