単独猟日記:獲物が渋くて遠くにシカ尻を見るばかり
自信を持って「この辺りにはシカがよくいる」と言える場所があり、かなり頻繁にそこに通い込んでいます。
いつ行ってもシカはいて、発砲のチャンスも少なくないため、逆に焦らずに「まぁ、理想的な場面が来るまで撃たないでおこう」と思える余裕さえあります。
でも今日は渋かった……。
寝屋にいたけど……
わたしが入山するルートだと、山に入ってすぐにシカの寝屋があります。かなりの頻度で朝はこのあたりにいて、日の出と共にもう少し山奥に入っていくようです。実際に寝屋から、鹿を追って歩いたことがあり、そのルートまで把握しています。
この日もちゃんと寝屋にいました。しかし、わたしが山に入る前に飛んでしまったようです。姿は見えませんでしたが、ガサガサと奥に逃げていく音が聞こえました。
「まぁ、そういう日もあるよね」
大丈夫。最初の寝屋だけが狙いじゃない。最初の寝屋のある尾根をぐーっと登っていき、ある程度の標高(海抜400mくらい)まで登ります。頂上がせいぜい450〜500mくらいの低山が連なる山脈ですので、尾根の稜線の少し下をトラバースする形で奥へ奥へと忍び歩きで進んでいきます。
まさに上の写真の場所がその場所でして、こういう斜面を奥へ奥へと進んでいきます。で、大抵は斜面下方のちょっと傾斜がゆるやかになった場所にシカがいます。実は上の写真の右上の方に見える場所にもシカがいましたが、これもまったく射程距離に入ることもできず、飛ばれてしまいました。
大急ぎで逃げていくというよりも、かなり距離があるうちからササーッと静かに逃げていく逃げ方です。鳴きもしないし、音もしない。たまたま逃げていく尻が見えたので「あーシカが逃げてく……」と気付けましたが、目に入らなかったら存在にも気が付かないであろう逃げ方です。
きびしい……。
自分の歩き方に自信を失いそうになりますが、自分なりにはいままで通りどころか、前よりも静かに歩けるようになったと自負しています。
集中力も続くようになってきたし、かなり音には神経質になっています。
この日も音に関しては「俺は静かに歩けてる」と自信を感じてさえいたんです。
「なのに遠くで逃げられる……」
なんでだろう。
始めて遠くで鳴く
こうやって自分の「やれている」という感覚と実際の成果が伴わない状態が続くと、ちょっとばかり集中力が切れてきます。
「こんなにがんばって忍び歩きしても逃げられるんじゃ意味がない……」
と嘆く気持ちにさえなってきます。少なくともシカはいるのだから、もう少し良い出会い方ができても良さそうなものです。もちろん “巡り合わせが悪い日” と割り切れば良いのですが、なんかどうにも腑に落ちない。
「今日は渋いな」と思わざるを得ません。
途中でこんな木を見つけて、「わかる。キリキリした気持ちがわかる」となぜか共感してしまう有り様……。
疲れたときは沢沿いで休むのが好きですね。釣り好きなもんで、こうやって沢を見ながら「もし毛鉤を流すなら、あの流れ込みから……」と考えるのが楽しいです。なにより沢の音に癒されます。
獲れない日は写真撮影に花が咲きます。というわけで、愛銃MSS-20の良い顔を1枚。
そうそう。「銃を地面に置いて見失う」というのは定番のヒヤリハットの1つ。上の写真を見てもらえば分かると思いますが、ウッドストックでカモテープ巻いているわたしの銃はよっと変な場所に置くと簡単に見失います。
特に枯葉が深い場所に置くと、ちょっと沈んでしまいすぐに姿を消しますね。わたしは基本的に自分の手から離さないように心掛けています。
そんなこんなで、集中力がやや途切れつつある帰路。尾根の斜面でシカが鳴きました。鳴いたときは方角もそうですが、「鳴いて逃げたか?」「鳴いて立ち止まっているか?」を音で判断することを心掛けています。
鳴いてバーッと逃げているときは、相手の場所が完全に分かっていない限り、ちょっと追うのは難しい印象。でも、逃げていないときはこちらがソーッと探せば、見つける時間があることも多いです。
で、この日は逃げないパターン。近くの杉の木を背にして双眼鏡を構えます。
「遠くないはず」
音が聞こえた方を丁寧に探します。3〜4分探してシカを発見。低木の枝が折り重なった向こう側にシカが1頭で立っています。こちらを見ていますが、微妙にわたしの位置とズレています。どうやらわたしの場所までは把握していない様子。大チャンス!
ところが問題が……。
バックストップが怪しい……。
シカの手前は低木から伸びた枝が視界をかなり遮っています。とはいえ、双眼鏡で見ればはっきりとシカの頭も身体も見えている状態。ただ、シカの向こうも同じように低木が続いており、その奥に何があるかはよく見えません。
「たぶん大丈夫だけど、バックストップがない可能性を拭いきれない……」
と結局は撃つことはやめました。
渋い1日だった……
いやはや、渋い1日でした。
結局、シカには5回遭遇。発砲のチャンスは最後の1回だけ。あとはかなり遠くでテクテクと逃げていく渋いシカだけ。
なんでだろう……。歩き方とは思えないから、匂いなのか……? あるいは時期的に猟期後半と言うこともあって、猟圧がかかってきちゃったかな?
いや〜帰りの車の中でも、渋い渋いと独り言が止まらない猟になりました。
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