単独猟日記:チャンスってのは来るときには来る。初めてのヘッドショット
前回、シカノスで苦戦したわけですが、懲りずに同じシカノスを目指して出猟します。
本当にシカがたくさんいるんだから。
とにかく静かに歩くこと
見渡す限りなーんにもいないときでも、とにかく静かに歩くことが重要だと思っています。
小さな死角に隠れていることもあるし、尾根の向こうにこちらに気が付いていない獲物がいるかもしれないわけで、油断はできないわけです。ちょっと歩いてはまずは肉眼で景色を見て、次に双眼鏡で丁寧に探す。またちょっと歩いては見渡して、また双眼鏡で……という感じで、とにかく観察を繰り返すことが大事。
だからこそ、双眼鏡は使いやすいものを選ぶのが大事だと思います。見ていて不快じゃないもの。むしろ覗きたくなるような双眼鏡って本当に良い猟の相棒になります。鉄砲よりも使う回数が多いですからね。
参考:後悔がないアイテム「双眼鏡VixenアトレックⅡ 8×42」のこと
獲物は後ろからもやってくる
さて、今日もシカノスに入ります。
まだシカノスの入口付近。いつシカが出てきてもおかしくない場所ですが、とりあえず見える範囲にはいないようです。
それでも本当に一歩一歩、足を置くところを慎重に選び、必要なら小枝をどけながら足を降ろしていきます。
山に入ったのが6:50。いまはまだ8時にもなりません。まだまだ始まったばかり。
わたしの歩くルートは基本的に斜面のトラバース。狙いは斜面下方にいる獲物。なんとなく上からアプローチした方が獲物からバレにくいという印象です。
遙か下で音が
斜面のはるか下の方で獲物が動く音がしました。姿も見えないし、見えたとしてもまったく射程距離の外です。
最初はわたしの気配を察したシカかイノシシが逃げていったのかな、と思っていました。何の気なしに音に耳を傾けつつ、水分補給なんかをしていると、どうやらその音が斜面を登っている気がします。
「なんか来るぞ」
慌てて、その場にしゃがみ込み、鉄砲に弾を込め、安全装置をセット。スコープも最高倍率である7倍にセットします。
この辺りの獣道の通り方を思い出します。
「ほぼまっすぐ上がってくるルートがあるけど、途中で何カ所か枝分かれするんだよなぁ。ルートによってはこっちに来るけど、どうかな……」
期待を込めて、ジッとしています。動かないことが大事。とにかく動かない。
きた!
すると下の方で鹿の姿が見えました。まだ遠い。150mくらいでしょうか?
1頭ではありません。少なくとも3頭以上。グイグイと斜面をまっすぐ上がってきます。動物の馬力ってスゴイですよね。文字通り「グイグイ登ってくる」感じ。車で言えばローギア。
見た限り、メスの群れです。
どこまで近づいてくるか? その判断が難しいところです。引き寄せたいけど、途中で分岐ルートに入られると発砲のチャンスがなくなります。
そんな心配をよそに、シカはグイグイと近づいてきます。1頭が距離50mくらいまできたところで分岐ルートにのる気配を見せました。
「これ以上は近づかない」
と判断し、膝射の姿勢で銃を構えます。距離は50mほど。ヘッドショットでいけると判断します。こちらにまったく気が付かず、全身が横から見えています。力を抜いて発砲。
反動で揺れる視界の中で、シカが倒れるのが見えました。
初めてのヘッドショット
こちらに気が付いていない獲物を即死で仕留める。わたしなりに考える1つの理想です。
ヘッドショットだと見た目があまり気持ちの良いものにはならないので、写真は載せませんが……。
獲物は沢に下ろして、冷やして解体します。ヘッドショットだと肉が無駄なくとれるのは本当にいいですね。とくに好物であるレバーやハツが無傷なのは喜びです。心臓回りのバイタルを撃つと、レバー・ハツが食べられるかは運次第ですからね。
さて、解体を終え、今期から使い始めた運搬用の袋に梱包し、スリングなどを使った即席のバッグを作ります。
スリング・カラビナ・カメラのストラップ(上の写真で手に持っているもの)で肩掛けカバンのようにします。
持ってみるとこんな感じ。
大きなイノシシなんかだとキツイですが、シカならば問題なく下山できますね。
慣れた銃の安心感
この日はMSS-20を持って出猟しました。ターハントの方はスコープの変更をするので、いまはお休みです。
MSS-20は2シーズン目だし、射撃でも散々撃ってきているので、やっぱり安心感がありますね。
「いくらでも当たる」という意味ではないですが、「これなら俺でも当てられる」という感覚が分かりやすいです。今日のシカも本当にリラックスして撃つことができました。当たらない心配もほとんどしなかったかな。
当たるかどうか分からないというのは、やはり精神的に良くないですよね。言い換えれば、ターハントの方もそういう風に身体を慣らしていかないといけませんね。うん。
また、獲物が獲れるといつも思うのですが、チャンスってのは本当に来るときは来るもんです。昨日の記事のようにチャンスを手繰り寄せようと四苦八苦する日もあれば、シカが向こうから寄ってくることもある。もちろん、そのためにはシカがいる場所に行き、気配を殺してアプローチしていないと、こういうチャンスもやってこないんですが……。
さて、1月からはいくつか狩猟の取材が入っています。どれくらい自分の猟に集中できるかが分かりませんが、人の狩猟を見るのもおもしろいですからね。楽しんでいきたい思います。
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