単独猟日記:狙い込んで外す……その経験から思ったこと
関東もようやく冬らしい気温になってきました。
猟場に着くと沢沿いにある砂に霜が降りていて、白く染まっていました。
「シカの在庫が切れたから、今日は鹿もイノシシも獲るぞ」
鹿ルート
わたしの猟のスタイルは基本的に「付き場歩き」です。足跡を追ったり、待ち伏せたりもしないわけじゃないですが、基本は「よくいる場所にソーッと忍び寄って、いたら撃つ」という感じ。
鹿とイノシシはやはり微妙に異なる場所にいて、鹿が多い場所を歩けばイノシシに出会う確率が下がるし、イノシシが多い場所に行くと鹿との出会いは減ります。もちろん、そんなのお構いなしに現れる獲物もいるんですけど。
だから「鹿でもイノシシでも獲るぞ」と意気込んでいても、歩くルートで自然とどちらかを選ぶことになります。
「今日は……鹿でいこう」
シカノス
わたしが勝手にシカノスと呼ぶ一帯があります。
もちろん “鹿の巣” です。本当にいつ行っても鹿がいるんです。多いときだとその一帯に4群れ入っていたことも。まぁ、いれば獲れるってほど簡単ではなくて、先に気取られたり、あまりに遠くて近づけなかったり、そもそも視界に入る前にダッシュされたり……。それでも獲物に出会える絶好のスポットなので、お気に入りの猟場です。
今日はシカノスに行ってみることにしました。
あれはなんだ?
ふと斜面の下の方を見ると、木の手前に異物感がありました。遠くてまったく見えないけど、とにかく異物感。猟を始めてからこういう異物感に気が付くのが少しうまくなった気がします。
双眼鏡で覗くと気によりかかるように座っているオスジカでした。
「よし、これは獲れそう」
まったくこちらにも気が付いていません。のんびりリラックスしているので、ゆっくり狙うこともできる。忍び猟的には絶好のシチュエーション。
しかし遠い。目測では100mオーバー(あとで計測したら120mほど)。立射じゃキツイ感じ。膝をついて膝射の姿勢をとると、微妙に倒木などが邪魔で撃てない。
「困った……」
まったく気取られていないので、焦ることはないのですが、どうも鹿が頭を上げてキョロキョロし始めました。
「勘づかれた?」
しかし鹿が見ている方角こちらではありません。鹿の見ている方向を見ると、リスが歩いています。鹿からは見えない場所ですが、カサカサと音がするので、その音を警戒しているようです。
あんまり時間をかけていると、鹿もリスの音を嫌って移動しちゃうかもしれない……
音をたてないようにそっと場所を移動します。近づくのはかなり難しい地形ですが、横方向には動けるので、膝射で撃てる場所を探します。少しずつ移動してようやくそういう場所を見つけ、膝射の姿勢を取ります。
狙うのは……ヘッドショット。
ターハントの力を!
今日持ってきている銃はターハント。新調した銃です。
ハーフライフルの12番。理論上はMSS-20よりも遠射が効くハズ。射撃場では50mしか撃っていませんが……。
さて、ヘッドショットを狙ってレティクルを頭に合わせます。ターハントに乗せているスコープはリューポルドのVX-HOG1-4。レティクルはこんなのです。
100mのヘッドショットを撃とうとすると、この中心の○が邪魔になります。線が多くて、スッと構えにくいんです。
それでも相手の動きが少ないので丁寧に構えて、発砲。初めてターハントを山で発砲しました。すごい音。MSS-20とは比べものになりません(これは耳栓付けたくなる気持ち分かる)。
「倒れるか?」
と期待してスコープ越しに獲物をみていますが、鹿はスッと立ち上がって、回りをキョロキョロ。逃げる気配はありません。音がどこから聞こえたか分からない用で、そのまま足下のエサを食べ始めます。
まったくかすりもしなかったようです。
その鹿の立ち位置が倒木の影になり、二の矢は撃てず、その後も20分ほど撃てる場所を探していましたが、とうとう撃てるチャンスがないまま、鹿はお尻を向けてゆっくりと降りていきました。お尻を撃っても仕方ないので見送ります。
その後も鹿はたくさん見た
結局、鹿を4回みました。計6頭。イノシシも1度目撃しましたが、撃てるチャンスはありませんでしたね。
先ほどの鹿を外した時点で1日の勝負はついていたと思います。実際、外した時点で「あァ、これが今日の成果なんだな」と妙に実感しちゃったくらいです。なんか、決定的なチャンスを自分のミスで逃がしたとき、山の神さまに「これが獲れないなら今日はやめな」と言われているような気がします。それでも粘るんですけどね。
外したことを悔やんで、考えた
「なぜ外したか」
まぁ、相手は鹿。自然の動物です。こちらが引き金を引く瞬間にちょっと顔の位置をずらしたのかもしれません。わたしが微妙にガク引きしたのか、ただ単純にぶれていたか……。
外す理由なんていくらでも想像できるのですが、あとで猟仲間と話していて思ったことは2つ。
- そもそも100mオーバーでヘッドショットを狙えるのか?
- 4倍のスコープで100mオーバーのヘッドショットを狙うのはやっぱりきびしい
やっぱり射撃場で100mでのグルーピングをよく確認したいところです。依託射撃でどの程度まとまるのか、膝射でどの程度まとまるのか。正直なところ、それを曖昧にしたまま撃ったのは、自分の判断ミスとしか思えません。あの場面で撃つなら心臓を狙うべきだったし、ヘッドショットにこだわるなら撃たないという判断をすべきだった気がしています。
その代わりもっと忍び寄ってみて、その結果逃げられたなら、ムダ弾を撃つこともなく、変な後悔もせずに済みました。当たらなかったから良かったものの、半矢にしたならこの後悔はより大きくなりますし。
個人的には今後の猟ではできるだけヘッドショットにこだわりたいという気持ちがあるので、今回は近寄る努力をすべきだったな〜。まぁ、とにかく射撃場で100mのグルーピングは確認してみたいと思います。
また、スコープについてですが、今回の猟で確信しました。
スコープを載せ替えます。わたしのスタイルだと低倍率側はあまり重要ではないです。MSS-20は2-7倍を載せています。最低が2倍ですが、問題ありません。それどころか、MSS-20で撃つときも4倍以下を使ったことはほとんどありません。
であれば、遠射の効くターハントはもっと高倍率側に寄せます。結果として近くでパッと現れて走って逃げる獲物は撃ちにくくなるかもしれないけど、そういう場面でスナップショットで獲るようなことはこれまでほとんどないので、割り切ろうと思います。
で、何倍にするか? 猟仲間がスコープをトレードしてくれるということで、それを考えています。そのスコープは3-12倍。一応、北海道での猟のことも考えての選択ですが、関東でも使ってやるつもりです。
だんだんとスタイルが定まってきた感覚
なんとなく「近くの逃げる獲物よりも、遠くの止まっている獲物」を獲りたいという欲求は初年度からありましたが、2年目になってそういう感覚が強くなりました。
スタイルが定まると、なんとなく猟をしていても余裕が出てくる気がします。
それにしても……ハァ……外したのはの凹むなァ。
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