(初心者向け)MSS-20の得意なこと不得意なこと

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最近、MSS-20を買うという人が増えていて、同じ銃のユーザとしては仲間が増えて嬉しい限りなんですが、一方で、けっして万能の銃ではないので、改めて得意なことと不得意なことをまとめておこうと思いました。

どれもあくまでわたしの考えですし、不得意とされることをMSS-20でやっている人も実際にいます。しかもとても高いレベルで。

結局は「好きな銃を使えばいい」と思っています。ここに書いてあることを理解した上で、それでもなお「不得意なこと」にMSS-20を使うのはありだし、その道を究めるのもひとつの楽しみ方かと。ただ、初心者がわけも分からず買ってしまって、「あれ、これできないの?」とならないように、と思って書きました。

MSS-20という銃

まず基本的な銃のことを。

20番。銃身長26インチと大物猟用の銃としてはかなり長い方。見た目はライフルのようですが、あくまでスムースボア。だから使う弾は通常のスラッグ弾。

ボルトアクションというタイプ。

STD(スタンダード)と、CP(チークパッド)の2つのモデルがある。違いは銃床の作り。STDは一般的な銃床だけど、CPは頬を当てる部分が盛り上がっている。

よく重いと言われるけど、わたしの調べた限りでは、少なくともボルトアクション銃の中では重くない。まあ、上下二連などと比べれば重いです。

参考:自分のMSS-20の重さや重心バランスを確かめてみた

というわけで、以下で挙げる内容はMSS-20独特の話ではなく、20番・スムースボア・ボルトアクションという特徴に起因する話であり、ほかの似たような銃でも同じ事が言えます。

得意なこと

(1) 50mまでのスラッグ射撃

50m以内の射撃であれば、かなり優秀かと。「散弾銃ではハーフライフルが1番」と言う人もいますが、少なくとも50mまでならば、差はないんじゃないかなー。

腕や弾次第ですよ。少なくとも、一般的な射撃会ではMSS-20の人が多いですし、上位の人の銃を見てもMSS-20が入っていることが多いです。50mまでならハーフライフルの比べて遜色ないと思っています。

(2)単独忍び猟のシカ撃ち

これはかなり感覚的ですが、単独忍び猟に関してはMSS-20は得意じゃないかな〜。特にシカ撃ち。

というのも、少なくともわたしの猟場では、30〜70mで棒立ちしているシカを見つけることはできます。そういうシカをゆっくり(といっても数秒〜数十秒)で狙って撃つという行為に関しては、MSS-20はいいですね。

言い換えれば「ゆっくり狙えるときはMSS-20で良かったと思える」ということです。

あえてシカ撃ちに絞っているにのは、シシ撃ちに関してはまだ経験がなさ過ぎて分からないから。

不得意なこと

(1)クレー射撃

3つの理由でクレー射撃は苦手です。

  1. 平筒なので、トラップはキツいかと。その点、スキートは大丈夫。
  2. ボルトなので二の矢が素早く撃てません(少なくとも訓練を要する)。
  3. スコープを載せて運用することが多いと思うので、スコープでクレーは難しい。

(2)100m以上のスラッグ射撃

不得意と言い切っていいのか分かりませんが、少なくともわたしの感覚では100m以遠のスラッグ射撃だと、やっぱりハーフライフルに軍配が上がる気がします。

腕と弾次第で、100mならもしかしたらハーフライフルと近い結果を出せるかもしれません。でもそれを越えると厳しいかな〜。私の腕がへぼいのかもしれませんが、周りの話を聞いていても、似たような感覚の人が多い気がします。

(3)巻狩

これはかなり主観的ですが……。

巻狩でタツマについた場合、近距離を走る獲物を撃つことも多いでしょう。そうするとスコープよりもアイアンサイトやダットサイトが有利だし、連射性の高い銃が好まれる傾向があると思います。

ボルトアクションじゃだめ、ってこともないと思いますが、主流はやはり自動銃やポンプアクションじゃないかなー。

わたしも巻狩に出るときはアイアンサイトの自動銃を持っていきます。

(4)鳥撃ち

これはクレー射撃が苦手なのと同じ話です。平筒だから射程が狭いし、二の矢は撃ちにくいし、スコープは邪魔だし、20番より12番の方が散弾の弾数が多くて有利。

まとめ

というわけで、繰り返しになりますがわたしの主観としてはMSS-20って

  1. 50mの射撃
  2. シカ狙いの単独忍び猟

で力を発揮する銃だと思っています。まぁ、単独忍び猟と書きましたが、単独での待ち伏せ猟とかコール猟とかもアリでしょう。

巻狩は不得意だと書きましたが、使いこなせれば無理じゃないですし、高いレベルで使いこなしている人もいます。あくまで初めて所持する初心者にとって得意とは言えないかなー、という感覚。

銃ってどれも弾を発射する道具なんですが、得意不得意はあるんですよね。だからみなさん「銃は増える」と言うんです。けっして物欲に流されて増えるだけじゃないんですよ(それもあるけど)。

わたしがボルト式を1挺目に勧めないのは、汎用性が低いから。クレーや鳥撃ちなんかはやっぱり難しい。もちろん分かっていて「おれはボルトで鳥も撃つぜ」と言うのであれば、アリでしょう。むしろ楽しいかもしれません。ただ、間違いなく周りからは「上下か自動でも買ったら?」と勧められるはず。「おれはこれでいいんだ」と思えるならいいと思います。

また、最後にちょっと視点を変えて、「なぜハーフライフルではなく、スムースボアのMSS-20を選ぶのか?」というお話で締めくくります。

基本的にハーフライフルのボルトアクションは、この記事で挙げた得意・不得意の点ではかなり近いです。大きな違いは3点

  1. 散弾は極めて不得意なので、クレーや鳥撃ちはかなり苦手。ダメと言っても過言じゃない。
  2. 有効な射程距離が150mくらいまで伸びる(人によっては200mまでいけるという意見も?)
  3. 弾代が高い(手詰めすればそんなことはないけど)

どうせ、ボルトアクションって時点でクレーや鳥撃ちは苦手とするので、これはあまりデメリットではありませんし、射程距離が伸びるのであればスムースボアよりハーフライフルに軍配が上がります。

しかし「3.弾代が高い」の威力はスゴイです。市販の弾だとスラッグの2〜4倍くらいの価格になります。

手詰めすれば通常のスラッグと変わらないどころか、むしろ安く抑えられますが、初心者がいきなり手詰めってのも大変です。まわりに教えてくれる人がいればいいですけど。

そうすると、同じお金で練習量は1/2〜1/4になっちゃうんです。

というわけで、あえてスムースボアのMSS-20を選ぶのは、多少遠距離の精度を犠牲にしても、練習量を増やそうという意識があるから(あとカッコいいから。コレ大事)。

少し慣れてきてからハーフライフルに移行するのはありだと思います。

繰り返しますが、私の経験の範囲での話です。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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