登山道のない山の歩き方と楽しみ方
Twitterを見ていて「登山道のない山を歩くのは道迷いしそうで不安」という内容のつぶやきを見た。
すごくわかる。これまで登山道しか歩いたことがない人向けに、登山道を使わないで山を歩く最初のステップを書いてみたいと思う。
これまでも「単独忍び猟のための猟場の下見」という内容は書いてきたが、その前のステップにあたるかな。
どこを歩くか?
狙っている山域の地形図を見てみよう。そしてその中でも林道に注目してみる。
山はどこからでも入れるものではない。林道沿いは急傾斜になっていることも多いので、そもそも入山できる場所を見つけないといけない。地形図を見てなだらかな場所を何カ所か探しておこう。
地形図を実際に見ながら例を挙げてみよう。
※この地形図はランダムに見つけた場所です。猟場でもなければ、実際に行ったこともありませんし、歩けるかどうかも分かりません。あくまで地形図のサンプルとしてご覧ください。
計画を立てる
たとえほんのちょっと山を歩くだけだとしても計画は立てる。まぁ、頭の中で線を引く程度のことだ。
たとえばこんな感じ。
これでも何キロかはある。慣れないうちはもっと短くてもいいと思う。で、地形図から分かることをあれこれ想像してみる。
「針葉樹のマークが付いているので、恐らく針葉樹林帯を延々と歩く感じになるだろう」
「Uターンするあたりから傾斜がキツくなり始めるのと、広葉樹マークがつき始めるので植生も変わるな」
ってな具合。
ちなみに1時間でどれくらい歩けるか? 人は平地でも時速4Km程度。実際に山を歩くときはその3〜4倍くらいかかると思う。つまり、時速1Kmくらいで計算していいと思う。
まぁ、実際に歩いてみて、どうなるか計測してみたらいい。
実際に行ってみる
現地に行って、自分が計画したとおりに歩いてみる。
もちろん状況を見ながら臨機応変に対応する。歩けると思った場所が歩けないこともあるし、もっと歩きやすいルートを見つけるかもしれない。
この「歩きやすいルートを見つけて臨機応変に対応する」というのが、登山道のない山を歩く1番の醍醐味だと思う。最短距離を行くよりも、なだらかで遠回りの道の方が楽なことも多い。そして楽な道はそのまま獣道になっていることも少なくない。ふと気が付くと、意図せず獣道を歩いていたなんてことも多い。
とにかくムリはしない。崖があったり、完全に藪で埋め尽くされて歩けないかもしれない。行ってみたら柵があったりして、人為的な理由で入れないこともある。
せっかく行くので、足下をよく見て足跡なんかも探してみよう。運が良ければシカに出会えるかもしれない。
持ち物
いわゆる登山で必要なものを持っていけばいいと思うけど、GPSだけは強くオススメする。スマホのアプリでもいい。
個人的には遊びの意味も込めて調理器具を持っていって、ちょっとした料理やお茶・コーヒーでも作るのが好きだ。ちょうどいい休憩になるし、お湯が沸くまでの間に地形図を見直して、これからの計画を立てたりするのもいい。
山遊びもPDCA
PDCAという言葉はご存じだと思うけど、念のため、Plan, Do, Check, Actionの略で、簡単に言えば「計画し、実行し、振り返って反省点を挙げ、それを踏まえて次の計画を考える」というビジネス用語だ。
山遊びもPDCAに則って考えるのが好きだ。
短い行程の山遊びでも必ず不満とか、うまくいかなかった部分があると思う。
「寒かった or 暑かった」
「靴擦れが……」
「荷物が重かった」
「計画よりも時間がかかった」
わたしは必ずそれをメモしておいて、対応を考える。次回の服装はどうしようか? 靴擦れするならテーピングなどを。荷物が重いなら何を削るか? 歩くペースが遅いなら、それ相応の計画を。
これに狩猟的観点を加えると「シカの足跡があまりなかった」みたいな反省点が出てくることもある。それなら次回はまったく別の場所を歩いてみればいい。杉林でダメなら広葉樹林、北側斜面でダメなら、南側斜面という感じで、バリエーションを増やしていく。
ひたすらこのPDCAを繰り返す。そのために狩猟ノートも作っている。
この山のPDCAこそ、わたしは山遊びや狩猟の楽しみだと思っている。
「前回はこうだったから、次はこうする」
この創意工夫におもしろさがある。道具の使い勝手とかも、この過程で考える。たとえば調理していて鍋が熱くて持てなかったならば、軍手とかタオルを荷物に追加するかもしれない。ガタつくコッヘルに軍手を差し込んでガタつきを抑えたりすれば一石二鳥。そんな工夫を楽しむ。
くれぐれも安全とモラルに気をつけて
このような登山道のない山の歩いていると、遭難しても見つかりにくいし、なにしろ道がないので転んだり落ちたりしやすい。猟をやっていて小さな滑落くらいは経験している人が多いと思う。
だからたとえ30分1時間の短い山遊びでも甘く見ず、丁寧に、ゆっくり、無理なく行動しよう。家族にはせめて「このあたりに行く」と伝えておこう。できれば入ろうと思っているルートも伝えておく。あと、熊がいる山域は相応の注意もすること。
また山でのモラル(ゴミを捨てないとか、そういう基本的なもの)は徹底し、自分が山に入った痕跡を残さない気持ちを大切にしよう。まぁ、このあたりの注意事項は普通の登山と同じなので、あまり細かい話はしないでおく。
慣れてきて、登山道のない山を丸1日歩けるようになってくると、山遊びの幅がぐんと広がる。さらに1泊くらいできるようになると、底なしに楽しい。
狩猟をやる以上、ある程度はできるようになるべきことだと思うので、これから狩猟を始めたいと思っている人も、ぜひ暖かい季節に試してみて欲しい。
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