マタギの里と呼ばれる阿仁町に行ってきた

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阿仁町といえば、『マタギの里』と言われる場所。マタギの文化に興味がある人ならば、必ず見聞きした町名でしょう。

わたしは「自分がハンターを志しているから」というだけではなく、文化としてのマタギにも興味があり、これまで散々マタギ関連の書籍は読み漁ってきました。そして、阿仁町に行くのも今回で2度目。

今日はわたしの阿仁町の旅をご紹介したいと思います。もちろん、マタギ・猟師に関する話題もありますよ。

基本的には車中泊

わたしは車中泊がまったく嫌いじゃないどころか、下手に宿を取るよりもずっと車中泊の方が快適だと思うタイプです。更に言えば寝袋も大好きで、苦じゃないどころか大好きです。

今回阿仁町に到着したのは夕まずめの頃。スッと居場所を決めて、ビールで晩酌。冷たいビールが、長い運転で疲れた身体に「休んでいいよ」と言いながら、喉を通っていきます。

 

夕まずめの景色を魚に酒を飲むのも悪くないものです。

 

まずは山神様にお参りを

マタギに興味を持ち、自分も今冬から狩猟を始める身。験を担ぐ意味でも、これから何日かお世話になる挨拶という意味でも、この地のマタギが猟期の前に豊猟と安全を祈るという、”山神様” にお参りをしました。

こちらの祠は比立内という地区の端っこにあるもの。前回も来たので場所はすんなり分かりましたが、知らないと見つけにくいかもしれませんね。

大山神と書かれた鳥居の奥に小さな祠。マタギに関する動画で、ここで祈るマタギの姿を見たことがあります。

わたしも自分なりに、自身の猟の安全を祈りました。豊猟も祈りたいところですが「狩猟者1年生の自分が豊猟だなんておこがましいな」と思い、安全を祈願したあとに「せめて1頭」と付け足しておきました。

 

マタギの湯

比立内にはわたしが知る限り日帰り湯がないのですが、車でちょっと走った打当という地区(こちらもマタギで有名)にはマタギの湯という大きな温泉があります。

マタギの湯のウェブサイト

 

地元の方も来るようで、湯に浸かって、おじさん同士の会話を横で聞いているのも一興です。

また、マタギ資料館も併設されており、そちらにはかつてのマタギが使っていた道具などが展示されています。古いナガサなどもあるので、刃物好きの人も楽しめるかもしれません。

また、マタギの湯にあった古いデザインの部屋。何に使う部屋なんでしょうね。わたしはこの部屋が大好き。こんな部屋に住みたいと心底思いましたよ。

 

根子という陸の孤島的な集落

阿仁町はたくさんの集落で構成されています。マタギ文化もその集落ごとに少しずつ異なるようで、マタギを研究した古い本を読んでも、マタギ言葉(山言葉)が集落ごとに違ったりします。

そんな数ある集落の中でも、わたしが見る限り、1番陸の孤島的であり、もっともインパクトがあったのが根子集落。

そもそも多くの集落は県道沿いに点在しています。そうでなくてもそれなりに大きな通りに面しているわけです。一方で根子は県道から小道に入り、車1台しか通れないのに、距離が500mほどもある細長いトンネルを通って、ようやく辿り着くのです。

しかもこのトンネル。できたのが昭和50年。最近の話です。それまでどうしてたんだろう!?

根子の地図

 

このトンネルを抜けるとこの通り。集落を一望できます。この景色だけでも見ていく価値があると思いますよ。

 

根子集落はマタギ発祥の地とも言われ、根子番楽が国の重要文化財にも指定され、さぞすごい場所かと思いきや、観光ッ気はゼロです。本当にゼロです。わたしは興味があったので、邪魔にならない場所に車を止め、集落を歩き回ってきましたが、正直、人の家に間違って上がり込んでしまったような気分になります。

でもとっても良い地区です。この集落にもちゃんと山神様を祀る祠がありますので、こちらにも手を合わせます。こうしていくつもの神社に手を合わせるのってどうなんでしょうね? 神様をハシゴしているようで後ろめたい気持ちが……。

 

山を歩きたくて日本第2位の滝へ

ちょっとは山を歩いてみたくて、手頃なハイキングコースになりそうな安の滝を目指すことにしました。

安の滝は日本で第2位になったこともあるとっても有名な滝。しかし見に行くためには非舗装の林道を約30分、そこから歩いてさらに1時間弱とけっこう大変。また、ツキノワグマの生息地でもあるため、不安を感じる方は行かない方がいいでしょう。

さて、この日は林道が少し荒れていて、途中に落石もありました。少し前の台風の影響でしょう。それらの石を撤去する地元のおじさんがいたので、わたしも一緒に林道の整備をお手伝い。少しだけですけどね。

そうこうして、テクテクと山を歩いて安の滝へ。熊よけにラジオでも……と思ったら、ラジオが入らないの……。

安の滝は悲恋の物語があります。長い話をざっくりはしょると「いつまでも恋人を待っていた女性ヤスが身を投げた滝」です(詳しくはこちら)。

2段階の滝は本当に美しいし、荘厳です。存在感がありますよ。

 

地元の方々との交流

阿仁町にやってきたのは、滝を見たいとか、そういうことではありません。

地元の方々と交流したり、集落の風景を眺めることが1番の目的。前回も立ち寄った商店に顔を出すと、なんとわたしのことを覚えていてくださいました。嬉しくていろいろと話し込んでしまいます。

「このあたりはクマ出るよ。阿仁じゃクマが出ても警察に連絡したりしないよ。こっち(人間)が山にチョロッと入るのと一緒で、クマだって町にチョロッと顔をだすだけさ。なーんもしなけりゃ、向こうも去ってくよ。でも、たまに町の味を覚えちゃうクマもいるんだな。そりゃやっぱりけじめつけなきゃダメだ」

猟師でもない普通の人が、熊の話を、こうもすらすらと話せることに驚きます。

「マタギに興味あんの? それなら○○さんの家に行きな。たぶん最高齢のマタギだよ。ほらすぐそこの家だから」

すぐに家の場所まで教えてくれて、何時に伺えば良いかも教えてくれます。しかし残念ながら今回は会えず……。本当に残念。

 

最後の晩

最後の晩、なんとなく名残惜しくて夕暮れの写真を撮ろうと阿仁町周辺を走り回ります。田んぼと山と川。この山にクマがいて、人が田んぼを作り、川には魚がいる。物語を感じさせるような風景です。

 

森吉ダム。比較的新しいダム湖です。森吉山のふもとにあります。夕暮れの景色はなかなかのものでした。

 

阿仁町いいなぁ

わたしは阿仁町が好きなようです。

なにがあるとか、そういうことではないのですが、全体を漂う空気感がすばらしい。また、マタギの文化もやっぱり美しいと思う。わたしはハンターにこそなれても、マタギにはなれません。しかしそのマタギ的精神、マタギ的な生き方、そういうものは少しでも吸収したいし、長い歴史に埋もれることなく残って欲しいと思うのです。

「ただクマを狩る」という話ではなく、1年を通じた自然と人の交流といった、生活の根本に近い部分に「マタギ」の魅力を感じます。

自分なりに良いハンターにならないと! と気を引き締める阿仁の旅になりました。

 

〜以前、阿仁町に行ったときの記事です〜

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