ガレージブランドを見ていくと、アウトドアの常識が変わるかもしれない

最終更新日

今日は「ガレージブランドを見ていくと、アウトドアの常識が変わるかもしれないよ」というお話をしていきたいと思います。

登山にせよ、釣りや狩猟にせよ、少しアウトドア系のレベルが上がってきた人にこそ読んで頂きたい記事です。

また、特定のブランドや商品を宣伝・紹介するのが目的ではなく、「ガレージブランドっておもしろいぞ」という趣旨で知っているものをいくつか挙げています。それぞれについて知りたければ、ぜひブランドのサイトを見てあげてください。

ちなみに、同じ内容の動画をyoutubeにアップしています。動画で見たい人はこちらもどうぞ(多少構成が異なりますが、言いたいことは同じです)。

 

ガレージブランドとの出会いはロングトレイル系のギア

ガレージブランドってなんでしょうか? ここでは全国流通している、登山用品店に売っているような大手メーカーに対して、ほぼ個人で制作・販売をしているようなブランドを指して “ガレージブランド” と呼んでいます。

そんなアウトドア系のガレージブランドとの出会いは、昔見ていたロングトレイル系のYouTubeでした。

ロングトレイルというのは、かなり長距離を歩ききるようなトレッキングスタイルを指します。歩く期間は数週間〜数ヶ月。たとえば有名なのはアメリカを縦断するアパラチアン・トレイルでしょう。2000マイル(約3200km)にも及ぶ距離を半年前後かけて歩ききるようなコースです。

こういった長距離を歩く人たちの動画を見ていると、日帰り・数泊程度のトレッキングとは違ったノウハウがあるようで、その中でもロングトレイル系の人たちから生まれてきたのが「ウルトラライト」と呼ばれるジャンルです。

みなさんも “ウルトラライト系のギア” という言葉は聞いたことがあると思います。「めちゃくちゃ軽い道具」という意味で使われていますが、実際にこの言葉が持つ意味はもっと深いのです。

じつは軽さを追求するがあまり、オーソドックスな登山・トレッキングの常識をいろいろ変えていきました。

 

そのザックいらなくね?

たとえば登山用品店で「登山用のザックが欲しい」と相談して出てくるザックはたとえばこういうものでしょう(あくまで一例です)。

この手のザックの最大の機能は「重いものを雑にパッキングしても安定する」という部分でしょう。それを支えるのがガッチリしたフレームと、すばらしい肩ひもやウェストベルトのデザインです。初心者が適当にパッキングしてもそこそこ安定するわけです。

実際に重いものを背負うと、こういうザックの強みが分かります。

でもね。ウルトラライト系の人たちにいらないんですよ。なにしろ荷物が軽いので、「重いものを背負っても安定する」という機能が活かせないのです。そしてその機能がゆえに、ザック自体が重いわけですよ。上に挙げたものでも1.3kg。サイズによっては1.5〜2.0kgになります。荷物が数kgしかないのに、ザックが2kgもあったら残念ですよね。

そこで登山用ザックが持っている機能を削りに削り、超軽いザックを作る人たちが現れました。

そんなザックをYoutubeで見たのが、ぼくのガレージブランドとの出会いでした。

 

Zpacks

Zpacks – Arc Air 50L Backpack

そのとき見たザックがどのブランドのものかは覚えていないのですが、たとえばこんな感じのザックだったと思います(この手のウルトラライト系ザックのブランドはたくさんあるんです)。

ZpacksというブランドのArc Air 50L は、その名の通り50Lで、重さは560g。

前述のがっちりしたフレームなどを排除し、ひたすら軽量を追求しています(上のモデルはちょっとしたフレームは入っているようです)。背中のクッションなどもないため、おそらくいい加減にパッキングすれば背中が痛くなったり、左右のバランスが崩れたりするはずです。

そのため利用者はその辺りを理解して「うまく使うこと」を求められます。

決して誰にでも勧められるザックではなく、分かっている人だけがつかえる道具である、というわけです。

 

ああ、こういうのでいいのか〜という驚き

ぼくも登山からこういう山遊びに入っているので、自分の山の常識は登山用品店で積み上げてきたものでした。

だけど「自分のやっていることが分かっていれば、そういう常識から外れるのもありなんだ」と驚かされたわけです

ガレージブランドをわざわざ立ち上げて何かを作っている人たちは、つまるところ自分の欲しいものが登山用品店で見つからないから自分で作ってしまったような人たちです(たぶんね)。その人たちが作っているものを見ると、いろんな常識が変わっていきます。

たとえば日本のガレージブランドにfreelightというブランドがあります。freelightさんがTitanium Pot UL-600Nというクッカーを作っています。これもやはりウルトラライト系で、チタン製のクッカーを提案しているわけですが、普通のクッカーとはひと味違います。

Freelight – Titanium Pot UL-600N

よく見てください。取っ手がないのです。重さがふたと合わせて59g。軽い……。しかし取っ手がないクッカーって見たことありますか?

ぼくが見てきた範囲ではなかったはず。しかし「トレッキングをするなら手袋くらい持ってるだろう? それならその手袋で持てば熱くないじゃないか?」という声が聞こえてくるようです。

たとえば冬の北海道だと山での気温は氷点下10度くらいになってきます。そうすると食事中も手袋は付けっぱなしです。

「あれ、取っ手はいらないかもしれない……」

そんな気持ちが湧いてきます。自分の持っているクッカーの取っ手を外せば軽量化できるな……とさえ……。

 

アルストもガレージブランドの激戦区

話は変わってアルコールストーブ。

国内のアルコールストーブ事情はなかなかおもしろいことになっています。

アルコールストーブと聞いて、どんな商品を思い浮かべますか? 恐らく大半の人はトランギアのアルコールストーブを思い浮かべたはずです。

これはこれで定番なんですが、これがなかなか重い。全部で110gあります。これを当たり前だと思っていたら、やっぱりガレージブランドがその常識を覆してくれました。

たとえばRSR Studioというガレージブランドがあります。そこが作っているRSR stoveというアルストがおもしろい。

RSR Studio – アルコールストーブ

公式サイト曰く

源流という過酷な環境で一人が一回分の食事に必要とする湯を
確実に手に入れることを目指し
高火力・小型・堅牢なアルコールストーブを開発しました。
結果、出来上がったのがアルミ合金削り出しのRSR Stoveです。

実際にぼくも使い始めていますが、もうこの説明の通りですね。ちなみに重さは33gです。トランギアと比べるといろいろ異なります。まず蓋がない。つまり燃料をストーブの中で持ち運ぶことは想定されていません。また火を消すためのふたもオプションですので、基本的には「なくてOK」という割り切りを感じます。

こういった割り切りと設計の妙を経て、33gという軽量化の上、従来のアルストより早くお湯が沸くという高性能を達成しています。しかし、1度入れた燃料を戻すのは難しいため、「必要な燃料の量」を当てるという能力が求められます。これは繰り返し使うことで段々と当たりがついてくるはずです。

 

さて、同じ国産ガレージブランドでも、違ったアプローチを目指したアルストがあります。それが先ほども名前を挙げたfreelightが作ったフレボRです。

Freelight – フレボR

さきほど59gのハンドルレスのクッカーを作ったブランドです。アルストも強烈で、重量はなんと7g。タイプミスじゃないですよ。7gです。

重量に関しては極まってます。もうこれ以上軽くなることはないのでは?(あと数g軽くなっても、、ね?) 火力に関しても優秀で、かなり早く湯が沸きます。さきほどのRSRと比べても同等かそれ以上の火力です。

しかし軽くするために犠牲にしているものがあります。それは強度。じつはアルミの空き缶を再利用して制作されているため、側面を指で触るとペコペコと凹みます。上から踏めば潰れるでしょう。

でも「そんなこと分かってる人が使うこと」を想定しているわけです。アルストを踏んだことあります? ないですよね。また普通はこの手のアルストはクッカーなどの中に収納するので、ザックの中で潰れることもありません。多少華奢でも7gの魅力には敵わないでしょ? と。

フレボRを見たときは度肝を抜かれました。

「え? いいの?」

って感じ。尖ってるな〜、ほんと。

 

アルストの風防・五徳業界も

アルストは軽量コンパクトであることが強みの火器です。だからトランギアの110gに満足できず、RSRの33gだとか、フレボRの7gといった超軽量なアルストが生まれるわけです。

しかしアルストはそれだけじゃ使えません。そこで五徳や風防もあれこれ趣向を凝らしたものがあります。その中でもっとも尖っているのが野鋭具兵学校の風火蔵というもの。

野鋭具兵学校 – 風火蔵

詳細は風火蔵の公式サイトを見てください。ここで語るには情報量が多すぎる笑。強みはいろいろありますが、箇条書きにすると——

  • 軽量(37g)
  • 高い安定性
  • 展開と撤収が簡単(組み立てがない)
  • 山で風が吹いたときの性能がとてもよい(これはサイトを読んで)

という感じでしょう。そもそも形状が丸じゃないというのがおもしろい。だいたいアルストの五徳は十字・丸・三角のものが多いんですが、こいつは半円。おもしろいよな〜。

 

焚火台も

野鋭具兵学校 – 79式算盤火床ブースト

これはぼくも愛用しており、今期の猟ではほぼ毎回活用しているので、かなり実感を持って「いいぞ」と言えます。

先ほどと同じ野鋭具兵学校が作った焚火台で『79式算盤火床』のブーストというやや大きい方のモデルです。

本体重量185gと、焚火台としてはかなり軽く、そのうえ「調理をする焚火」としては最適なサイズ感を保っています。この辺りのバランス感覚を言語化するのは難しいのですが、1〜2人の炊飯・調理をする上でこれ以上小さいと制限が多くなるし、大きくなると荷物としてかさばるし……という絶妙なバランスです。

ただこれも万人受けするかと言えば、たぶんそうじゃなくて、「分かっている人」じゃないとうまく活かせないだろうとも思います。たとえばキャンプ場でそのまま使うのは無理があります(その意味が分かっていれば工夫できるけど)。

軽量化を狙っているがゆえに、ある程度丁寧に使用時の地面などを慣らしてあげないとバランスを崩すこともあります。逆に、ちょっと気を使ってやればトラブルもなく最強の焚火台であると思っていますね。

 

ガレージブランドおもしろくない?

長くなってきましたが、まだまだ語りたいものはたくさんあるんです。

たとえばカカシラボ。これはまた別の記事でも紹介したいとは思ってますが、独自の射撃用の的紙を作ったり、単独忍び猟で使いやすい弾差しを作ったり、どうしても選択肢が少ない狩猟業界において、期待されているガレージブランドの1つです。

ぼくも的紙・弾差しを共に愛用しており、個人的に仲良くしていることもあり、今後にかなり期待しています。

カカシラボ – X-Holder

こんな風にガレージブランドを見ていくと、登山用品店などじゃ見掛けないような尖った商品がたくさんあることに気付かされます。

もちろん尖っているということは、捨てた機能や割り切った仕様が必ずあります。そのあたりを分かっていれば強力な道具になるし、分からずに使えば期待外れということにもなり得ます。

ぼくがこの記事で言いたいのは「ガレージブランドを買おう」じゃなくて、まずこういうガレージブランドを見てみるだけでおもしろくないですか? というお話です。

「クッカーの取っ手を取るっていう選択肢があったのか!」
「ザックってこんな軽いのもあるんだ、そしてそれはアリなのか」
「アルコールストーブがこれだけ軽いなら、バックアップに持って行くのもありかも」

なんて具合に視野が広がり、今後のアウトドアシーンの中で選択肢が広がっていくんじゃないかと思ったのです。

国内外のガレージブランドを見て、「この人はなんでこんなモノを作ったんだろう?」と考えてみると、そこから気付くことがきっとあるはず。

みなさんもご存じのおもしろいガレージブランドがあったらぜひ教えてください。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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