狩猟における「身を守る」道具のこと
狩猟の道具と言えば、「獲物を獲る道具」のことを考えると思います。ぼくの場合は鉄砲ですね。
おそらく次に考えるのは「獲物を処理する道具」であるナイフやのこぎりといったもの。そして山で行動するためのザックやクッカーなど登山的な道具のことも考えるはず。
ここまでは「ないと猟にならない」ところもあるので、おそらくは初年度でもある程度は揃えていくと思います。
でも、意外と疎かになりがちなのが「自分の身を守る道具」。
いきなり全部を揃える必要はないし、猟風によってはいらないものもあると思います。だけど、こういうものがあると知っているだけでも参考になると思うし、お金に余裕があるときなんかに投資しておくと長く狩猟を楽しめるのではないか、と思うんです。
耳を守る電子耳栓・電子イヤマフ
銃猟だと銃の爆音で耳を悪くしてしまいます。ほら、地元の大ベテラン猟師も耳が遠かったりしませんか? やっぱりできることなら何らかの耳の保護はした方がいいと思います。
時間的に余裕がある猟なら、普通の耳栓やイヤマフでもいいと思いますし、つけ外しが煩わしいなら外部の音は聞こえるけど、銃声の音をカットしてくれる電子耳栓・電子イヤマフを導入するのもアリです。
ぼくはTEP-100という電子耳栓を使っていますね。
参考:【使える?】電子耳栓3M PELTOR TEP-100を使ってみて感じたこと
リロ氏は電子イヤマフを使っていますね。
言うまでもなく生音に比べれば、音質は劣ります。だけどね、10年20年経って、耳が遠くなった状態の生音よりはずっと聞こえると思いますよ。
目を守るアイウェア
山では思いのほか目を痛めることが多いです。もちろん発砲時に目に何かが飛んでくる、という可能性もありますが、それ以上に「笹や枝の先端が目に刺さる」という頻度の方がずっと高いです。何度もくらってます。
というわけで、なんらかのアイウェアは本当に持っていた方がいいです。
先述の電子耳栓などはかなり高価なのですぐには買えない人も、アイウェアは安いものなら数千円程度。こだわって高いのを買っても数万円。目ん玉を失うくらいなら、買っておいていいと思いますけどね〜。
迷子にならないようにGPS系のガジェット
登山道を歩く登山でも人は道に迷います。狩猟では道もないところをあっちこっちと歩くわけです。迷わないわけがない。とくに初心者で、その山に精通していないうちは余計に迷います。慣れていても、獲物に夢中になって歩いていると、「あれ?ここどこ?」なんてこともあるわけですよ。
「自分は注意深いから大丈夫」
なんて過信しない方がいいですね。人は簡単に迷います。ぼくも迷ったことがあります。
なんらかの形でGPS系の道具を持っておくと良いです。
もちろんGarminのeTrexなどのGPSガジェットを買うのもアリです。ぼくは持っています。一方で、スマホのGPSアプリも十分使えます。むしろ使いやすい面もありますね。
参考:遭難事故から学ぶ:山には必ずGPSを携帯すべき理由とスマホGPSのこと
それぞれ一長一短があるので、どちらが良いかは人それぞれですが、正直言って、みんなスマホは持ってるでしょ? それなら黙ってGPSアプリはインストールして、使い方を覚えて、自分が行く山の地形図をDLしておきましょう。いざってときに救われますよ。
最悪の場合は助けてもらおう、ヘリレスキューのココヘリ
山で滑落したりして、行動不能になったらヘリに救助を要請することになります。
でもヘリって高額だし、あなたが遭難した場所だってそうそう分かりません。そこで役立つのがココヘリ。
詳しくは公式サイト見ていただくとして、ざっくり言えば「あなたの位置情報を示す発信器を持っておけば、困ったときにピンポイントで助けてくれて、ヘリの救助費用もカバーされる」というサービスです。
とにかく「遭難した」ということを通知さえできれば、助かる可能性を飛躍的に向上させるサービスです。
携帯の電波がなくても通信できる衛星通信サービス InReach
ココヘリのようなサービスを利用していても、「遭難した」と通知できなければ、誰も助けに来ません。
でも山の中は圏外になることが多い。そこで活躍するのが衛星通信です。ぼくが今年導入したのはGarmin InReach Miniですね。
これについては書きの記事を読んでもらえば、機能の概要は分かると思います。
参考:Garmin InReach Miniを手にして分かった使いどころ
簡単に言えば、家族や友人に衛星通信を通じてメールを送ることができるサービスです。困ったときに「助けて〜」とも送れるし、逆に「予定外の事情で遅くなってるけど、無事だから心配なく」というメッセージを送ることもできます。
ぼくのような単独猟が中心だと、InReachやココヘリといったサービスはかなり心強いですね。ほんと。
そういうのが役に立たない事態——つまり滑落して即死、みたいな場面はどうしようもないですから。
暖がとれるツエルトやエマージェンシーブランケット
遭難して、あるいは遭難でないにせよ、ビバークしなくちゃいけないときに最低限のシェルターとなるツエルトやエマージェンシーブランケットがあると安心感がありますね。
参考:ツェルトを買った理由とファイントラックを選んだ理由
参考:自分に合う道具だと感じたSOLヘビーデューティー・エマージェンシーブランケット
ロープ類
1本、しっかりしたロープがあると、何かと役に立つものです。もちろん使いこなせる前提ですが。
過去にこんなことがありました。
下山が遅れて日暮れが刻々と迫っている中、普段とは違うルートで下山していました。GPSがあったので、向かっている方向もあってるし、駐車場所も目と鼻の先という場面です。「ああ、もうすぐだ。よかった」と思ったら、なんと3〜4m程の崖。飛び降りることは到底できない。ぼくの技量じゃ自力で降りるのは危ないと感じる場面でした。かといって山を登り返して、別のルートに戻るのは凄い時間がかかります。確実に真っ暗闇を歩くことになる。それはそれで避けたい。
そこでロープです。
木にかけて、それを掴みながら崖を降りました。
ロープがあったから何事もなく下山できましたが、なかったら結構途方に暮れる場面でしたね。
ライト、予備バッテリー、FAK
これらは基本過ぎるので、触れませんが、ライト類やスマホなどの外部充電器、ファーストエイドキット(FAK)なども身を守る道具としては基本ですね。
身を守ることができるから、猟に集中できる
こういう自分の身を守る道具は、直接的には獲物を獲ることには繋がりません。
耳栓してるから獲物が獲れるなんてことはないですからね。
でもね……不安がないから狩猟に集中できるっていうのはあると思います。たとえばGPSがあるから、安心して知らない場所に入ることができる。無謀な挑戦は良くないですが、「あとちょっと奥まで行ってみたいな」という場面でGPSが支えになることはあるはずです。
また、上に挙げたようなものを最初から揃える必要はないし、猟風によってはまったくいらないものもあるし、僕自身も「今日はこれはいらないな」と省略するものだってあります。
華がある道具じゃないですが、お金に余裕があるときにちょっと買っておくと、長く狩猟を楽しめるんじゃないかな、とぼくは思うんです。
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