1倍から始まる6つの低倍率スコープを比較(リュー ポルド・Vortex・ブッシュネル・サイトロン)
最近、スコープを物色しています。買うかどうかも分かりませんが、もし買うなら低倍率スコープを狙っています。
そこで、手始めに1倍から始まるいくつかのスコープを挙げて、比べてみます。こうやって実際に比べると、勉強になるんで。
なお、私の予算の都合上10万を超えるようなものは対象外。概ね5万円までが対象ですね。
なぜ低倍率スコープか?
これから狩猟を始める身としては、想像するしかありませんが、私なりに猟場歩きをしてきた経験上、鹿はいつも遠くにいるわけではありません。
簡単に言えば「唐突に近くに現れる」ということもよく起こります。
そういう近くの獲物を4倍〜みたいなスコープで狙うのは大変だろうと思います。ましてや動かれたらかなり苦しい……。
そこで低倍率スコープを使う事で近くの獲物から、やや遠くの獲物までをカバーしたいというのが狙いです。
この辺、いろんな考え方があるでしょうね。本当に近い獲物を最優先するのであれば、ダットサイトやむしろオープンサイトに分があるのかもしれない、とさえ思います。なので、低倍率スコープを検討しているのは「近い獲物も狙いたいけど、やや遠めの獲物が多くなるだろう」という見込んだ上の考えです。
ちなみに低倍率と言っても必ずしも1倍〜のスコープにする必要はないのかもしれません。主要なメーカーのラインナップを見ていると1.25〜、1.5〜、1.75〜といったスコープもよく見かけます。それはそれでいいのかもしれませんね。
が、今日は手始めに1倍からのものに絞って探してみることにしました。
また、メーカーが1倍〜と書いていても、実際には1.xx倍(たとえばリューポルドは1倍と言いつつ、本当は1.4倍〜)ということがあります。このことも最後に触れていますので、ご購入の際は必ず自分でメーカーサイトやいろんなレビューを見て、ご自身で判断してください。
では、さっそく見ていきます。
Leupold VX-1 HOG 1-4x20mm
こちらはリューポルドのHOG 1-4x20mmというスコープです。リューポルドと言えば有名なスコープメーカーで、FAR EAST GUN SALESさんでも取り扱いがあります(Amazonよりこちらの方が安いみたい)。
1904年に設立された会社で、歴史が長いのも信頼感を生む理由かもしれません。
https://www.fareast-gun.co.jp/order/2012/28.html
リューポルド社は米国を代表するスコープメーカーです。レンズ、機械部の精度や作り込みの良さは他の追随を許しません。
Far East Gun Salesさんのカタログより
こちらのVX-1シリーズはベーシックモデルとのこと。エントリーモデルっていう意味だと思います。
また、HOGというモデル名の由来は「イノシシ用」とのこと。動いているイノシシを素早く狙うことを目指して設計されているとのことです。その理念はPig Plexというレティクルにも現れています。
十字の根元が太く、中心は細く、真ン中に○があります。獲物が近くを走り抜けるようなときは、パッとこの○を獲物に合わせて撃とう、ということでしょうかね?
こういう丸があると、本能的にそこを獲物に向けようという意思が働くような気がします。
Leupold VX-2 1-4x20mm
こちらは上記と同じく、リューポルド社のVX-2シリーズです。倍率やレンズ系だけ見ると、先ほどのVX-1と同等品ですが、“VX-1に比べるとレンズがグレードアップされています(Far East Gun Salesさんのカタログより)” とのことで、1ランク上の商品なんですね。
もちろん、その分お値段も1ランク(20,000円ほど)上がっていますので、このあたりは考え方によるでしょうね。
長く使うつもりなら、VX-2の方が良さそうですが、アレコレ試したいと思っている人は安い方で節約するのもありかもしれません。
またレティクルの形もVX-1 HOGとは違いますね。
レティクルの形に関しては、どれがいいのかまったく分かりませんが、いろいろ動画を見ていたら、「結局は好み」と言っている人が多い印象です。
おそらく、これもVX-1 HOGで採用されている、Pig Plexレティクルのように、素早く狙うことを目指している気がします。レティクルが太いので、その中心を見つけやすいのは分かる気がします。
一方で、4方向の線が太いので「ちょっと視界の邪魔」って気もしますが、どうなんでしょうね?
Vortex Strike Eagle 1-6×24 AR-BDC
Vortex Optics社は2004年に設立されたスコープなどを製造するアメリカの会社です。リューポルドに比べるとグッと新しい会社になります。
お値段は5万円ほどということで、リューポルド社のVX-2の1-4x20mmと同じくらいになります。その割に1-6倍ということで、より望遠が効くので遠射でありがたいですね。
レティクルもリューポルド社とは全然違います。AR-BDCというレティクルを採用しており、なんだかちょっとタクティカルな印象です。
真ん中の赤い部分はイルミネーションで光るようになっているようです。背景が暗いときなんかは見やすいのかもしれませんね。
また、中心に○があるのが、近い獲物で使いやすそうな印象ではあります。遠くの小さなものを狙うときはちょっと太い丸が邪魔な気もしますが、どうなんでしょうね? こればっかりは本当に使ってみないと分かりません。
Vortex Strike Eagle 1-8×24
こちらは上記のVortex Strike Eagleの最新モデルです。まだ日本のサイトで売っているのを見かけないのですが、きっと近々出てくるのでしょう。
まずパッと見の違いは望遠側が8倍ってことですね。1-8倍というのは、リューポルド社の1-4倍と比較するとすごいアドバンテージです。8倍までいけるということは100m先の獲物が12.5m先に見えるということ。200m先でも25m先に見えるわけで、これは結構うれしい気がします。
もちろん望遠になればなるほど手ぶれもするし、「見えれば遠くでも当たる」ってわけでもないので、安易に喜んじゃいけないのかもしれませんが、可能性は感じます。
また、日本での販売価格がどうなるか分からないのですが、アメリカの価格をベースに想像することはできます。下の画像のように、アメリカのAmazonでは旧モデル(1-6×24)が329ドル、新モデル(1-8×24)が449ドル。ということで、約120ドル高くなっています。
新モデルが出たから、旧モデルの値段が落ちた、というわけではなさそうなので、これが概ね相場だったと言えそうです。
日本での旧モデルの価格は約5万円なので、恐らく、新モデルは6〜7万あたりにはなるんじゃないかな? と思います。
8倍までいけることに1〜2万多く払うことをどう思うかによって値段が違って見えてくる気がします。
また細かいスペックにも違いがありますね。長さが0.5インチ(≒1.3cm)短く、重さも0.9オンス(≒25g)軽いです。これ自体は微々たる差かもしれませんが、より倍率が上がったことを考えれば、増えても文句は言えないところ。むしろ短く、軽くなっているのは嬉しいですね。
レティクルもバージョンアップしています。こちらはAR-BDC2というレティクルを採用しており、先ほどとは全然(?)違います。
まず大きな違いは左・右・下のラインが極端に短くなっています。中心に向かってチョンっと小さく矢印を置いたような感じに見えますね。
もうひとつの違いは中心点です。AR-BDC(旧モデル)では中心を縦横の線の交点で表現していましたが、新モデルではまさに点です。英語圏のYouTubeを見ていたら、「おれは旧モデルの方が好き」って人もいて、このあたりは好き嫌いが分かれるポイントかもしれません。
個人的には全体的に線が少なく、視界が広い感じがして、”あり” だと思っています(あくまでこの画像を見る限りは……、です)。
Bushnell AR Optics 1-4×24 FFP/BDC Reticle
こちらはブッシュネル製です。アメリカの企業ですが、じつは設立は日本です。
Bushnell was founded in 1948 by David P. Bushnell during his time in Allied-occupied Japan.
Bushnell Corporation | Wikipedia<テキトーな訳>
ブッシュネルは1948年、デイヴィッド・P・ブッシュネル氏により、連合国軍占領下の日本で設立された。
おもしろいですね〜。設立が日本だからと言って、メイド・イン・ジャパンってわけではなく、結局は普通に米国企業です。
さて、こちらのスコープはリューポルド社と同じく1-4倍ですが、対物レンズが24mmと少し大きいですね。対物レンズが大きいと一般に
- 明るい
- 解像度が高い(シャープに見える)
と言われています。更に言えば、銃に乗せたときの位置も高くなりますので、その点も注意が必要です。また当然重くもなるでしょう。
レティクルはBTRというものを採用しており、イルミネーションも付きます(下記の赤い部分が光る)。
これもなかなか潔いレティクルだな、と思いました。クロスヘアーと呼ばれる縦横の中心線がないんですね。
サイトロンジャパン ミルスペック スコープ RS1-4×24mm SHORT SCOPE “SOL”
サイトロン社は1994年にアメリカのフロリダ州で設立された会社です(アメリカの会社が多いですね〜)。
で、上のスコープはサイトロンジャパンとLayLaxのコラボ商品とのことで、通常のラインナップではないようです。
1-4倍、対物レンズ24mmということで、この辺のスペックだけを見ると普通と言えば普通。ここまで挙げたものも似たようなものです(Vortexは倍率が高いですね)。
で、このスコープってどうなのよ? とネットを彷徨っていて見つけたのがこちらの記事でした。
サイトロンジャパンとLayLaxのコラボ。1-4×24mm ショートスコープ、「SOL」をレビュー
とってもいいレビューです。で、この中で「おお!」と思ったのはスコープの縁の薄さ。ぜひ、上記リンク先を見てください。このスコープと先ほど挙げたブッシュネルの1-4x24mmとを比較した写真があります。
ぜんっぜん違いますよ。写真をお見せしたいのですが、それはぜひリンク先をご覧ください。
さて、レティクルはというとクロスヘアですね。シンプルです。
上の画像にあるとおり、赤か緑に点灯します。
お値段は3.2万円とけっこうなお買い得価格。ちゃんと実銃対応とも書いてありました。
上を見ればキリがないスコープの世界
今日、挙げてきたのはどれも5万円台以下のスコープばかり。10万を越えてもいいのならばもっと選択肢は増えます。
わたしも長く一眼レフカメラを愛用していますが、基本的に良いレンズって高級品なんです。安いエントリーモデルと、プロ仕様のハイエンドモデルじゃ全然違ってきます。
ただ、趣味として考えたときに「上へ上へ」ともがくよりも、手の届く範囲のもので最高のものを探す方が楽しいとわたしは思います。だいたい、何を持って最高のスコープか? ってものが分かっていないのに、上を見ても仕方ありませんしね。
スペック比較
最後に今日ご紹介した6つのスコープの基本的なスペックを表にしてみます(金額は私が見た正規の最安値です)。
こういう項目を足してくれ! という要望があればお知らせください。あんまり増やすと見にくいので、意識的に減らしちゃいましたので……。
スコープ | 倍率 | 対物レンズ計 | 長さ | 重さ | アイレリーフ | パララックス | 参考価格 |
Leupold VX-1 HOG 1-4×20 | 1-4 (*1) | 20mm | 241mm | 231g | 96-107mm | 100ヤード | 32,550円 |
Leupold VX-2 1-4×20 | 1-4 (*1) | 20mm | 241mm | 230g | 94-107mm | 100ヤード | 52,920円 |
Vortex Strike Eagle 1-6×24 | 1-6 | 24mm | 267mm | 499g | 89mm | 100ヤード | 50,990円 |
Vortex Strike Eagle 1-8×24 | 1-8 | 24mm | 254mm | 468g | 89mm | 100ヤード | 6〜7万円?(やまくじ予想) |
Bushnell AR Optics 1-4×24 | 1-4 | 24mm | 242mm | 492g | 93mm | ?おそらく100ヤード? | 37,260円 |
サイトロン RS1-4×24mm SHORT SCOPE “SOL” | 1-4 | 24mm | 261mm | 440g | 100-110mm | 100ヤード | 31,900円 |
(*1)公式サイトを見たところ、実際の倍率は1.4 – 4倍とのことでした。紛らわしい表記ですね。正確にはこのスコープは1倍からではなかったということです。なんてこった!
まず、リューポルドの「実質1.4倍」ってのはちょっとガッカリしました。実は上の表を作っていて気付いたんです。記事の趣旨からすれば、掲載すべきじゃないのですが、せっかく書いたので……。他のメーカーのスコープでは1.5-4とか1.75-5のように、ちゃんと小数点まで書いてあるので、ちゃんと実際の倍率を書いて欲しかったなぁ。
Twitterで聞いたところでは、よくあることのようで、実際に買うときは true 1x みたいに書かれているか確認した方がいいとのこと。あるいはレビュー記事や動画などで調べてくれている人がいるので、そちらを参考にするのもありです。
とにかく、メーカー公称の1倍は、本当のぴったり1倍かどうかはわからないとだけ覚えておきましょう。
ちなみに今日ご紹介したサイトロンはtrue1xではない気がします(スコープを覗いた画像を見てそう思いました)。一方でVortex 1-6はAmazonのレビューで
It is very close to true 1x, if your inside a small room you will notice a bit of fish eye, but you can still use it with two eyes opened
https://www.amazon.com/gp/customer-reviews/R2KTFVTSIY86EJ/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B00S2P2KKSテキトー訳
とってもtrue1xに近いよ。狭い部屋の中で使うとほんのちょっと魚眼効果があるのに気付くかもしれないけど、ちゃんと両目を開けて使えるよ。
と書かれているので、安心ですね(レビューを信じるかはあなた次第)。
どれがいい?
さて、みなさんはどれが欲しいと思いましたか?
わたしは……そうですね〜……難しいけど、あえて言えば『Vortex Strike Eagle 1-6×24』でしょうか。
値段によっては『Vortex Strike Eagle 1-8×24』あたりもいいのかもしれませんが、もしかしたら8万くらいになるかもしれないと思うと、価格帯が1段階上がった気がしちゃって、「そこまで出すなら、他にも選択肢がありそう」という気がしてきます(たとえば10万前後のもの)。
Vortexは他の3万円台のスコープと比べるとちょい高めの5万円〜って感じですが、実は生涯補償が付いているんです。詳しくは “VIP Warranty” を参照してください。そしてtrue1xっぽいのも嬉しいです。
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VX-HOG PIGPLEXはパララックス75ヤード固定ですよ。
FEGSのカタログもずっと更新されていない古いものらしく今は35000~といったところみたいです。
あらら、間違いはいけませんね。あとで確認して訂正を入れます。ありがとうございます!