【Garmin】最近気になっている衛星通信について、そしてそれを狩猟に導入する意味について【InReach】

最終更新日

衛星通信って、北極南極を旅するような、あるいは大航海をするような人のための遠い世界のツールだと思っていました。

日本の山を歩くのに衛星通信が必要だなんて思ったこともなく……というかそういうことを考えてみることさえしたことがありませんでした。

でももしかしたら衛星通信って、ぼくにとって「行動を広げてくれるツールかもしれない」と思い始めています。

まだ手にもしていないツールですが、自分なりに興味を持った理由などをお話してみたいと思います。

使用経験のある人は、ぜひ経験談を共有してくれると嬉しいです。

たとえばGarmin InReach Mini/Explorer

一応、他にも選択肢があるようですが、ぼくはもともとGarminのGPS端末を使っていたこともあり、興味を持っているのはGarmin製の衛星端末です。

上記のように、衛星通信ガジェットInReachには2つのラインナップがあり、Miniは本当に最低限の通信をするためのツール(でもスマホと組み合わせるとExplorer並の機能を持つっぽい)、ExplorerはGPS端末としての機能に加えて文字入力などもずっとしやすくなっているようで、頻繁にメッセージをやりとりするならこちらを選ぶべきかもしれません。

 

んで、衛星通信ってなに?

さて、当たり前のように書いている衛星通信ですが、これは宇宙を飛んでいる衛星を使った通信で(そのまんま笑)、大事なことは携帯回線とは関係なく、地球上のどこにいても(空の衛星を遮る物がなければ)通信できるという最強の回線です(僕の見解)。

たとえば深い谷の底なんかだと繋がりにくいこともあるようですが、空が見えるところに出れば——つまり尾根にでも上がれば普通は通じるようですね。

使う衛星によって空の上を通る頻度が異なるので、それによって使い勝手が変わってくるかもしれませんが、そのあたりはまだ使ったこともなく実感を持っていないので黙っておきます。

 

僕の認識としては「山奥で携帯が圏外になっても、シンプルな通信が可能」という感じ。

今どきのメールやLINEのように画像・動画を添付するような高度な通信ではなく、InReachの仕様を見る限り、英語のテキストのみ160字まで、という簡単なものです。

 

どんな用途を想定してる

で、ぼくがこれに興味を持った理由は、他でもない「狩猟中に家族にメッセージを送りたい」という1点です。

とはいえ「やっほー、狩猟中だよ〜獲物獲れたよ〜」なんてメッセージを送るためにほしいわけではなく、送りたいメッセージは3つのみ。

「遅れてるけど無事。帰りが遅くなる」
「帰れないけど無事。ビバークする」
「トラブルあり、レスキュー求む」

くらいのものでしょう。とくに最初の2つが僕にとってめちゃくちゃ重要です。

ぼくが行く山は100%圏外です。たとえば「どうしても追いたい足跡があるけど、これ以上遅くなるとあまりに心配かけるからやめようか」って場面は少なくありません。それがシカならいいんですが、昨年から追っているヒグマとなるとそんな簡単に諦められない場面もあります。

事前に家族に「熊を追うから帰れないときもあるけど心配しないで」とよく伝えた上で、帰れないときは必ずメッセージするようにすれば、心配かけずに済みます。

同じように帰りが遅いときもそうです。獲物を獲り、走られて探すのに時間がかかったときなど、何のトラブルもないけど、ただ帰りが遅くなることはままあるものです。

 

行動を広げてくれる道具

ぼくは常々「自分の行動範囲を広げてくれる道具が良い道具」という意識を持っています。

で、この衛星通信はまさにその「行動を広げてくれる道具」なんです。

なぜなら、これは僕の性格なのかもしれないですが、家族に過剰に心配をかけて下山を遅めたり、ビバークするのはとても嫌なのです。家族のために、と言うよりも、僕が嫌なんです。

「あー心配かけてるなー、申し訳ないなー」

と思いながらビバークするのは、ただでさえ山の中のビバークで大変なのに、追加の心労でしかないんです。ここでメッセージを1つ送れるなら、気持ちよく下山を遅めたり、ビバークするという選択肢が生まれる。それは選択肢を広げてくれているわけです。

実際、これまで「本当はもっと追いたいけど、心配かけるから念のため帰ろう」と判断した回数は数知れず。

家族をほっといて好き勝手に取り組むのは、自分の気持ちに反するし。

 

InReachの料金体系

興味を持った人のために、料金体系をまとめてみます。自分なりにサイトから読み取った内容なので、契約の際はご自身で確認してくださいね。

Garmin公式サイトより(https://www.garmin.co.jp/minisite/inreach/gpsmap-66i/#personal-plans)

ちょっと分かりづらいのは年間契約と自由契約。前者はそのままですが、自由契約は「月次契約」です。使いたい月だけ契約することができます。ただし、自由契約を使うためには、1年に1度$34.95の年間費用を払う必要があります。

僕の用途だと、あくまで緊急時利用なので、最も安いSAFETYで良いでしょう。さらに、年間を通じて使う必要はなく、猟期の半年間だけで良い、と思っていますので、自由契約でOK。となると端末代を除くと——

年間費用:$34.95
月次費用:$14.95 × 6ヶ月 = $89.7

合計:$124.65

というわけで、円に直すとざっくり1.4万円(1ドル110.95円)というわけ。InReach Miniは4万円程度で買えるので、初期費用4万円、あとは毎年1.4万円でどんな山奥にいてもメッセージを送れるという機能を使えるというわけ。

安いとみるか、高いとみるか。

ぼくは安いと思いました。

▶蛇足1

ちなみに、計算して気付きましたが、年間契約でも年間でかかるコストは$143。半年使うなら、もう割り切って、年中使える年間契約にしちゃった方がいい気もしてきました。北海道は猟期が長いのでね。

▶蛇足2

関東など猟期が3ヶ月の地域のランニングコストは$79.8。9000円弱です。安いね〜。

 

狩猟に導入する価値

巻狩では不要でしょう。無線があればOKです。

流し猟なども車があるんで、いらない気がします。

いわゆるシカ・イノシシの忍び猟だと、あれば便利に思う場面もあるでしょうけど、そもそも「泊まりがけで獲りたいか?」という点で、疑問が残ります。「今日は泊まりながら猟をするぞ」と決めていくことはあるでしょうけど、「イノシシの足跡があったからビバークして追うぞ」という意識にはならない人が多そうな気がします。

もちろん、この衛星通信の売り文句は「どこからでもレスキューを呼べる」という点が強いと思うので、そこに価値を見出したらぜひ導入していいと思います。でも、ぼくの場合はそこじゃないんです。

 

「このヒグマの足跡を追いたい。2日でも3日でも追いたい。でも家族に心配をかけてしまう……」

という場面で無事を知らせ、前向きなビバークをすることを伝えたいだけなのです。そうすることで自分の行動範囲が広がり、選択肢が増え、獲物に近づけるかもしれないと思うのです。

 

ぼくは前向きに検討中です。今期のために導入するかはわかりませんが、遠くない将来は入れたいかな。まだ深く考えていませんが、レスキューの視点だと、これとココヘリの組み合わせは最強かも、と思っています。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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