ロストルート、クロスロード
稚内には稚内公園という公園があります。公園といっても遊具のあるような公園ではなく、小さな山脈(というか連なる丘)ですね。
その中には縦横無尽にハイキングコース的なものがあります。いや「あった」と言った方がいいでしょう。というのもオフィシャルの情報からは消え去り、メンテもされなくなり、「なんか獣道のようにルートがあるけど、最近歩いた人はいない」というような状況なんです。
例えばクマが現れ、「クマ出没」の看板が立ち、誰も立ち入らなくなり、市も維持しなくなる。そして、ロストテクノロジーならぬ、ロストルート化していくのです。
ロストルートって、おもしろそうじゃん!
なんか、そういう話を聞くと「おもしろそう!」としか思わないわけですよ。
そこで、その中の1つ「クロスロード」というルートを歩いてきました。その名の通り、稚内の半島を東西に貫くルートです。
このコースの情報はネットでもあまり見つかりません。なぜ知っているかといえば、ぼくが経営するゲストハウスモシリパの前オーナーが残していった資料の中にあったものなのです。昔は観光客のみなさんに案内していたようですね。
スタート地点に行ってみると、こんな感じで「オフィシャルっぽい」看板はあります。
ところが、稚内市のコースガイドに、その記載はありません。こちらのサイトを見ると、一部のコースは「令和3年にクマが出たため、利用できない」という説明がありますが、そういった利用不可のコースにさえなってないようです。ロストテクノロジーだ!
行ってみよう!
ルートはいたってシンプルで、まったく難しくもありません。最初はグーッと尾根を下っていき、10分もしないうちに、写真の貯水池に到着。なんか「スナフキンの家」と呼ばれているとかなんとか。
貯水池を越えると分岐がありますが、その右に向かうルートは立ち入り禁止になっていました。サイトを読むと、令和3年にクマが出た、と。今は令和6年なんですけど。
ヒグマに関する活動にほんのちょっと携わる身としては、事故を防ぐための必要処置は理解しつつも、一度禁止したらそれっきり解除しない姿勢に対しては批判的です。そんなことをしていたら、北海道中の山が立ち入り禁止になっちゃいますし、そうなると市民がヒグマとの付き合い方を忘れてしまうように思えます。適切に警戒し、適切に付き合っていくのって大事。
とはいえ、入山するのは自己責任であり、基本的な対処というのも必須です。ぼくらもクマ鈴+クマスプレーは装備して、声を出したり、手を叩いたり、足跡や食み跡を探して、ヒグマの痕跡に注意を配るのは当然のこととしてやっていました。
こんな木漏れ日落ちる、気持ちの良いルートをしばし歩くと、パッと開けたルートに変わります。
いくら涼しい稚内とはいえ、やっぱり直射日光の中で歩くのはちょっと億劫ですね。この先はずっと、日陰がありません。
半島を西側に越えると、遠くに利尻山が! きれいだな〜。
あのレーダーは自衛隊関係のもんかな。風を切る音が低周波のようで気持ち悪かったです。
(5才の娘はその音が怖くて泣いていました笑)
そしてルートの最後は「たまらん坂」です。一部はほぼ90度なんじゃ? と思うくらいの超急勾配の下り坂。
でもまぁ、実際には5才の娘でさえ自分で降りられたので、危ないっていうほどでもないかな。写真を見たとおり、ロープもあるので、それにつかまりながら行けばOK。
ハイキングっていいよね
ぼくは娘や妻とこうやって軽く山で遊ぶのが好きです。
冬になると鉄砲担いで山に行くわけで、そのときはそれなりにハードですが、夏はサクッと軽く山を歩き、沢で遊び、魚を眺めたり釣ったりするくらいが楽しいです。
また、このルートはあくまで非公式ルートで、歩くことは推奨されていないようです。よくわからんけど。山を降りたところには「クマが出たので立ち入り禁止」と立て看板がありました(入山地点にはそういった看板はなかったので、下山時に気が付いた)。
あくまで自己責任で、としか言いようがありません。
でも楽しいハイキングでしたよ。降りたところが温泉なので、それに浸かって、バスで帰れば最高の遊びになります。
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