単独猟日記18:雪の中、1発撃って、2頭獲る

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関東で大雪の予報となり、いても立ってもいられず出猟。雪の中で猟をするのが大好きなので、数少ないチャンスを見逃したくありませんでした。

いざ出猟すると、なかなかシカに出会えず、苦戦。そして出会ったメスジカ! 冷静に1発撃つと……。

※ 獲った獲物の写真や獲物を吊った写真など、人によってはショッキングに感じる写真もあります。そういったものを見たくない方はページを閉じるようお願いします。そういった写真は面白半分にアップしているものではなく、誰かの役に立てば、と思って掲載しています。ご理解いただきますようお願いします。

雪景色

わたしはとにかく雪の山を歩くのが好きです。

雪が音を吸収し、いつも以上に静かな山。静かすぎて「シン」という音が聞こえてくるくらい。

そしていつも以上に動物の動きが見えてきます。足跡を見るだけで「ああ、ここを鹿が歩いていたのか〜」と優雅に歩く鹿の姿を想像したり、「おー、さっきまでイノシシがいたんじゃん!」と興奮したり……、飽きませんね。

ところが、この日、ぜんぜん足跡が見当たらない。

いつもなら絶対通っているであろう場所にもない。なにかいつもと違う気配がして、不安になってきました。

「もしかしてこの辺りのシカはどこかにいってしまったのかな?」

——と。

 

シカノスを目指す

わたしが “シカノス” と呼ぶ杉林があります。そこは本当に必ずと言っていいほどシカの群れがいる場所です。運が良ければ寝ているシカにも遭遇できるし、たとえ逃げるシカだとしても視界の広い杉林なので、逃げている途中に止まってくれれば発砲のチャンスもあります。

あまりにシカが多いので “シカノス”。わたしのとっておきの場所です。

「あそこにならきっといるはず……」

 

逃げるシカ!

シカノスに入ってすぐのこと。死角からシカが逃げる音が聞こえましたが、死角から死角へと逃げてしまい姿が見えず……。

走って追いかけてもいいのですが、この一帯はいくつもの群れが入っていることもあり、1つの群れが逃げても、他の群れが残っていることも少なくありません。

ガサガサと追い立てると、他の群れまで逃がしてしまうので、ここは見送る判断をしました。

むしろこちらは気配を消して、逃げるシカの音に耳を澄ませます。

 

逃げるシカのルートを読む

そのシカは少し先で立ち止まったようでした。

その先は必ず斜面を駆け上がらないと逃げ場がない地形です。下に降りると崖になっていてどん詰まり。がんばれば降りられるのですが、そこに逃げるシカをこれまで見たことありません。必ず上に逃げると読みました。

それも結構急な斜面です。

シカは駆け下りるのは早くとも、駆け上がるのは遅いんです。過剰に追い立てなければ、必ず歩きつ止まりつしながら逃げます。

「いけるかも」

と決めて、ゆっくり歩み寄ります。少し近づくと、案の定、シカは「キャン!」と鳴いて、逃げました。予想通り、斜面を登っていったのが音で分かります。

ここで始めてこちらもダッシュ。斜面が見える位置まで行って、杉の木に半身を隠し、その場に座って膝撃ちの準備。

シカの声から大雑把な位置は把握していましたが、まだシカを目視できておらず、急いで探します。

少しして動くシカを発見。案の定、のっそりと斜面を上がっていきます。2頭のメスジカ。オスは獲らないつもりだったのでひと安心。

シカはこちらの方角を見ているけど、ハッキリわたしの位置を認識していない様子。チャンスです。なぜなら居場所がばれていると、向こうも身を隠しながら逃げるのですが、バレてなければ隠れることもできないから。

スコープの中のシカが立ち止まり、身体をこちらに向けました。喉元を狙い引き金を絞ります。

このとき「ちょっと遠いぞ」と思いつつも、不思議と外す不安とか、半矢の不安を感じず、むしろスゴイ安心感を持って撃てました。距離は分からないものの、10cmほど上を狙うつもりで撃ちました(あとでGPSで距離を測ったところ107mでした。撃ち上げなので、さらにもう少し遠いかと)。

シカは一瞬跳ねるように飛び上がり、その場で崩れ落ちました。即倒です。

もう一頭のメスジカは一直線に走り逃げていきました。

 

初めての吊しての解体

今日は解体や獲物の持ち帰りに関していくつか実験がありました。

第一の実験は “吊しての解体”です。これまで「杉林だと獲物を吊しにくい」と思っており、ずっと寝かせて解体をしてきました。杉って横に伸びる枝が(低所には)ないので……。

しかしTwitterで「スリングを幹に巻けば吊せるよ」というご意見を頂き実験してみることに——。

この通り、何の問題もなく吊すことができました。杉の幹にスリングをグルッと巻いて、カラビナを付け、そこにシカを吊します。シカの重さでスリングが締まり、落ちなくなります。

今回は服部文祥さんの書物の中で書いてあったように、首を吊る形で解体してみました。

※ 正直、首を吊すスタイルは、ちょっとグロテスクな印象を際立たせる気がしますね。写真を掲載するか迷ったのですが、資料として見て頂ければと思います。寝かせて解体するのに比べて、ずっと衛生的だと思うので、肉を大事にするという観点からはまったく良心的なやりかただと思うのでご理解ください。

 

必要なものはスリングとカラビナとシカを吊すロープのみ。獲物が重いときは倍力システムを組んだりする必要があるので、余計にカラビナを持って行ったりするといいですね。

吊しての解体は大成功でした。圧倒的にやりやすい。強いて言えば、木の幹に下げているので、鹿の身体が木の幹に当たります。

だから地面よりはマシとはいえ、ちょっと肉の汚れが気になります。

これはちょっとした工夫で改善できます。解体時に完全に皮を剥がずに、背中には革を付けておくんです。そうすると腹側を解体しているときは革が保護してくれます。で腹側の解体が終わったらクルッと回して背中のロースをとればいい。

というわけ。

 

もう1本スリングとカラビナを用意して、2本の杉の間にぶら下げれば、もっとスマートですね。しかもその場合は両足をぶら下げることもできるので、足を開いて作業できます。これは嬉しい。次のシカでは挑戦したいと思ってます。

 

ゲームバッグの導入

もう1つの実験はゲームバッグ&ダッフルバッグの導入です。

ゲームバッグに肉を入れた様子

肉はすべてゲームバッグに入れました。ゲームバッグとは、アメリカ辺りでは定番のアイテムで、肉を入れる専用の袋です。ビニール袋だと滴る血が溜まり、衛生的にも良くないし、肉が血の中に浸かっていることにもなり、匂いがつきます。

対してゲームバッグは水分を吸ってくれるし、通気性があるので、乾いた状態で肉を携帯しやすい、というわけです。くわしくはこちらの記事を参照してください。

参照:海外の狩猟の話題でよく取りあげられるゲームバッグというものについて

実際に試したのは今日が初めて。大成功でした。

もちろんビニール袋でもいいし、日本にはサラシというすばらしいアイテムがあるので、それでもいいと思います。でも、こういったゲームバッグは伸縮性があり、肉を入れやすいし、何より袋状の形なので扱いやすい。4枚で(送料込み)3000円くらいするので、高いようにも見えますが、しばーーーーらく使うと思えば、決して高くないかと思います。

上記の商品は4袋セット。実際に入れて見た感じではアバラまで入れて3袋で余裕。入れようと思えば2袋でも行けるかもしれません。4枚あれば予備にもなるので十分かと。

 

そしてダッフルバッグの導入

 

わたしはこれまで肉の持ち帰りは小さなリュックを活用していました。こちらは過去オスジカを獲ったときの写真です。(見えにくいですが)リュックを背負っておりますが、とてもとても入りきらず、もう1つの土嚢袋に肉を入れて、どうにかこうにか持ちかえったものです。すごい苦痛でした。

シカの生首が写っていますので小さめの写真にしています。クリックすると大きな写真で見ることができます。

そこで大きなダッフルバッグを導入。

ダッフルバッグは丸めるとそれなりに小さくなります(それなり、です)。

このベストに縛り付けてあるのがダッフルバッグです(さらに中に3枚のゲームバッグが入っています)。

獲物が獲れたらこれを解いて、広げます。そうすると、解体中は道具置き場に早変わり。

地面にものを置くと、いとも簡単に紛失します。本当、驚くほど簡単になくします。

なので、こういうスペースを必ず作って、そこに道具を広げる方が絶対いいです。

で、解体を終えたら、肉をゲームバッグに入れて、道具を片付けて、ダッフルバッグに積載します。

メスジカ1頭分の肉が入った状態です。パッと見大きくないと思うかもしれませんが、肉の塊ですから、重いです。

 

残渣を処理して……

さて、ここまで終わったので、持ちかえらないシカの残渣を処理する必要があります。このあたりは掘って埋めるのに都合のいい場所がなかったので、ちょっと引っ張っていって別の場所に埋めることにしました。

そこまでシカの身体を引っ張っていたときのことです。

「あれ……血がある……」

たまたまでした。自分の前に血が垂れているんです。わたしが撃ったシカは即倒しています。1歩も動いていません。それはちゃんと見ていたので確かです。

それにここに他のハンターが入っていないのはまちがいない。雪は昨晩から今朝にかけて降っていたので、まちがいなくさっきついた血です。

「まさかわたしの弾が貫通して、後ろのメスジカにも当たってた!?」

たしかに、さっきメスジカが逃げていったルートです。まちがいなく、あのシカでしょう。ちょっと気になって10mほど追跡してみると、点々と血が垂れている。そのうえ、座っていた形跡も発見。

シカがケガをしてすぐに座り込むときはかなりの大ダメージです。

慌てて、解体したシカの死体を埋没予定場所に置き、さっきの血を追うことにしました。肉は置いておき、追跡します。

すると100mほど追跡したところで「ガサガサ」とシカが動きました。そう、解体をしていた1時間ちょっとの間、ずーーっと100mくらい離れた場所に座っていたことになります。つまり重傷であることはまちがいない。

しかし逃げます。致命傷ではないのかもしれません。

わたしが10m歩み寄ると、10m逃げる。ちょっとでもわたしの姿が見えなくなると、座り込む。

実は半矢のシカを追うのは初めてです。必ず1発で仕留めてきました。

「困った……痛いだろうに……」

シカを撃って殺したときよりも、こうして半矢にして逃がしているときの方が心が痛みます。

「逃げないでくれよ……」

と、心細い気持ちになります。どうにか視界を確保できる場所でシカが停止。こちらを振り返りました。距離は70m弱でしょうか。素早く頭に照準を合わせて撃ちます。弱冠ドロップしたのか、首の辺りに弾が入り、即死。

 

意図せず2頭

わたしは基本的に1日1頭しか獲りません。

持ち帰ることを考えるとそれが限界です。

しかし、意図しなかったとはいえ、2頭獲るしかありませんでした。まさか半矢のシカをみすみす逃がすわけにもいきません。それは優しさではなく、責任の放棄です。

またこのシカを吊るし、解体しました。予備でビニール袋を持ってきていたので、それに肉を入れて、ダッフルバッグにいれます。これで2頭分。

こちらのメスジカは小さかったので、持ちかえることができました。もし大きなオスジカなら難しかったでしょうね。ともかくゆっくり下山し、この日の猟は終わりました。

 

引き金を引く覚悟

2頭目のシカに当たっていたことが分かったとき、神様に「お前は引き金を引くとき、これくらいの覚悟をしていたかい?」と問われたような気持ちでした。

いくら「ぼくは1日1頭しか獲らないよ」と口で言っていても、いざ引き金を引けばこうして2頭獲れてしまうこともある。今回は本当に運良くすぐに半矢の2頭目を発見し仕留めることができましたが、もしかしたら本当に中途半端なケガをさせて、逃がしてしまうという可能性があったわけです。

その覚悟があるのか? と。

 

半ば運のようなものもあるので、今回2頭撃ってしまったことを反省するということでもありませんが、猟をする以上、こういうことは起こると思っていなければいけませんね。1頭倒れたからOKではなく、撃ったときに後ろに他のシカがいたならば、そっちはどうだろう? とちょっと気を配るだけでも違うのかもしれません。

 

メスジカを獲った理由

実は最近、鹿は見かけても撃たないようにしていました。

もう冷凍庫はいっぱいだし、獲るならシシを獲りたいから……。でも今日は最初からメスジカ狙いでした。というのも、仲のいい友だちに肉をプレゼントしたかったから。なので、獲った肉は全部解体して、食べやすいようにして、真空パックして、郵送。

(ここまでお膳立てしてあげるのは最初だけですけどね〜)

予定外に2頭獲れてしまったので、みんなに協力してもらって、それぞれ多めに送りました。

 

冷凍庫の都合で鹿に手はださないようにしていましたが、県からは「メスジカ獲って〜」というお達しもあり、本当はもらってくれる人を見つけてでも撃ったほうがみんなに喜ばれるのかな……。こうして解体技術も向上するし、自分的には狩猟はおもしろいし。

県が冷凍庫と電気代を出してくれるならもっと獲りますけどね〜。駆除費はいらないので。

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