やっと出会えたズボン、フェールラーベンのVidda Pro Ventilated Trouser
気に入らないものをたくさん持つより、気に入ったものを少しだけ持ち、それを長く使うのが理想だと思っています。
普段着も、猟装も、気に入ったものを見つけて、それを繰り返し着ているのですが、じつは持っていなかったのが、お気に入りのズボン。上着も、インナーも、靴も、それなりに気に入ったものがありますが、どうしてもズボンだけはだめ。自分でも何がほしいのかもわからない、という感じでした。
何がほしいかもわからないので、高い物を買う気にはならず、どうしても安いのを適当に買っては、すぐに穴を空けて、妻に「穴があいてる」とツッコまれて買い替える、ということを繰り返してきました。本当にすぐに穴を空けちゃうんです……。
使い捨ての道具や服に愛着が湧くわけもなく、なんかズボンだけは愛せない人生でした。
フェールラーベンに出会うまでは……。
フェールラーベンってどんな会社?
フェールラーベン(fjallraven)というブランドをご存じでしょうか。有名だとは思うのですが、改めて——
Fjällrävenは、山と森が海と出会う場所、スウェーデン北部の小さな町エルンシェルツビクに生まれたアウトドアアパレルとアウトドア用品のブランドであり、自然をより身近なものにすることに取り組んでいます。真のスウェーデンスタイルであるシンプルさと実用性に重点を置き、自然環境を最大限に尊重しています。
私たちがしていること:
機能的で耐久性があり、時代を超えたアウトドア用品を生み出す
自然、動物、人に対して責任を持って行動する
アウトドアライフへの興味をかきたて、発展させる
「私たちはこの目的に向かい50年以上に渡って歩み続け、これからも歩みを止めることはありません」
フェールラーベンブランドストーリー
フェールラーベンについては、ぼくが好きなエピソードがあり、それがゆえにフェールラーベン大好きになってしまったのです。
それは「フェールラーベンはゴアテックスを使わない」というお話です。詳しくはこちらの動画を見てもらうのがわかりやすいです(英語)。
掻い摘まんで説明すると——ゴアテックスは性能的には最強なんだけど、製造にともなう環境負荷が非常に高いと言われています(有機フッ素化合物=PFCs)。そして現実には「普段のアウトドアで、本当にゴアテックスほどの性能は必要なのか?」という問いの末、フェールラーベンはゴアテックスを使わないという経営判断を、いまのところはしています。
その代わりに、フェールラーベンはG-1000という綿ポリ素材にワックスを塗って、適度な撥水と通気性を得れば良いじゃないか? と判断したわけですね。オイルドコットンとか、そういう類いの昔ながらの発想です。完璧な防水とか、完璧な通気性とか、普通のアウトドア活動ではいらねーだろ——とまぁ、そういうことです。
ぼくはこの発想がとても好きです。また、アウトドア系の衣類は、藪に入ったり、山を這い回るには、ちょっと華奢すぎるものが多く、自分には用途が合わないと感じることも少なくありません。その点も丈夫さで長く使えることをモットーとするフェールラーベンに興味を持った理由でした。
Vidda Pro Ventilated Trouser
さて、そんな感じで、なんとなくフェールラーベンという会社に興味はあったのですが、まだ買ったことがありませんでした。
フェールラーベンのズボンは丈夫さには定評があり、「丈夫なズボンがほしいな〜」という話になると、間違いなく候補に挙がってくるブランドです。ところが心配性なボクは思うのでした——すごい丈夫なズボンって、動きにくそう。
ワガママな話ですよね。丈夫なズボンがほしいのに、いざ丈夫なズボンを買おうと思うと、丈夫さゆえに動きにくいんじゃないか、と心配する。地方に住んでいるもんで、実物を触ることができなかったし、価格も安くないので、心配するのは分かってもらえると思います。
でも、もう気に入ってもいないズボンを買い続ける人生は嫌だ! と思い切って買ったのがVidda Pro Ventilated Trouserでした。
薄ッ! 動きやすッ!

さて、実際に商品が届いたとき、驚きました。思いのほか薄いんです。登山用のシャカシャカズボンほどではないですが、作業服屋で買うワークパンツよりは薄いようです。
「これがそんなに丈夫なのか!?」
と半信半疑になるほどでした。試しに履いてみると、伸縮素材の使い方が絶妙で、ゴワゴワしたり、動きにくいと感じることはありません。狩猟ではもちろん、日常生活でもかなり頻繁に着ていますが、極めて快適です。
たしかに破れない
最近、山に行く度に藪漕ぎをし、急斜面をよじ登り、ときどき猟犬のイチが足に絡みついて遊ぼうとし爪を当て、いつ破けてもおかしくない状態ですが、いまだに破けたり、ほつれたりすることはありません。
たしかに丈夫だ。
すでに何十回とキツい環境で使用していますが、丈夫さは実感しています。
ワックスの塗り方で性能をカスタムできる
また、このズボンは素材自体は綿とポリでできており、防水・撥水の機能はありません。
そこにグリーンランドワックスを塗り込むことで、撥水性を得ています。
メーカーから買った時点では全体に軽く塗られているので、とりあえずこのまま使っていましたが、じつはワックスの塗り方で、性能をコントロールできるというおもしろさもあります。
たとえば、雨が多かったり、朝露で濡れるアクティビティが多いなら多めにワックスを塗れば撥水性アップ。
汗をかくことが多いなら、ワックスを減らすことで通気性アップ。
ここからがおもしろいのですが、よく濡れるところは多めに塗り、その他の場所は薄くしておくことで、通気性と撥水性のバランスを探ることもできます。ぼくの場合、朝や、小雨での藪漕ぎで、とにかく腿から濡れるので、膝〜腿のあたりと、座ったときに濡れるお尻だけ濃く塗って、他は薄くしておくようにしています。
ベンチレーション最高

また、このズボンの名前にもある通り「ベンチレーション」がついています。
腿の横に通気用のジッパーがあり、これを開けることで通気性が格段にアップします。
これがかなり快適です。本当。
山で身体が温まり始めたら、すぐに開けます。そうすると涼しいんですよ。この快適さを実感したとき思いました。
——生地の通気性を追求するよりも、こうやってガバッと通気性を高めてしまった方がてっとりばやい!
もう、ベンチレーションなしのズボンは履きたくない。そう思うほどです。
足首の機構も好き
また、足首を締めるベルトもついていて、これがちょうどいいんです。山では裾がヒラヒラしてもいいことはありません。
ゴムで締める構造のズボンはよくありますが、フェールラーベンは伸縮性のあるベルトで締める形になっています。これが地味ながらもいい感じ。
キュッと締めておくと長靴の中でずり上がったりせず、だらっと引きずることもなく、快適です。
ポケットは広くて薄い
ポケットはたくさんあって、「いろいろ入りそう」っていう見た目ですが、実際にはあまり入りません。
広いけど、とても薄いです。
スマホや地図、ノートなど、薄手のものをスッと入れておくくらいの感じがいいと思います。軍手などを丸めて入れると、伸縮性があるので入るには入るのですが、圧迫感が出ます。短時間ならいいですが、長時間だと地味にストレス。
ここは「薄いもので、頻繁に使うものを入れるところ」と割り切ることが大事です。
また、お尻のポケットはありません。
これはアウトドアではお尻ポケットに財布を入れるべきではない、という思想があるのかもしれません。山ではたしかにいらないかな。日常生活ではちょっと欲しくなるポケットではあります。
好きすぎてジャケットも買ったしまった
こりゃいいわ、と感激し、古着ですが、G-1000素材のジャケットを追加購入し、最近は上下フェールラーベンのフェールラーベンマンです。
もうズボンは全部これでいい気がして、もう1着買い足そうかと思っているほどです。同じVidda Pro Ventilated Trouserを買ってもいいのですが、微妙に違うものを、という意識もあって、Keb Trouserにしようかとも思っています。
これもG-1000素材で、ベンチレーションもついています(しかも2ヶ所も!)。
ジャケットも買いたそうかと思うほどです。ちょっとフェールラーベンに惚れてしまった気がします。
ちなみに、使いやすいのでAmazonのリンクで紹介しましたが、公式のオンラインショップの方がずっと安いです。
fjallraven公式オンラインショップ|Vidda Pro Ventilated Trouser M Regular
fjallraven公式オンラインショップ|Keb Trousers M
長く使うメリット
安いものを買い替えながら使うのも1つだと思います。フェールラーベンのズボンは2〜3万円するので、たしかに高いですもんね。
たとえば5,000円のズボンを毎年買い替えるのに対して、フェールラーベンは4〜6年使わないと金額的には元が取れない計算です。
ぼくはこれまで5,000円のズボンを買い替えながら使ってきた感じなんですが、毎回微妙に違うものを買い、試しに使ってみないと性能を理解できず、暖かさや、撥水性能などを理解する頃には穴が空く……という感じでいつまで経っても「このズボンのことがわかった」という感覚にはなれませんでした。
長く使えば「この気候なら、これで大丈夫」というような、勘が効くようになります。長く使える究極的なメリットは個々なんじゃないかな、と思うんです。ジャケットなんかでは、そういう勘が効くものを持っているのですが、ズボンに関しては、ようやくそういうものにたどり着けたような気がします。
また1年、2年と使ったときにどういう印象を持つのか、追ってレビューしていきたいと思いますが、とりあえず、3ヶ月ほど使ってきての感想はこんなところです。気に入りました。
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