ブログ『山のクジラを獲りたくて』の作り方
ずいぶん前に「ぼくも狩猟ブログやってるんですが、アクセス数が伸びなくて……」という相談を受けたことがあります。このブログもけっしてアクセスの多いブログではないのですが、それでもぼくに訊いてくれるということは、なにか参考になることがあると期待されているのだろうと思いました。
このブログのPVは季節変動が大きいですが4〜10万PVくらいです。収入でいえば、詳細は伏せますが、月に数万円ってところ。生活費にはならないけど、お小遣いとしてはバカにできない額ですね。仮に月に3万円としたら、年間で36万円。狩猟に関わる経費はだいたい賄える計算です。
——というわけで、ぼくは良いブログの作り方は知りませんが、少なくとも『山のクジラを獲りたくて』の作り方は知っているので、それをお話してみようと思います。
結構長い話になります。ブログに興味がない人はつまらないかもね。
目次
長くなりそうなので、ザッと目次を作っておきます。正直にいえば、これらを分割して複数の記事にした方がいろいろ良いのですが、うちはあくまで狩猟とアウトドアのブログなので、「ブログのハウツー」ばかりにしたくないんです。だから思い切って1記事にまとめちゃいます。
それぞれ浅く触れていくので、興味がある人はTwitterなどでコメントをください。必要に応じて記事を増やします。
——あと言い訳がましい話ですが、ぼくも日々、書きながら模索しています。だからここで書いた手法に合わない記事も書いています。わざと定石を外してみたりして、いろいろ実験してきましたが、この記事で書く方法がもっとも基本だと思っています。
- 記事の書き方の3原則
- 1記事1テーマ
- タイトルで口ごもらない
- 余談は入れない
- ネタの作り方
- ネタは見つけるのではなく作る
- 買う前、買った直後、しばらくあとでまた書く
- 切り口は狭く鋭く
- アクセス数の増やし方
- 記事をたくさん書く
- 検索に強い記事とSNSで強い記事
- 目の前のPVよりも、長く読んでくれる人を大事に
記事の書き方の3原則
ブログの記事はここに挙げた原則を大事に書いています。
1.1記事1テーマ
ブログは何文字でも書けるけど、そんなに長文に向いているメディアではないと思っています。ぼくは2000〜3000字くらいを目安に書いています。4000字を超えることは多くないはず。
となると、あれもこれも書くことはできません。だから1記事1テーマに絞らないと書けないはずなんです。そして1記事1テーマを貫いていればタイトルも自ずとそのテーマに沿った内容になります。
1つの記事でアレコレ書くと、タイトルがおかしくなるはずです。たとえば「最近買った双眼鏡を猟に持ち出したからそれを紹介する内容」と「その日の猟で獲れた獲物のこと」を同時に書こうとするとタイトルをどうしていいか分からなくなっちゃいます。結構ありがちです。
それなら「新しい双眼鏡を猟に持ち出して気付いたこと」という記事と、「その日の狩猟日記」を別々に書いた方がいいですね。
とにかく1記事1テーマ。大事です。
2.タイトルで口ごもらずテーマを明確にする
これは本当にありがちだし、これをやった時点でぼくは絶対に読みません。
「前々から欲しかったアレをとうとう買いました」
みたいなタイトルですね。これが通用するのは「名前だけで読者が読んでくれる人気者」だけです。本人としてはすっごく嬉しい買い物だったのでしょうけど、読者にとっては無数にいるブロガーの買い物です。ちゃんとはっきり書きましょう。
「念願のM870を買いました」
の方がまだマシです。でもこれだと、その記事のテーマが見えてこないです。「買いました」「へ〜」って感じ。それなら
「M870を買ったので第一印象をまとめます」
みたいなタイトルの方がぼくは好印象です。さらにいえば「第一印象ってなに?」となるので、「M870を買って気付いた強みと弱み」とか「M870の好きなところと嫌いなところ」というように明確に書くように心掛けています。
3.余談は入れない
冒頭にありがちな挨拶文。あれいらないですね。
リアルタイムで読んでくれている人には意味があっても、1年後に検索で辿り着いた人には無意味どころか悪影響しかありません。
ネタの作り方
「アクセス数の増やし方」でも書くように、ネタをたくさん作るってのが超重要だと思っています。その為にはこの3つの意識が大事かな、と。
1.ネタは見つけるのではなく作る
ブログをやってて「ネタがない」って言ってる人いますよね。
「ネタがない」ってのは「あれ、砂糖がないな」「あれ、米がない」と言っているのと同じで、ネタがその辺にあるものだと思っている証拠です。
ネタはそこにあるものではなくて、作り出すものです。数日に1度はノートを開いてネタを何個も書き出す時間をとるようにしています。ひとつの道具をいろんな角度から書いてみる。たとえば「狩猟用ナイフ」というテーマもちょっと視点を変えれば、「狩猟に適したナイフのハンドルの素材は?」とか「狩猟に適したシースは?」という記事は書けるはず。
「もし記事のネタを10個つくらないとあなたの大事な人を殺す」
って言われたら、10個くらい作り出すでしょ? 脳みそに汗をかくくらい考えないと。
2.買う前、買った直後、しばらくあとでまた書く
なにか道具を紹介するのに「買った直後だけ記事にする」ってのはすごくもったいないと思っています。
まず買う前もおもしろい記事になると思います。とくに高い買い物の場合、いろいろ考えて買うはずです。比較した商品は? どういう点で悩んだ? いろんな人の意見を聞いたんじゃない? そういうことを書いてもいいですよね
そして買った直後は誰もが書くんです。「ほら、これを買ったよ!」と。
あとは半年後、1年後と、何度もレビューというか、そのときに思っていることを書くとおもしろいですよね(ぼくがそういう記事が好きだし、読みたいのです)。
買ったときは「これは超いいもの」と思っていたものが、意外と良くなかったり、意外な良さに気付いたり、あるいは改造してさらに良くなっているケースもあるはず。
3.切り口は狭く鋭く
さきほど例に挙げた「解体用ナイフ」を記事に書くとしても、切り口を変えればいろんな記事になります。
そのとき大事なコトは「切り口の違い」と同時に「狭く鋭く」という点です。
たとえば「狩猟用ナイフの選び方」というのはとってもざっくりしたネタですね。悪いわけじゃないし、これはこれで書けばいいと思います。でも、もっと狭く鋭く「狩猟用ナイフ」について考えると「狩猟用ナイフに適した刃厚は?」「刃長は?」「刃高は?」「ハンドルの素材は?」「持ち運び方は?ベルトに下げる?ザックの中?」なんて具合に要素を分けていけばそのすべてが記事になるはずです。
さらに切り口を変えれば「女性用の狩猟用ナイフは?」とか「1日3頭をさばくための解体ナイフは?」とか、「忍び猟と巻狩での解体ナイフの違いは?」とか……まだまだネタが作れそうですよね。
たとえばぼくは双眼鏡についてあれこれ書きました——
狩猟家ブロガーのみなさんが使っている双眼鏡から、狩猟用双眼鏡を考える
狩猟で使えそうな8倍・30口径くらい・防水の双眼鏡を挙げてみる
海外ハンターの双眼鏡事情は日本とは違うようです
まだまだあります。双眼鏡だけでも山ほど書いてます。
アクセス数の増やし方
アクセス数(PV)がすべてとはまったく思っていません。だけど、書くからには読まれたいのも事実。読まれなくて良いなら日記帳にでも書いておけばいいと思っています。ブログは個人メディアなので、好きなことを書くのは間違いないのですが、好きなことを、より多くの人に読んでもらえるように書くというのもおもしろさだと思っています。
『山のクジラを獲りたくて』は所詮は弱小ブログで、世間の人気ブログに比べると足下にも及ばないアクセス数です。だからあんまり偉そうなことは言えないんですが、少なくともこれまでやっていて気付いたことを書いてみます。
1.記事をたくさん書く
まずアクセス数を増やすなら、検索からの流入が重要になります。というのも、新しく記事を投稿して、たとえばTwitterとかで告知をするとその日はたくさんの人が読んでくれます。しかし、翌日にはガタンと落ちるのが普通です。
たとえばこの記事は8月1日に公開した『山道具の断捨離とそれで思いだした制限が生み出すおもしろさ』という記事のPVのグラフ。
これだけ見ると、1日目こそ読まれていますが、翌日以降はグッと下がっているのが分かりますね。この数字を頼りにアクセス数を増やそうとすると、かなり精神的に苦しいです。
でも考え方を変えてみましょう。いまは検索の時代。たとえ古い記事でも日本中のどこかの誰かがなにかを検索しています。たとえば1つの記事を、毎日だれか1人に見てもらえるとしましょう。もし1000コの記事があれば、毎日1000PVは確定します。しかもこれは新規記事とは関係ないので、はっきり言って更新をしようがサボろうが、1000PVは確保できるわけです。
ぼくのブログもアクセスの7〜8割は検索からです。つまり、更新をサボってもしばらくは7〜8割のPVは減りません。
というわけで、「記事がたくさんある」というのは凄い強みです。
ぼくはブログを始めて最初の2年で540の記事を書いています。基本的に毎日書く前提で、どうしても書けない日だけサボる感じでしたね。最近はほかに書くものが増えたもんで、ちょっとサボり気味ですが、でもブログでアクセスを増やそうと思ったら大量の記事を書く意外にぼくは方法を知りません。
2.検索に強い記事とSNSで強い記事
正直に言えば「狩猟記」的な記事……つまり「狩猟に行ったら、こんな感じだったよ」というエッセイ調の記事はめちゃくちゃ検索に弱いです。書くのはすごく楽しいんですけどね。ブログは好きなことを書きたいので、こういう記事は喜んで書いていますが、検索には弱い。公開直後は結構読んでもらえても、数日後には閑古鳥。
一方、ぼくの記事の往年のトップPVを獲得しているのは『なぜBiCライターが登山用にオススメなのか?』という記事。これなんて、公開直後は(当時は読者も少なく、SNS上でのフォロワーも少なかったので)誰にも読まれない記事でした。
言ってみれば「大量に書いた記事の1つ」って感じで、書いたときのことも覚えてないんですが、でも、今となってはいつ見てもアクセス数トップ3に入り続けています。
ここで『タイトルで口ごもらずテーマを明確にする』で書いたことの効果が見えてきます。
もし、この記事のタイトルが「登山用のライターにはアレがオススメ」だったらどうでしょう? SEO的にも弱いし、「今BiCライターについて調べている人」はたぶん見てくれません。だってどのライターについて書かれているか分からないから。
あるいはタイトルが「登山にはBiCライターを愛用してます」というタイトルだったらどうでしょう? SEO的には商品名も書かれていて良さそうですが、その記事を読まなきゃいけない理由がわかりません。
で、ぼくが付けたタイトル『なぜBiCライターが登山用にオススメなのか?』を見てみると、SEO的にも良さそうだし、読者としても記事を読めば何が分かるのかが明確です。言うまでもなく「登山でBiCライターが使える理由」を書いているわけですね。
アクセスを増やしたいなら、少しはこういうSEOを意識しつつ、良いタイトルをつける必要があるでしょうね。
3.目の前のPVよりも、長く読んでくれる人を大事に
検索が大事、SEOが大事……でも、そればかりではなく、いつも読んでくれている読者に向けたSEO度外視の記事も大事だと思っていたりします。バランスですね〜。
目の前のPVだけを追い求めてそういう記事ばかりを書いていると、そのスタンスは透けて見えてきます。
検索では見てもらえてるけど、本当の意味で「あんたの記事を読みたいんだ」と思ってくれる人がいなくなってしまいます。そうなるとちょっと寂しいですよね。
ぼくは一応SEO的なことを意識はしつつも、じつは「これまでずっと読んでくれている人が、楽しんでくれる記事」を書きたいという気持ちが強いんです。そうやって書いた上で、お化粧として「SEOに強そうな記事」を意識するくらいのもの。
ふぅ……。長い記事になった
ブログの記事は2000字を目安に〜なんてこの記事の前半で書きましたが、今の時点で5000字を超えています。
いくらでも例外はありますよ。笑
この記事では全体的に「アクセス数を増やすために」という視点を重視して書いていますが、今ぼくの本心は、ちょっと別なんです。アクセス数が見込めない(検索が見込めない)けど、じつは本当はおもしろいタイプの記事を掘り下げていきたいな〜なんて思っています。まだその方法は迷っていて答えはないんですけどね。
でも少なくても、「これまでの『山のクジラを獲りたくて』の作り方」はこの記事の通りです。
チャオ。
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