狩猟でたくさん獲りたければ、消費を増やすことを考える

最終更新日

狩猟の道を歩く中で、「獲物の獲り方」は誰でも考えるし勉強&研究すると思うのですが、じつは「消費を増やすこと」の方が重要なんじゃないか、とここ1〜2年は考えています。

と書くと「狩猟ビジネスの需要を増やして……」という話に見えてしまいそうですが、ぼくはそういうのやっていないので、あくまで「自家消費を増やす」という極めて個人的なお話ですね。

獲りたければ、消費を増やすことを考える
獲りたければ、消費を増やすことを考える

「息を吐くことを意識する」

よく呼吸法の話で「息を吸うことを意識せず、吐くことに集中せよ」なんて聞きませんか?

息をしっかり吐ききれば、自ずと吸うことはできるから、ということですね。

あるいは「お金の使い方が上手な人のところに、お金は集まってくる」みたいな話も聞きます。

同じような感じで「獲りたければ、消費を増やそう」みたいに最近は感じています。

 

消費の多さは狩猟の自信に繋がる

獲った肉はおいしく食べてもらいたい
獲った肉はおいしく食べてもらいたい

ちょっと白状すると——今期の前半でヒグマ猟に励んでいたものの、捕獲に至らずヒグマシーズンを終えたのですが、そこでちょっと燃え尽き症候群になっていたんです。それだけヒグマ猟にのめり込んでいたんですね。

12月の後半にヒグマシーズンを終えるにあたり、最後の悪あがきで道内某所に遠征し1週間ほど泊まり込んでみたのですが、それでも良い成果は得られなかったことも燃え尽きた原因だと思います(やってたことはめちゃくちゃおもしろかったですが)。

で、10日くらいボケーッと過ごし、シャキッとシカ猟にも出ずに過ごしていました。まぁ、ヒグマ猟に傾倒していたので、反動で家族と過ごす時間を作っていたという建前はあるのですが、それにしたって、行こうと思えば出猟できたんです。でもしなかった。

そんなときに妻が言いました——

 

「シカ肉がそろそろ尽きるよ」

 

昨シーズンに獲った肉はすでになくなっていて、今シーズンのはじめにヒグマ猟の合間に獲ったシカ肉も消費し、もう数食分しか残っていませんでした。

——ああ、獲らなきゃ。

と思ったわけです。すぐに気持ちを入れ替えて、何回かの出猟を経て、何頭か補充しました。

言うまでもないですが、シカ肉がなくても食料に困ることはないんです。だってスーパーに行けば肉がありますからね。そもそも肉を毎日食べる必要だってないし。

でも家族が「シカ肉が尽きるよ」と言ってくれることって、鉄砲撃ちとしてとても嬉しいことなんですよ。

需要があるって、すごいモチベーションを刺激してくれるんです。

獲らねば! と思いましたよ。

 

狩猟は技術だけじゃない面もある気がする

狩猟って技術だけでやるものじゃない気がしてるんです。

駆除なら駆除。自家消費なら自家消費で、その目的に向かって気持ちを高める必要があるのかなって思っています。ぼくは駆除の人ではないので、あくまで自家消費的な感覚しかわかりませんが、下の図のようなサイクルがあり、これのどこが滞っても狩猟が回らなくなると感じているんです。

狩猟(自家消費)のサイクル
狩猟(自家消費)のサイクル——字が汚くてごめんなさいw

 

たとえば獲物を獲っても、冷凍庫が足りなくなったり、備蓄の方法を知らなかったりすると、獲った肉を持てあますことになります。

そういう状態だと「獲ろう」という気持ちが薄まるんですよね。絶対獲る、という気持ちが薄れると、やっぱり張り合いがなくなります。「じゃ、回収する部位を減らし、背ロースだけにして、備蓄はせず獲って数日で全部食べる」という人もいます。もちろんそれがやりたいことなら、それでいいと思いますが、ぼくはそれだと狩猟のモチベーションに繋がらないんですよね。

※かといって「すべてを活用している」だなんて言えません。内臓系は主要な部位しか活用してないし。皮や骨。あと肉付きの少ないアバラなども活用率が低いです。ここで言いたいのは、自分にとって満足できるかどうか、ということです。

 

だからある程度の冷凍庫なんかは、早い段階で買ってもいいと思うんですよね。ぼくはまだ1頭も獲ったことがないうちから100リットルオーバーの冷凍庫を買いました。

参考:取らぬ狸の皮算用? 狩猟用に大きな冷凍庫を選ぶ!

 

さて、うまく備蓄がしても、消費しないと、いつまでも冷凍庫が空きません。シカから獲れる肉の量って多いですよ。ひとりで消費しようったってなかなか減りません。だから家族も好きになって欲しいわけですよね。

同居している妻や子どもにも好きになって欲しいし、実家の父ちゃん母ちゃんにも好きになって欲しいわけですよ。

「また肉送ってくれよ」

なんて親から言ってもらえたら鉄砲撃ちとしては幸せもんですよ(よく知らない人に「肉をくれ」と要求されるのは嫌ですが)。

 

で、消費が進むと、「さあ、獲らないと!」と狩猟に精が出る……というわけです。

まぁ、あくまで精神論なのかもしれませんが、ぼくにとっては重要なサイクルであり、ある程度の精神論は必要だと思ってます。

 

消費の増やし方

シカの群れ
シカを獲っても、美味しく楽しく食べられないなら意味が半減してしまう

備蓄に関しては、大型の冷凍庫を買うのが1番簡単ですが、どれだけ大きいのを買っても消費されないのであれば、ただ埋まっておしまいです。消費の増やし方として思いつくものを挙げて締めくくろうと思います。

 

(1)ドカッと食べられるレシピを探そう

お上品にちょっと作って食べるような料理もたまにはいいですが、一気に数kgの肉を調理して、食が進むようなレシピの引き出しをいくつか知っていると便利です。ぼくの場合は(繰り返し言い過ぎていて耳にタコができちゃいそうですが)しぐれ煮がその代表ですね。

人によってはたっぷりローストでも作って、ガツガツ食べるのが好きって人もいるでしょうし、カレーやシチューみたいな料理で消費を促進する人もいますよね。

 

(2)ミンチ/スライサーなどの調理機材への投資

狩猟で得られる肉はスーパーで買うものと違い、必ずブロックです。理屈で言えば包丁でスライスは作れるし、ミンチも包丁で叩いて作れます。だけど、ドカッと消費する観点で言えば、やっぱり専用の調理機材は強いです。

ぼくは今期になってミンサーを導入しましたが、めちゃくちゃ消費が増えました。

ミンチって使いやすいんです。ハンバーグ、餃子などはもちろん、野菜炒めに入れてもいいし、ミンチを炒めて、インスタントラーメンの上に乗せてもいいし、炒飯にいれてもいいし……。何に入れても成立します。

人によって「スライスして焼き肉が好き」とか、「低温調理最高!」とか好みがあると思います。狩猟の「獲るための道具」への投資もいいですが、消費のための投資も、めぐり巡って狩猟を支えてくれますよ。

 

(3)仲間/近所の人に配る

これはやり方を誤ると大失敗するので慎重にやったほうがいいですが、もしあなたの肉を喜んでくれる人がいるなら、それほど嬉しいことはないですよ。

ぼくの父は鳥撃ち専門の鉄砲撃ちでしたが、毎年1年に1度だけ、近所のお友だちを4〜5人呼んで鴨鍋パーティーをやっていました。もう20年以上やってましたね。鴨鍋はもちろん、焼き鳥などを組み合わせた、本気の鴨鍋コース料理を自分で作って振る舞っていたんです。料理もうまかったことがあり、近隣のおじさんたちは「今年もやるんだよね?」と念を押してくる人気のイベントでした。

言うまでもなく、そのために「美味い鴨」を何羽か獲ってくる必要があるんです。なんでもいいわけじゃないです。プライドをかけて最高にうまい鴨がほしいわけですよ。

父の周りには、父の鴨を欲しがる人が何人かいたので、自分の分を減らしてでも、配ってました。そうやって喜んでもらっていたのは、父の喜びだったんだと思います。確実に父の狩猟を支えていたと思います。

父もいまは引退しました。残念です。

 

まぁ、そういうわけで、周りに喜んでくれる人がいれば、消費は増えるでしょう。

 

(4)ペットを飼う

犬など、ペットのエサとして活用できれば、消費は増えますね。犬だけじゃないですよ。ぼくはニワトリを飼っていましたが、食べにくい部位などは茹でてあげると喜んで食べていました。

また、自分で飼わなくても「犬を飼っている人にあげる」みたいなこともできますね。ぼくも肉じゃないですが、骨と角を欲しがってくれる人が何人かいるので、時々手土産に持っていきます。喜んでもらえると嬉しいですよね。

 

(5)おいしい獲り方の研究

根源的なところですが、そもそもおいしい獲り方ができないと、消費が進みません。北海道に移住してよく聞くようになったのが

「シカ肉? むかし食べたことはあるけど、臭くて食べたくないや」

というやつ。ラム肉に好き嫌いがあるように、シカ肉だって、もちろん好き嫌いがあっていいんですが、そうじゃないんです。処理がいい肉を食べてもらうと「あれ? おいしい」ってなるんです。

おそらく血抜きも冷却も甘いテキトーなお肉を押しつけられたんでしょうね。これがあるので、先述の「近所の人にあげる」ってのは注意が必要なんですよね。

 

逆に言えば、うまい肉を獲れるなら、喜んでくれる人は増えると思います。そうすれば消費も増える、というわけです。

ぼくもこの道を歩いているところで、まだまだ未熟さを痛感する部分で、「あれ、今回はいまいちだった。なんでだ?」と悩むこともありますね。父のように、「あなたの獲った肉を食べたい」と言ってもらえる鉄砲撃ちになりたいです。

 

自分を鼓舞すること

シカの群れ
冷凍庫にスペースがないときは、鉄砲の代わりにカメラを持って行くことが多い。

こうして書いているのも、自分を鼓舞するため。

ぼくもまだまだ本当に未熟で、血抜きひとつとっても「あれ? なんかうまく出ない」とか、解体をしていても「うわー毛がたくさんついちゃった!」とか、反省することが多々あります。

やっぱりぼくにとっての良い鉄砲撃ちは「あいつめちゃくちゃ獲るなぁ」よりも「あいつの獲った肉はうまいんだよなァ」という人なんですよね。そういう人への憧れがあるんです。

がんばろう!


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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