合理的に考えたらやっぱりライターよね、という話
山で焚火を熾すとき、着火具として何を使いますか?
ライター、マッチ、ファイヤースターター、虫眼鏡、火打ち石……。
べつに好きなものを使えばいいんですが、「合理的」に考えると、やっぱりライターだよな〜って思うんですよ——というお話です。
ファイヤースターターとライター
着火具は色々ありますが、思い切ってファイヤースターターとライターだけに絞って比較しつつ、合理的な着火具について考えてみましょう。
ブッシュクラフト界隈では「ファイヤースターターこそが、長期的な野営における合理的な道具」という雰囲気で使われているように思います。はっきりそう書いてあるわけでもないんですが、そういう “雰囲気” があると思っています。ないですか?
ファイヤースターターにもいろいろありますが、上記のモデルをサンプルとして見ていくと——
安定感のある大きなロッドサイズで、約12000回使用可能。防水仕様。コードに着火剤にもなる550FireCordを使用しています。
重量55g
メタルマッチ (ブッシュクラフト・ファイヤースチール)
というような仕様です。12000回!? スゴイですね〜。ではBiCミニを見てみると(ぼくがミニ好きなのでミニを見ています)——
着火回数:約1,450回
本体重量:10g
bic Japan公式サイト
BiCミニだと1450回なんですね。ざっくり1/10……ファイヤースターターには敵わない! と思いがちですが、冷静に考えてみてください。ファイヤースターターって1回の火花「シュッ!」で火は付きませんよね? めちゃくちゃ条件が良いときなら1回でつくときもあると思いますが、現実は10回も20回も擦ることがあるはずです。
「あれ〜つかないな〜シュッシュッシュッ」
と気付けば数え切れない回数を擦っていることもあるでしょう。だから火花を飛ばす回数が12000回としても、決して12000回焚火が出来るわけじゃないんです。もしできるなら、軽く一生分の焚火ができるはず。
現実はかなり多めに見ても1200回以下だと思います。そうなるとBiCミニといい勝負ですね〜。
つぎの問題は「バックアップ」について考えましょう。トラブル時のために着火具は予備が欲しいですよね?
ここで重さを見てほしいのですが、BiCミニは10g。ファイヤースターターは55g。つまり、BiCミニを5コ持ってようやくファイヤースターター1つ分です。
ファイヤースターターの予備として、もう1つファイヤースターターを追加したらもう110gです。重い……。一方BiCミニ2つなら20g。
予備として軽量なBiCライターを持つという選択肢もありますが、もうそうなったらライターをメインで使った方が合理的に思ってしまいます。
もう結論ですが、
合理的に考えるなら、「ファイヤースターターを持つよりも、BiCミニライターを2〜3コ持っている方が着火も早く、バックアップもあり、しかもちょっと条件が悪いときにも火を熾しやすい上に、軽量である」と僕は思うんですね。
ライターってのは文明の利器であり、「自然のものを活かさなくては!」という考えからするとややズルいとも言えるんですが、それを言うとファイヤースターターもばっちり人工物なので、火打ち石とか、きりもみ式の着火しかダメってことになるわけですが、そうなると本当にやりたいことがやれなくなるわけです。
釣りで山に行って、きりもみ式で火を熾していては、肝心の釣りができなくなる、という感じ。
着火剤について
つぎに着火剤についてです。
「着火剤は悪」というか、「未熟」みたいに思っている人もいると思うんですが、僕の感覚としては、山に行って焚火をする予定ならば、それに向けて適切な準備をしていくことは大人の嗜みじゃないかな〜、と思うタイプです。
最初に書いたとおり、好きならやりたいようにやればいいと思います。着火を楽しむっていうのは理解できるし、あえてちょいと難しい手法に挑戦するのはめちゃくちゃ分かる。
でもバトニング〜フェザースティック〜ファイヤースターター……というのは効率が悪いのは間違いないですね。
ぼくはいわゆるジェル状の着火剤などは使いません(ズルいとかそういう理由ではなく、嵩張って邪魔だからです)。その代わり乾燥させた牛乳パックを小さく切ったものとダクトテープだけは常に持っています。あとは現地で小枝を集めて火を熾すだけ。
現地で白樺の樹皮なんかが採れるときはそちらを使います。たっぷり集めて一気に着火すれば下手にダクトテープを使うより早いから。
この点においても、個人的にはチャークロスのようなものはあまり使う気がないですね。わざわざ持って行くなら、合理的なものを持って行きたいタイプです。
焚火は合理的にテキパキやりたい
のんびりキャンプするときの焚火ならば、「あえて回りくどい方法で楽しむ」ってこともやります。その気持ちは分かる。
一方で、最短時間で火を熾す為の準備と技術もあると思っています。たとえばちょっとキツイ環境で着火する場合、この手のトーチを持ってると強力な武器になります。
※僕が使っているのは新富士バーナー製ですが、SOTO製も恐らくOEMでほとんど同じものだと思われます。
早く火を熾せれば、その分だけ本当にやりたいことに時間を使えるわけです。もっと言えば、昼飯を食うのに1時間以上は絶対にかけたくないので、1時間で終わらない焚火は選択肢に入らないってのもあります。
人によっては新聞紙を使う人もいますよね。あれもいいと思います。ぼくも泊まりがけの時は新聞紙を持って行くことが多いです。じつは使い道が多いので、持っていると便利なんです。暇なときに読んだり……笑。
正直に言えば、山でファイヤースターターを使って時間をかけて着火している人よりも、新聞紙でもテープでもいいので、準備したものでサクッと着火する人にかっこよさを感じるタイプです、ぼくは。
ちなみに着火に「ロマン枠」があるとするならば、ぼくはマッチが好きです。マッチ1本で着火できたときは気持ちいいです。
間違ってもファイヤースターターを否定する気はないです。「楽しい」という意味では共感できますが、合理的ではない、とも思っているわけです。
前回の記事「キャンプを目的にするか、ほかの目的のためにキャンプするかの違い」にもありますが、ぼくにとってのキャンプ(及び昼食用の焚火など)はあくまで他のことを達成することの手段であり、目的ではないんです。着火も同じ。あくまで火をつける手段なので、過剰に時間をかけてしまっては意味がないって気持ちです。
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