単独猟日記:雪が深くてつぼ足がつらくなってきた
毎日のように雪が降り、山の雪が深くなってきました。
ちょっとつぼ足で歩くのが辛くなってきたようです。
沈む……
山に入った瞬間、ズボッと雪に足が埋まります。
「うわー深い……」
と呟きつつも2歩目3歩目と進みます。
「深いのはきっとここだけ、あとちょっと行けば浅くなるのでは?」と期待して歩くわけです。
膝のあたりまで雪に埋まり、足を上げるのもひと苦労という状態。なかなか雪は浅くはならず、むしろ一層深くなるばかり。
そんな中で新鮮なシカの足跡を見つけました。
足跡はかなり新しいもの。ついさっきまで降っていた雪が足跡にかかっていません。つまり足跡が付いてから本当に10分かそこらしか経っていないわけです。
本当は雪が深くて戻ろうかと思い始めていましたが、こんな痕跡を見てしまえば戻れません。
足跡の追跡は楽しい
足跡の追跡というのは本当におもしろい。本でも書きましたが、自分が猟を始めて、1番役だった行為は何か? と聞かれたら「足跡のトラッキング」を挙げますね。それくらい重要な行為です。
足跡を見れば動物がどう行動しているかが分かります。分かると言ったって、もちろんシカに聞くことはできないから想像するしかないんですが、それにしたって、何にも分からない動物の動きを掴む重要なヒントです。
足跡は一直線に谷の奥に引っ込んでいきます。脇目も振らず、ときに小さな沢に浸かりながら進んでいきます。
追うこと30分ほどで、追いついたのはオスジカでした。1本角のピンコと呼ばれる1才のオスジカです。こちらに気付くこともなくゆっくり歩いていましたが、わたしが立ち止まり銃を構えると、気配を察したか、振り返りスコープを通して目が合いました。
せっかく追いついたし……という気持ちもありましたが、今回はパス。メスを獲りたかったので、見送ることにしました。
食べるにはなんとなくメスの方がうまいような気がしています。じつはこれも自信がなくて、感覚的なものです。うちの家では「あれ、このシカはちょっと癖があるかな?」と思うときはだいたいオスなんですよ。でも、オスでも気にならない個体もあり、結局は年齢や時期による違いと、処理の良し悪しの違いが重要なんでしょう。だからピンコ(1才オス)であれば若いし、十分にうまいのでしょうけど、なんとなく最初に「今日はメス」と決めてきているので、狙いに反している時点で「負け」かな、と。
雪は降ったりやんだり……
雪は降ったりやんだりを繰り返しています。そしていざ降り始めると柔らかく空気を含んだ雪がたっぷりと降ります。
視界が一気に薄れると同時に、足跡が埋まっていきます。
ちょっと場所を変えて歩いていると、またも新しい足跡を発見。また追跡をはじめます。
足跡はずんずんと進んで、アカエゾマツの森へと入っていきます。
わたしが猟ではいる山のエゾマツはだいたい枝打ちされてなくて、こんな感じで下までびっしり枝が出ています。それについて疑問を持ち、林業関係の方々がコメントしてくれているので、興味がある人はこちらのツイート以下のスレッドを参考までにどうぞ。
「カラマツって枝打ちしなくてもいいの?」とか、「無節の材取れなさそう。」とかそういう目線で見てしまう。 https://t.co/XdkzIe1Dpc
— イシタカ|林業と狩猟 (@ishidatakahisa) December 28, 2019
なにはともあれ、このびっしりと生えた枝をかいくぐって追跡しなくてはいけません。その場所を見る限り、たぶん小さめのシカなんです。小さめのシカの背丈なら歩きやすいのでしょう。でも人間の目の高さは枝だらけで本当に危ない。
サングラスをしているので、目は保護されていますが、今度は耳です。氷点下の気温の中で耳に小枝がバシバシと当たるのは苦行です。そこで使用していたHunt&のキャップの耳当てを広げます。
前に「この耳当ては防寒としてはあまり強力ではない」という趣旨のことを書いたことがありますが、保護という意味では十分です! むしろ超がつくほどありがたい。
こんな苦労もしつつ、膝上の雪中ラッセルもしつつ、追跡をすること1時間半。ようやく追いついたのは読み通りの小柄なメスジカ。
しかしこれも見送りました。冗談抜きで疲れすぎてました。ムリ。
正直、獲物を見たとき、「見送る?」「撃つ?」という迷いさえ浮かばず、ボケーッとシカを見ていました。まったく撃つ気持ちにならず。解体はともかく、この深雪の中、回収は困難すぎる……。そりを取りに戻ることは考えられましたが、ラッセルで車まで戻り、またラッセルしながら獲物の所に戻り、また車に戻るなんて……。いや〜考えられなかった。
じつは数日前から風邪を引いて、治ったところだったので、ちょっとまだ弱っていたのかもしれません……。
でも満足
見送ってメスジカが逃げていくのを見て不思議とホッとした自分がいました。獲物を見ている間は「撃たないと後悔するんじゃ!?」という葛藤がありますからね。
ともかくちゃんと獲物を見つけて、撃てるシチュエーションまで持ち込めるというだけでも大満足。あとは獲りたいという気持ちと重なったら獲ればいい。
雪が深くなってきたので、そろそろスキーの出番ですね。あるいはスノーシュー。じゃないとキツい。
ただ実は場所によるんですよね〜。雪が浅い場所もあるし、藪っぽい場所もある。でも、深くてズボズボと沈んでいく場所も多い。もしかしたらスキーよりもスノーシューの方が機動力あるのかな〜。まだ試してもいないのでなんとも言えませんね。
いろいろ試してみたいと思います。
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