【使える?】電子耳栓3M PELTOR TEP-100を使ってみて感じたこと

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3M PELTOR TEP-100という電子耳栓(デジタルイヤープラグ)があります。

そもそも電子耳栓というものを知らない人もいると思うので、そのあたりの基本から、TEP-100の性能、そしてじっさいに猟場で使ってみた感想を書いていきたいと思います。

(ネットで日本語の情報があまりないので、ちょっと長くなりますが、書けるだけ書いていきます。気になる情報があればTwitterで問い合わせてくれればできるかぎり追記していきます)

電子耳栓とはなにか?

電子耳栓(デジタルイヤープラグ)とはなにか? シンプルに言えば、マイク・スピーカー付きの耳栓です。

基本的に耳栓なので、つければ周りの音が聞こえなくなります。そして耳栓の外側にマイクが付いていて、周囲の音を拾ってくれるわけです。拾った音は耳栓の中にあるスピーカーで耳に届きます。これにより耳栓をしているのに、周囲の音を聞くことができるというわけです。

そして一定以上の大音量が入ってくるとスピーカーをシャットアウト(あるいは音量ダウン)する、と。

理屈上は「周囲の音は普通に聞くことができて、発砲音などがあるとそれを抑えて耳を保護してくれる」という夢のようなアイテムなわけです。

 

電子耳栓は情報が少ない!

じつはこんな夢のようなアイテムですが、ネット上での日本語の情報はものすごく少ないです。

なにしろ使っている人が少ない。猟をやっている人はそもそも耳栓を使わない人が多いし、射撃だと定番のモデルが1つ2つあって、それを使っている人が多いみたい。

だからどうしても海外の情報を漁るしかありません。実物は試せないし、思い切って買って試すしかないのですが、価格帯が高いので気楽に試せず二の足を踏んでいる人も多いのだろうと思います。

正直に言えば、わたしも電子耳栓はこのTEP-100しか知りません。だからほかと比較はできないということは明記しておきます。

 

今日ご紹介するTEP-100ははっきり言って安くはありませんが、比較的海外でも評価が高く、安物買いの銭失いになりにくいかな、という判断です。とはいえ、Amazon.comのレビューを見ると高い評価が多いのですが、「TEP-100にも満足いかない」という意見もあります。人それぞれ感じ方が違うんでしょうね。

こういう商品は「聞こえ方」という感覚的な部分が大きいので、わたしが「良い」と思っても、他の人には「こりゃダメだ」と感じられることもあるでしょう。レビューの難しい商品です。

 

3M PELTOR TEP-100の基本情報

 

付属するものは——まずはケースと耳栓本体。ケースに基本的なマニュアルが書いてありますが、これ以外にも詳細な説明書(英語)が付属します。

 

風防となるスポンジがたくさん。TEP-100本体に両面テープで貼り付けて使います。

 

そして耳栓に装着するスポンジが4種類。

 

3M PELTOR TEP-100のスペックを見ていきましょう。

  • 充電機能付きポータブルケースが付属 → かなり頑丈。
  • Micro B USBケーブルでも充電可能(ケーブルは付属しない)
  • 使用する電池は単3電池を3つ
  • NRR値(遮音性)は使用する耳栓のスポンジ部分によって23〜30dB(これについては後述)
  • バッテリーは16時間もつ(理論値)
  • ケース・耳栓本体共にIP67に準拠(防塵は最高級の6、防水は7級であり水深1メートルで30分OK)
  • 通常モードと集音モードがある。通常モードは普通に周りの音が聞こえるだけ。集音モードは周りの音が大きく聞こえるようになる。

 

補足→NRR値(遮音性能)について

遮音性について補足しておきます。

このTEP-100は耳栓本体と、そこに装着するスポンジ部分に分けられます。そして遮音性はスポンジ部分に依存します。

3M UltraFitというスポンジは23dB、3M PELTOR CC-GRM-25は27dB。そして別売の3M Skull Screwsというモデルは30dBとなります。最後の別売モデルは今取り寄せ中です。届いたら試すつもり。

 

さて、NRR値とはなにか? これは音を遮断する強さです。つまり30dBだと、周囲の音を30dB分だけ小さくしてくれることになっています。だから、大きければ大きいほど遮音性が高い、と。

イヤマフと比較してみましょうか。たとえば、3Mの結構ごついH10Aだと30dB。

同じく3Mの薄めのイヤマフであるH6F/Vだと21dB。

というわけで、23〜30dBであるTEP-100はけっして悪くないことがわかります。

ちなみに発砲音は150〜160dBあり、難聴を防ぎたければ80〜85dB以下に抑える必要があるそうです。そうなると、NRR値は60〜70dB必要ということになりますが、そんなイヤマフや耳栓は見たことありませんね。というわけで、NRR値23〜30dbというTEP-100は悪くない、と感じます。

参考:銃声の大きさとは?:ジェットエンジンより大きな銃声の到達距離
参考: 遮音の目安(NRRについて)

TEP-100の使い方(簡易マニュアル的な)

使い方は簡単です。ほとんどマニュアルを見る必要もありませんが、要点だけ書いていきます。

 

【充電ステータス】

ケースに入れると自動的に充電されますが、充電中に確認ボタンを押すと、充電ステータスがLEDで表示されます。その意味は

赤く点灯 充電中
赤く点滅 充電していない(接触不良等)
赤く速く点滅 温度異常(寒すぎ・暑すぎ?)
黄色く点灯 充電中(電池自体が容量低下)
黄色く点滅 充電していない(そして電池自体が容量低下)
緑に点灯 充電完了

普段は赤い点灯と緑の点灯しか見ませんね。電池で充電しますので、電池自体の容量が少なくなったら点滅します。そうなったら電池を交換しましょう。

 

【本体の電源ボタンの使い方】

本体にはボタンは1つしかありません。これがON・OFFだけではなく、通常モードと集音モードの切り替えも兼ねています。それらの遷移をまとめておきます。

電源OFF状態で長押し ビープ音が1度鳴り、電源がONになる。

→本体は「通常モード」

通常モードで短く押す 高いビープ音が鳴り、集音モードになる。

→本体は「集音モード」

集音モードで短く押す 低いビープ音が鳴り、通常モードになる。

→本体は「通常モード」

電源ON状態で長押し ビープ音が2度なり、電源がOFFになる。

→本体は「電源OFF」

 

なんだか小難しく見えますが、実際は簡単です。要するに長押しで電源のON/OFF。電源が入っているときは短く押すことで集音モードと通常モードが入れ替わる、というだけのことです。

 

TEP-100を実際に使ってみて

さてまだまだ「使い込んだ」とは言えませんが、山に2度持っていって、その間はずーっと装着して使用していました。現時点での感想を記録してみたいと思います。

もっと使い込む過程で思うことがあれば、そちらも記事にしていきます。

 

【よいこと】

1.半日程度の猟でしたが、常時装着していてストレスはあまりない。

実際に半日(4時間)程度の使用で、ストレスはあまり感じませんでした。実際、途中で疲れて外すようなこともありませんでしたし、「あー嫌だ!邪魔くさい!」と思うこともありませんでした。

むしろ、装着していることを忘れてしまっていたほどです。

ただ、これは個人差が大きいでしょうね。耳の穴の大きさや形によっては気になる人もいるかな?

 

2.落ちるようなことはおきない

耳に突っ込んでいるだけですから、ポロンと落ちたら嫌だなと思っていましたが、実際にはそういうことはおきませんでした。1度も「勝手に落ちる」という事故は起きていません。ただし「わるいこと」でも書くように、衣類を脱ぐときにこすれて落ちることはあります。

 

3.音の方向や距離の感じは思ったよりは掴めた

1番大事なコトですが、猟で音はとっても重要です。わたしは忍び猟というスタイルなので、余計にそう思うのかもしれません。

音が聞こえた方向や、距離感が掴めないと獲物の発見が遅れます。

実際に1日の猟で3回シカに遭遇し、そのすべてを音で発見しました。そして逃げていくルートも音で把握できましたね。意識して周りの鳥の音なんかも聞いていましたが、かなり違和感なく聞くことができました。

 

4.並の風に対しては風防が効果を発揮する

強風が吹くと別の問題が発生するのですが(後述)、並の風に対しては風防が力を発揮します。風を完璧に遮るという意味ではありません。耳栓をしていなくても風が吹けば周りの音が聞こえにくくなりますよね。それと同じように、やっぱり周りの音が聞こえにくくなります。同じことです。少なくともちょっとの風が吹いたとて「TEP-100が風を拾って猟にならない」ということは感じませんでした。

 

【わるいこと・気になるコト】

1.落としたら一瞬でなくす。衣類の脱着に注意!

勝手に落ちるようなことは起きませんでしたが、車に戻って荷物を片付けているときに事故は起きました。

双眼鏡ハーネスを取り外すときに、肩にかけていた紐が耳に当たりました。そしてTEP-100はポロンと落ちて雪の中へ。柔らかい新雪なので、一瞬で沈んで消えました。落ちた場所を見ていたので、ソーッと掘って回収できましたが、もしちょっと飛んでいったりして、見失ったら見つからなくなります。

というわけで、実はTEP-100には紐が付属します。

充電ケースは紐も収納できるようになっている。

 

こういう紐があると、紐が音を拾ってしまい邪魔かな、と思って使っていなかったのですが、紛失が怖いので付けました。まだひも付きでは1度しか使用していませんが、いまのところはあまり気になっていません(ちょっと気になるけど許せる範囲)。僅かな違いですが、紐を首の後ろを通すのではなく、帽子のベルトに通しています。

こうすると首を動かしたときに紐が服にこすれたりしにくい(気がしています)。

 

2.強風で片耳だけ遮音されたりするのが気になる

強風が吹くとその風の音で遮音されることがあります。風は1方向から吹くので、たとえば左から吹くと、左耳の耳栓だけ遮音されたりすることがあります。

そうなると、右の耳栓は普通に音を拾い、そこそこ大きな風の音が聞こえているのに対して、左耳は遮音され静かな世界。左右のバランスが崩れて「あれ?何がおきた?」みたいな感じになります。

これが起きるのはかなり風が強い瞬間だけです。並の風では大丈夫。わたしは風が強い地域にいるので、何度も経験しましたが、わたしが前までやっていた関東なら大丈夫だっただろうと思います。

これは風だけではなく、藪に入るときも起きます。耳元に笹藪がガサガサすると、その音を抑えようとして、左右のバランスが崩れます。ただこれはめったに起きないかな。ちょっと当たるくらいなら、そんなに気にならないので。

 

3.時々「聞こえてるの?」と不安になる

これは慣れなんでしょうけど、静かな時間が長くなると「あれ、なんか静かすぎない? ちゃんと聞こえてるの?」と不安になります。

で、耳元を触ってみたりして確かめるんですが、ちゃんと電源が付いてる。ただたまたま静かなだけなんです。ほら、山の中って妙に静かな瞬間があるでしょ。そういう時に、「耳栓、大丈夫?」という疑心暗鬼になるんですよね〜。

これは慣れだと思います。

 

4.音質はそこそこ。

音質はどうか? これはほかの電子耳栓を知らないので、「ほかと比べて良いか悪いか」みたいなことは分かりません。

わたしが唯一比較できるのはCaldwell G3という電子イヤマフのみ。これは持っていたので知っています。そしてあまり満足していませんでした。

コールドウェルプラチナシリーズg3電子ステレオ

ぶっちゃけ、これよりはTEP-100の方が音はいいと思いますね。でも、所詮はこんな小さなマイクとスピーカー。完璧な音質ってわけにはいかないですね。

部屋で試しに装着していたら、微妙にホワイトノイズを感じました。でも、山で使ってみたらホワイトノイズは気にならず。家だとパソコンなどの電子機器が多いから、そのせいでノイズを拾うのかな?

なんにせよ、生で聞いた音と、TEP-100経由の音を比較すると、やっぱり音痩せは感じますね。でも、許せる範囲です。【よいところ】でも書いたとおり、ストレスは感じていないので。

 

【今後のチェックポイント】

まだ良いとも悪いとも言えない、気になっているポイントを挙げます。

 

1.寒冷地でのバッテリーの持ち

4時間程度だと全然問題なし。理論値は16時間ではありますが、マイナス10〜20度という寒冷地でどうなるかが不安なわけです。

これは今後も気にして使っていきます。

 

2.製品寿命

噂で「数年使うと音質・ホワイトノイズが悪化する」みたいな話も聞きます。

5年持つなら満足ですが、1〜2年で劣化を感じるとしたらきびしいですね。これは今後使っていく過程で評価しないといけません。

 

総評「大満足」

あれこれ書きましたが、総評としては大満足です。

1番大事なのは慣れる事な気がします。慣れて、つけているのを忘れるくらいがいいんでしょうね。

まだまだ使用歴も浅いので、何度も使っていく中で変わっていく感覚もあると思います。それはそのつど、記事にしますし、ここにリンクとして追記していきますのでチェックしてみてください。

 

ちなみに比較として、同価格帯の似たような商品であるGSP-15という商品もあります。こちらはお友だちハンターのヤマガカシさんが買って試しています。参考にしてみてください。まぁ、どうしても感覚的なものになるので、レビューを見ても、どちらが良いか分かりづらいですね。バッテリーの仕様がだいぶ違うので、そのあたりがわかりやすい違いかな。

参考:猟場での耳の保護


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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