単独猟を始めるまでにやっておきたいこと

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無事、猟期を終えることができそうです。

自分なりに振り返ってみて、これから始める人が、『初猟期で単独猟をやりたいなら準備しておくべきこと』というテーマで書いてみたいと思います。

わたしも初猟期を終えようとしている1年生です。上から目線で「これで万全」なんて言えません。いろいろツッコミどころもあるでしょう。1つの参考情報として、ご自身で考える材料にしてください。

単独忍び猟=登山+猟?

猟期前に「単独忍び猟」に必要な技術って何だろう? ってよく考えていました。

大きく分けると『登山的な技術』と『狩猟の技術』に分けられそう。

 

<登山的な技術>

主に安全に山を歩くために必要な技術。

  • 安全に、長時間歩く技術や体力
  • 地図読み・ナビゲーションの技術
  • 応急処置の技術
  • 遭難時の対策
  • 防寒
  • その山の知識(地形・植生等)
  • ……etc

 

<狩猟の技術>

  • 安全で確実な鉄砲の取り扱い
  • 射撃の技術
  • 獲物に関する知識(獲物がどこにいるか? 習性は?)
  • ……etc

 

で、これらに加えて、必ず出てくるのが「地域に関する理解」です。

毎週末、多くのハンターが入っている場所にノコノコと単独で行っても、他のハンターとバッティングしてやりづらいことこの上なし。あるいは何らかの理由でハンター以外の人がガンガン入ってくる場所でやるのも危ないです。その山にどういう人がいるのか、ある程度知っておくことも重要だと思います。つまり動物ばかりではなく、人間の動向にも注意を向けた方がいい、ということ。

 

で、猟期までにやることは……

1.山を知る

とにかく猟をする予定の山に通い詰めましょう。

地図を見なくてもその山を徘徊できるくらい地形を理解したいですね。同じ山域にいろんな方向から入ってみるのもオススメ。

また、獲物によく会う場所も見つけたいですね。最初は確信がないと思いますが、何度も通うと「ここにいっつもシカがいるなぁ」と気付くことがあるはずです。そこが超重要スポット。夏と冬では付き場も違うかもしれませんが、絶対に無駄にならない知識です。

また、歩きやすい場所を知っておくのも超重要。歩きやすい場所って猟をする上でも重要だと思っています。

参考:単独忍び猟とは険しい道も果敢に歩くことだと思っていたけど……

藪をかき分けたり、岩がゴロゴロ転げ落ちるような斜面を無理して登っていると、危ないだけではなく、獲物に気取られることが多いです。それよりは歩きやすいところを静かに歩いた方が獲物にばれにくいとわたしは考えます。

獲物を獲ったあと、肉を持ち帰るのにも歩きやすいルートが活きてきますし、緊急時に山から安全に脱出したいとき、このルートが生命線になります。

 

2.射撃の練習

射撃の練習はいくらやってもやりすぎってことはないです。

うまければうまいほど “撃てる” 獲物が増えます。練習で出来ないことは山でも出来ません。

また「己の技量を知る」って意味もあります。たとえば「50mの立射は当たらけど、膝撃ちなら当たる」と分かっていれば、50m先の獲物は膝撃ちすればいい。あるいは50m以遠の的に当たらないなら、そういう獲物は撃たなければいい。撃つならバッチリ委託するなど、工夫をすればいい。

己の技量を知っていれば、正しい対処が出来ます。練習もせず、100m先の獲物に立射でバンバン撃って、当たった or 外れたと一喜一憂するのは(わたしの価値観では)ちょっと賛成できないです。わたしが尊敬するハンターは「自分の弾がどこに飛んでんのか分かりもしないのに撃つなんて、獲物に失礼だ」と言っていました。その通りだと思います。

練習もせず中途半端に半矢にして、ヘラヘラと「いや〜遠くて当たらないや」と笑うのは嫌ですね。もちろん、どれだけ練習しても外れるときは外れます。半矢にしてしまうこともあります。だけど、そうならない努力はしたいですね。

 

3.猟場の候補地はいくつか確保

下見でも狩猟でも、同じ山に通い詰めることが基本だと思っています。

しかし、もし猟場の候補地が1つしかないと、場合によっては困ったことになります。たとえば「じつはそこが地元の巻狩の実施場所で、単独の自分が入り込む隙がない」とか「冬になったら林業従事者が伐採をしていて、猟どころじゃない」とか「想像以上の雪で車が入れない」とか……。いくらでも想定外の問題が起きます。

そういう時に「それじゃ、あっちに行ってみよう」という別の候補地があるのは強みになります。

わたしもざっくり3箇所の候補を猟期までに見つけていました。結果として、第1候補地は猟期の途中から林業従事者が入ったので身を引くことに。そこで第2候補地に行って、今はそこで取り組んでいます。

 

4.体力作り

1人で獲物を持ち帰るのは、本当に大変です。

上の写真はある日のシカを持ち帰る様子です。結構大きなオスジカでした。鹿肉の持ち帰り用に考えていたリュックに肉が入りきらず、仕方なく、土嚢袋に肉を入れて持ち帰っています。

(土嚢袋を手に持っているように見えますが、実はロープで結び、肩にぶら下げています)

マジで重いです。何十分も続けて歩けませんでした。

わたしは昔から身体を動かすことが好きで、フルマラソンをやりこんだり、テン泊登山をやっていたりして、足腰が強い方です。それでも獲物を獲った日は確実に筋肉痛。

体力は本当に大事。単独猟を舐めちゃいけないです。誰にも頼れない。誰かに「持って〜」とお願いすることはできない。自分で持たないということは、肉を置いてくるということです。

もちろん、危険を感じるなら、適度に肉を置いてくることは悪いことではないと思いますが、だからといって「楽になる」わけじゃない。いくらかマシになるだけ。

あまり辛くなると、続けられなくなると思います。ぜひ体力は付けておきましょう。

とはいえ、特別なトレーニングはいらないと思っています。必要なのは繰り返し山を登ることでしょうね。要は何度も下見せよ! ってこと。

 

5.獲物を見慣れる

獲物を獲るために必要な技術の中で、結構重要なのが「獲物を見つける目」だと思っています。

シカって、恐ろしく山に同化します。

もし「何度も山に行ってるけど、シカに出会わないよ〜」という人がいたら、それはもしかしたら見えてないだけかもしれませんよ。わたしはそうだったと思っています。

とにかく丁寧に獲物を探しましょう。何もいないと思っている杉林でも、肉眼で2度も3度も見る。その後で双眼鏡で舐めるように見る。で、もし見つけたらよーく観察しましょう。

双眼鏡で見つけたときは、必ず肉眼で探し直します。遠い獲物を肉眼で見ると、どう見えるのか? それを身体で覚える感じです。

また、探すときは漠然と全体を見るのではなく、ローラー作戦で、徹底的に探します。わたしは景色をマス目に分け、マスを1つ1つチェックしていくようにしています。それだけではなく、そのへんに転がっている岩や倒木を見て、獲物ではないこともちゃんと確認します。

「一見倒木に見えて実はシカだった」なんてことはしょっちゅうです。この経験を何度もしたので、今では倒木を見ると、確信を持てるまで観察します。また肉眼で見えていると思っているときでも、双眼鏡でダブルチェックすることが多いです。

 

6.登山の本を読む

もし登山経験がないのであれば、すこし登山の本を読んでみるといいと思います。

「登山と猟は違うよ」

という意見もあると思います。たしかにハンターの多くは登山なんて経験ないし興味もなかったりします。

ベテランハンターは若い頃からグループ猟でみんなと一緒に山に入り、その経験を積み重ねています。一方、わたしたちのように「初年度から単独猟を」と思っている人は、文字通り、最初っから1人です。巻狩で鍛えてきた方々とはちょっと違うキャリアプランになるのかな、と思っています。

だから登山の知識や経験を応用することで、安全な単独猟の近道になるかな、と思っています。

実際は本を読むだけじゃダメで、経験しないといけないとは思います。ただ、そのとっかかりとしてしっかりとした登山の本を読むのは悪くないかと。

たとえばザックの背負い方をちゃんと知っていますか? 登山靴の履き方を知っていますか? 危ない場所を移動するときの3点支持とか聞いたことありますか? 下山時の足を痛めない歩き方なんてのもあります。ちょっとした応急処置であったり、地図の見方であったり、天気の読み方など、知っていると便利ですよ。

知らなくても猟はできます。ザックなんて適当に背負えばいいし、靴はキュッと結べばいい。危ない場所は気合いで乗り切ればいい。でも、ちゃんとザックを背負えば疲れは軽減。ちゃんと靴を履けば靴擦れも軽減。危険な場所も安全に渡れる。知っておいた方がいいと思うけどなぁ。

本当は普通の登山よりも、渓流釣りみたいに道なき道を行く人の本を読むと参考になることが多いような気がします。でも釣りに興味がないと読んでられないかも……。

それならたとえばこちらはどうでしょう? こちらはハンティングに関する本なので、興味がないってことはないでしょう。なかには服部文祥さんの思想が合わない人もいるかもしれないので、万人向けとは言わないものの、もし知らないなら読んでみていいと思います。わたしは好きです。

正当派っぽい登山入門本としてはこちらはどうでしょう? ごめんなさい、この本は読んでいないので、オススメ出来るか分かりませんが、パラパラ見た感じだと悪くなさそうです。

 

アレコレ書いたけど……

結局は「山に通い」「シカを探し」「射撃を訓練」が重要ってことですね。

体力は山に通っているうちに自ずとついてくるはず。

また、「獲物を獲るための技術」も大事ですが、それ以上に「安全に山で生きる技術」の方が大事じゃないかな、と思っています。

 

——なんて偉そうに書きましたが自分も入口の門をくぐったところ。教える立場じゃないんです。むしろここに挙げたようなことを「次の猟期に向けてもっとやりこまないと」と思いながら整理していました。

「こういうこともやっといたほうがいいよ」

という意見がありましたら、是非教えてください。。参考にさせて頂きます。

 

あ、あとね、これは事あるごとに書こうと思ってるんですが、「単独忍び猟って甘くない」ですよ。

参考:なぜか否定的に言われることがある単独猟のことを考える

遭難を含め、山の中で事故れば全部自分で対処しなければいけません。たかが3mくらい滑落しただけでも、ぱっくり足を切り、ダラダラ血が出て、初めての大けがで顔面蒼白……なんてことだって起きるんです。誰かに泣きついて、背負って下山してもらうことは出来ません。

イノシシを撃ったら、反撃されて、牙で腿をパックリ切られて……なんて、笑えませんよ。

準備も大事、自制心も大事。

わたし自身、初年度から単独猟をやっています。だから「みんなは初年度は巻狩にしておきな」とは言いません。が、準備はよくやっておいた方がいいと思うんです。そのために、わたしができることは、こうして自分の体験をお見せすることだと思っています。

もし準備が不足だと思ったら、巻狩に参加するも良し、ヒヨドリ・キジバト・カモ類などを獲るのも良し。もちろん、獲れなくても良いと割り切って、ちょっと探り探り安全な範囲で山に入ってみるのもいいと思います。射撃の話でも書いたとおり「己を知る」ということが大事かな、と。

すいません。偉そうに書きました。

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