書評『サバイバル登山入門』考え方はもちろん、山歩きの入門書としても勉強になる
服部文祥氏といえば登山系の雑誌などでよく名前を拝見する、有名な「サバイバル登山家」です。
サバイバル登山とはなにか? ここをちゃんと理解できると、この本を含め、彼がやろうとしている「サバイバル登山」というものの魅力が良く分かるのではないか、と思います。
サバイバル登山とはなにか
サバイバル登山とは、できるだけ自分の力で山に登ろうという試みである。
この本はこの1行から始まります。「サバイバル」という冠がついているので、ともすれば「米を持っていくんじゃサバイバルとは言えない!」とか「タープを持って行くのはサバイバルじゃない」とか、ケチがつきがちですが、「できるだけ自分の力で山に登ろう」とすることを、服部文祥氏はサバイバル登山と呼んでいます。
だから人によって、その線引きが違っていいわけです。
たとえば服部文祥氏は「フェアネスの境界線」として――
自分で作り出せないものを使うのはフェアとは言えず「ズルい」というのがわたしの基本スタンスである。
と書いています。電子機器などは作り出せないので使わず、機能性が落ちるとしても、自分で作り出せるものであれば、持っていく。
明確なようではありますが、ここは非常に曖昧で、個人差のある線引きです。たとえばテント。服部文祥氏は持っていきませんが、これを「持っていく」と判断することは、別に悪いことではありません。本書の精神に反するモノでもないわけです。
また、服部文祥氏自身も「もっと荷物を減らしていける」と考えており、現状がベストだとは考えていません。その証拠に、荷物のリストがありますが、「究極的にはこれだけで行きたい」という最小限の荷物も紹介しています。できるだけ最低限の荷物で、山を歩く。つまりそういうことです。
この哲学は山遊びが好きな人みんなが取り入れられるものだとわたしは思います。
使える入門書
「サバイバル登山入門」というタイトルが示すとおり、この本は著者が実際にやっているサバイバル登山の様子を紹介しつつ、ノウハウを紹介する形になっています。
荷物、歩き方、地図、火の扱い、釣り、狩猟など、分野ごとに丁寧に説明されていて、「一部分だけ取り入れる」ということがやりやすい構成になっています。いきなり銃を持って、雪山を歩くことばかりがサバイバル登山ではなく、「まずはテントなしで泊まることから始めよう」などと、できそうなことだけやってみればいいのです。
実際、わたしも昔テントなしで山泊したことがありますが、大人になった気持ちになりますよ。オススメですが、それなりに大変です。
バイブル
この本はまちがいなく、バイブルになり得る良書です。
1つ1つのノウハウもそうですが、考え方が参考になると思います。
わたしも本棚に置いておいて、時々パラパラとめくりたいと思います。
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