単独猟日記:今年も「山のクジラを獲りました!」
今年もイノシシを獲りたいと思って前回の出猟からは「イノシシ縛り」で山を歩いていました。ヘタすりゃ1頭も獲れないかもしれないとさえ思っていましたが、イノシシ縛りから2度目の出猟で獲れちゃいました。今日はその一部始終をお届けします。
※注意:仕留めた獲物の写真(白黒)があります。気分を害する人はページを閉じて頂きますようお願いします。
久々の出猟

最近は子育てに追われて、なかなか出猟できずにいました。すでに2週間は出猟していません。
前々回はオスジカに恵まれ、「次はイノシシを獲る」と決めて、前回からはイノシシ縛りで猟に取り組んでいました。
参考:単独猟日記:今シーズンの初物をいただきました(注:獲物の写真あり)
犬なし単独でイノシシを獲るというのはなかなか難しくて、現実的には「鹿を狙って歩き、イノシシがいれば獲る」というスタンスの人が多いと思います。
雪が積もる地域であれば、足跡を追って獲るスタイルの人もいるようですが、私のいる地域は積もらないのでそれもできません。
それでも、前シーズンに山を歩き回って「このあたりは比較的イノシシが多いゾ」と思う場所があったので、その場所を丁寧にチェックして回り、姿を見せたイノシシを獲ろうというのが今日の作戦です。
いきなりイノシシ!?
朝から何度かシカに遭遇しました。撃たないと決めていたので撮影してみました。
今日、イノシシとるまでに4回鹿に遭遇した。2回は撮影ができました。 pic.twitter.com/CKjUVDnc9w
— やまくじ (@yamakuji_jp) December 7, 2018
2時間ほど歩いたあたりで、はっきりとイノシシと分かる足跡を発見。わたしなりにかなり新しい足跡だと読みました。
しばらくその足跡を追跡していると、足跡は藪の中へと続いています(下の写真)。そして藪の中からガサガサと僅かな音が……。

これが怖い。もしかしたらこの藪の中にイノシシがいるかもしれず、不用意に覗き込んで反撃されたらかないません。
しかしイノシシを獲ろうとしているわけですから、万全を期して、覗き込むしかありません。最初は双眼鏡を使って覗き込みます。双眼鏡は遠くのものを見るというイメージがありますが、条件が良いと、藪の中や向こう側を覗くのにも役に立ちます。双眼鏡ってピントを調節できるので、藪の向こう側にピントが合うようにしてやると、けっこう向こう側が見えるんですよ。
しかしイノシシの気配はありません。しかたなくソーッと藪にアプローチすると——ダダダダダダダ!!
山鳥が飛んでいきました。
ほんと山鳥には手を焼きます。
さらに2時間が過ぎたそのとき
藪の多いエリアをずーっと忍び歩きを続けます。歩きづらい場所が多く、いつ出てくるかわからないイノシシに備え緊張感も高く維持しなければならず、なかなか疲れる猟です。
小さな沢に差し掛かります。くるぶし程度の深さの沢があり、その両岸は笹藪になっています。わたしはその片側で座っておにぎりを食べていました。
食べ終えて、ゴミを片付けて、「さて、沢に降りるか……」と思った直後、沢の向こう側でガサガサガサと走る音。イノシシです。斜面を登るために藪に飛び込んでしまいます。
しかし音で逃げている方向は分かります。その先に少し開けた場所を発見。ほとんど無意識に弾を装填しつつ、斜面に腰を降ろし、銃を構えます。自分でも驚く準備の早さでした。
「あの開けた場所に出たら撃つ」
賭けです。もしあそこを通らなければ為す術なし。
1秒もせず、その予定の場所に姿を現します。斜面の傾斜がきついからか、イノシシは一瞬動きが鈍り、よじ登るような動作。迷っている時間はなし。引き金を絞ります。
わずかにピギャとイノシシが鳴き、バランスを崩したように見えましたが、それ以外はまるで何事もなかったようにまた藪に飛び込み、斜面を登っていきます。
もう藪のせいで姿は見えません。せめてどこまで逃げたかは把握しようと、音だけはジーッと聞いていましたが、それも徐々に遠ざかり尾根の向こう側に行ったようでした。
イノシシのいた場所に血痕がありません。せいぜい30m弱の近距離だったし、バイタルを狙ったつもり……。でもイノシシのピギャという鳴き声も、バランスを崩したのも、音に驚いただけって気がしてきます。
やや上から撃ち降ろした形だったので、血が落ちていないのは想定内。ともかく追えるところまで追ってみようと足跡を追います。
この老朽化したフェンスまではなんなくトラッキングに成功。ここをくぐったのは間違いないのですが、血痕はまだなし。

このあたりはイノシシの足跡が多く、どれがこの個体のものなのか確信が持てません。とにかく追跡を試みました。
ある足跡をしばらく追跡して、「これじゃないのかな」と戻り、次に別の足跡を追って……と延々と繰り返します。自分のトラッキングの未熟さを痛感します。
30分もやっていると気持ちは諦めムードになりますが、懲りずに探します。

足跡を行ったり来たりすること2時間。遠くの地面に毛の質感が……。
「まさか……」
もう半ば諦めかけていたので、半信半疑でしたが、恐る恐る近づいてみるとこれがイノシシでした……。撃つ前はあんまり大きくないと思っていましたが、どうやら大きかった! 斜面を登る姿が丸まっていて小さく見えたのかな……?
皮肉にもイノシシは撃たれた場所から70〜80mしか走っていませんでした。最初にうまく追跡できていれば10分で見つけられたはずです。
あとで検証したのですが、このイノシシはけもの道を使わず、倒れた丸太が並ぶきつい斜面をグイグイと登っていたようです。けもの道の方が圧倒的に歩きやすいルート。わたしは手負いのイノシシならここを通っているに違いないと思い込んでいたようです。また丸太を越えて斜面を登ったことで足跡もほとんどありませんでした。血もなく足跡もない、そちらの方角はノーマークだったことから、発見が遅れたという次第でした。まさか手負いのシシがこの斜面を登るとは……不覚。

でかい!
ベテランのイノシシハンターの中ではそれほどじゃないかもしれませんが、わたしからすりゃ大物の風格。見た目のサイズはもちろんですが、ギュッと詰まった重量感がすごいです。エネルギーの塊ですね。
わたしの力不足で発見までに2時間超かかってしまい、すでに蠅が群がっています。
血抜きもできてないため、やや不安ではありますが、ともかく解体してみました。
結論を言えば、やっぱり肉に血が回ってました。倒れていたときに下になっていた方の肉は血が多かった印象です。
あまりにひどいところは残念ですが山に返し、食べられるところを持ち帰ります。せっかく1発で仕留めることができたのに、発見が遅れるというのは悔しいですね。
さて、こちらが牙。手で触ると本当に鋭角で、このままペーパーナイフにでもなりそうだと思ったほど(持ち帰ればよかったけど、あまりの疲労でそこまで頭が回らず……)。
食べられそうな肉を背負い、下山です。
獲物を獲って帰るとき、山の景色が少し違って見えるのは私だけでしょうか。
「獲るぞ」という気持ちもなくなっているので、穏やかな気持ちで山を見ているのかもしれません。ひとつ大仕事をやり遂げた、という気持ちもあります。
夕方が近づいています。ちんたら歩くと日が暮れるので、テキパキと下山します。
通算10頭目、イノシシは2頭目
これまで通算10頭の獲物(四つ足)を頂きました。イノシシは2頭目です。
今回も1発で仕留めることができたので、これまでの10頭はすべて1発必中(特例が1つありますが)。半矢もゼロ。初めて撃った1発目だけ、まるっきり外しましたが、それ以降はすべて1発で仕留めてきました。
相手は自然のものですから、こちらの都合では動いてはくれません。
外すときは外すわけですが、それでもできる限り「必中」を目指してこれからも取り組んでいきたいですね。
次の目標は……「ヘッドショット縛り」としましょうか。ついつい当てやすい心臓回りのバイタルを狙ってしまうのですが、理想はやはりヘッドショットなのかな、という思いがあります。
経験値を貯めていきたいのです。
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