単独猟日記:そしてシカはいなくなった……
前回、かなり渋い猟になったわけですが、懲りずに同じ場所に行ってみます。
「前回渋かった」とき、別の場所に行くという選択肢もあるのでしょうけど、「今日もやはり渋いのか?」と確かめるために同じ場所に行きたくなるんです。
前回はたまたま渋かったのか、あるいは季節や猟圧の理由でこの場所がダメなのか? 1回じゃなんとも言えないから、確かめに行く感じです。こういう経験を貯めておけば数年後に役立つんじゃないか、と思っています。
遠くに見えるシカ尻
山に入るとすぐに寝屋があります。猟期半ばまでは間違いなくここでシカと出会えているんです。ここで言う「出会える」というのは「撃てそう/もう少しで撃てそう」という惜しいシチュエーションです。
実際には撃てないとしても「あーもう少し早く気付ければ〜!」みたいな楽しい場面になることが多いスポットなのです。
今日はどうだったか?
この場所に入ったとき、視界の隅っこで動くものが見えました。双眼鏡で覗くと2つのシカ尻でした。距離は……たぶん200m以上はあるでしょうし、あっという間に尾根の向こう側に行ってしまいました。
一応、逃げていったシカの足跡は確認します。これは習慣として毎回やるようにしています。“新しい足跡” を見慣れておきたいから。
まあいいのです。遠いとはいえ獲物を見ることができれば幸せです。獲れるかどうかも重要ですが、やっぱり獲物を見れば1日が楽しくなります。
「よーし、遠いとはいえ朝から獲物を見たぞ!」
とこのときは思っていました……。
その後、シカがかなり通るけもの道をチェック。足跡はありました。まあまあ新しいようです。今朝の足跡だろうとあたりをつけました。
獲物はいるみたい。でも、どうも嫌な予感がします。足跡から動物の動きを読めるほどの経験値は持ち合わせていないものの、どうもわたしから逃げているように思えるんです。つまりわたしが姿を現す前から逃げている……と。一直線にわたしから逃げるルートだし、少し急いでいるように見えるんです。前回以上に渋いのかも……。
下の写真に見える足跡は右から左へとテクテクと歩くシカ2頭のようです。
物音!!!
そんな斜面をトラバースしていると、わずかな物音。
「きた!」
と血が沸きます。まさに全身に血液がぶわっと流れる感覚です。鉄砲を持って獲物を前にした人ならこの気持ちが分かるはず。
自分が持つ全力の “忍び足” で歩を進めます。枯葉を揺らすような小さな音。鳥の可能性もあるものの、羽音が混じらない……。
「きたきたきた!」
と辿り着いた場所にいたものは……。
見えますか? タヌキです。顔を出したり引っ込めたり、こちらの様子を伺っています。
「タヌキかぁ、近いし、スラッグでヘッドショットもできそうだから、たぬきを獲るか……」
と一瞬は思うものの、まったくその気にならないのでパス。
その後、まったく獲物の気配がありません。
新しい足跡があったので、ダメ元で追跡してみることにしました。ところが途中で谷間にある沢に降りてしまいます。沢は岩場になっていて、足跡が見えません。枯葉の立ち具合で少しばかりは追跡するも、あっという間に見失ってしまいました。
偶然かもしれませんが「巻かれた」という気持ちになり、凹みます。
なにも……いない……
結局この日、朝に見たシカ尻のあとシカを見ることは1度もありませんでした。
本当にゼロ。鳴くこともなく、逃げる音もなく、新しい足跡や糞もかなり少ない。山が静かなんです。
前回(単独猟日記:獲物が渋くて遠くにシカ尻を見るばかり)も同じ場所にきて、同じように渋かったので、これで2連続渋い猟が続きました。これはさすがに何かあるに違いない、と去年の猟ノートを開いてみました。
すると、まさに2月前後から獲物との遭遇が減っているんです。
原因はわかりません。しかし2年連続で1月末くらいから獲物の遭遇が減っているのは事実。何か理由があるはずです。季節的なものか、単純に猟期後半で猟圧がかかっているか……。
去年はこのタイミングで、もう1つの猟場に移っています。そして獲物と遭遇しているんです。次回は去年と同じパターンを辿って、もう1つの猟場に行ってみようと思います。
仮説と検証ですね。それも猟のおもしろいところ!
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