ヤマクジ的コッヘル考
山遊びと切っても切り離せないのがコッヘルやストーブといった調理器具。
山遊びには道具遊び的な楽しみ方もあるし、持っている道具を最大限に活かし使う喜びもある。そんなコッヘルについて思うことをツラツラと書いてみたいと思う。
コッヘルの使い道、選び方など参考になればうれしいし、みなさんの「コッヘル考」も教えてほしい。
コッヘルとは何か?
コッヘルという語はドイツ語から来ている。登山用語ってのはどうもドイツ語が多い。ビバークやツェルトなんて言葉もドイツ語由来だ。
ビバークやツェルトはほかに言い換えることはあまりないが、コッヘルはクッカーとか鍋とか、他の言い方がある。他の言い方があるもんだから、「コッヘル」と言うのが格好つけているようでこそばゆいのだけど、もともと登山から入った自分としては、コッヘルという語こそ清く正しい言葉に思えて、コッヘルという言葉を使うことが多い。
コッヘルはアウトドア用の鍋類を指す。飯ごうとは区別していると思う。一般的に飯ごうと言えば豆型のタイプ、コッヘルと言えば丸形、クッカーと言えばすべて。そんなイメージを持っている。
まぁ、あくまでイメージ。ここではあまり限定的に考えず、あくまでアウトドア用の調理器具としての “鍋” を差す語としてコッヘルという言葉を使う。
コッヘルの用途は?
調理に使うのは当然。お茶やコーヒーを作るためのお湯も沸かすことも多い。
また沢の水を飲むために消毒する意味で沸かすことも多い。つまり飲み水を確保する道具としてのコッヘルという側面もある。沢の水を沸かして飲む場合、消毒はもちろんだが、水があまりおいしくないとき(たとえば汚れていたり、砂が混じっていたり)、松の葉や笹の葉を入れて味を付けるような使い方もする。
こういった理由から、調理をしないと山行でも一種のサバイバルアイテムとして、なんらかのコッヘルは必ず携行している。万が一遭難したとき、お湯を沸かせるというのは大きなメリットだと思うから。
さて、調理器具としてのコッヘルとひと言で言っても、調理も幅広い。
今どきだとフリーズドライの食料にお湯を注ぐだけの調理もあれば、炊飯、炒める、蒸す、煮るなど多様な調理方法がある。どこまで対応したいかはよく考えた方がいい。わたしの場合は基本的に「煮る」がベースになり、そこに炊飯が加わることもある。炒めることはあれど、蒸すことはまずない。
良いコッヘルとはどういうコッヘルか?
さて、良いコッヘルとはどんなコッヘルだろうか? もちろん答えなんて人それぞれ。それどころかそのときの食糧計画によってずいぶんと変わってくる。
わたし個人的な「良いコッヘル」について書いてみたい。
1.焚き火に入れられること
焚き火で調理できないコッヘルは使わない。焚き火に入れられないコッヘルとは持ち手にプラスチックが付いていたりするタイプのもの。そんなに多くないのだが、メスティンなんかはその代表だろう。
もちろん、山に行くたびに焚き火をするわけではないので、焚き火で使える使えないなんてのは些細な問題なのだけど、どこかロマンを感じないというか……。あえて言えば遭難時に焚き火で使えないのが問題(いや、遭難したら、持ち手なんか焼いてしまえばいいのだけど……)。
2.割と大は小を兼ねること
コッヘルはあんまり小型にしなくていいと思っている。というのも、コッヘルが大きくなっても、中に荷物を詰めておけば、ザックの中での場所をとらない。むしろ、壊れやすい物や潰れて困る物を積極的にコッヘルに入れて運べばいい。まぁ、本当に「今回は湯沸かしのみ」みたいに割り切っているときはギリギリサイズでいくことも多いんだけど。
とくに数日以上の山行ではどうせ米と味噌を持っていくので、それらを入れておけばOK。
わりと鍋っぽい物を作ることが多いので、ギリギリの大きさの鍋で作るより、余裕のあるサイズの鍋の方が使いやすい。こぼさずに済む。そういう意味で1番好きなコッヘルがプリムスのポットセット。2コのセットで大きい方は2.3Lもある。「鍋に沢山具を入れて、酒を片手にチビチビ食べて、翌朝も残りを食べる」なんて使い方がしやすい。日帰り山行だとややでかすぎとは感じるけど。
3.やっぱり2コあると便利
ギリギリまで荷物を減らしたいときは1コのコッヘルで行くこともあるけれど、やっぱり2コあると便利。野営するときは米とおかずで絶対2コ必要だと思っているが、日帰りでも食事を食べている最中に、飲み物を作ることができるのでやっぱり2コほしい。
こればかりはやっぱりスタッキングできるセットのコッヘルを使う。
4.素材はアルミがやっぱり好き
というか、コッヘルはアルミという気持ちが強すぎて、あんまりあれこれ試す気にはなれない。チタンとかも軽いんだろうけど、料理が難しい。
5.酒を飲むときはフライパンが楽しい
荷物を削るときは真っ先にフライパンを削る。コッヘルにセットになっているフライパンは基本的に贅沢品だと思っている。一方でビールを持って野営するようなときはフライパンが楽しい。ちょっとした物を焼いて食べて焼いて食べてとダラダラ楽しめる。
野営を楽しむ時は重さを犠牲にして小型の鉄フライパンを持っていくこともある。これで肉を焼くと最高に旨い。でも重い。
【結局どのコッヘル?】
で、結局どのモデルが好きか? と聞かれたら、ユニフレームの山クッカーMだな。あるいは先述のプリムスのポットセット。
山クッカーは無骨でパッと見ではなんとも言えない地味な商品に見えるかもしれないけれど、じつはとっても良い商品。シンプルで必要十分。
一方で余り趣味ではない商品がジェットボイルのような特定用途に限定したもの。焚き火で使えないという問題もあるし、やっぱり煮炊きしにくいのがね。でも用途が決まっている限りでは最強らしいので、否定する気はない。
山で作るもの
こればかりは山に入る目的によるからなんとも言えない。極端な話、飯を作りに行くこともあり、そういうときはがっつり調理する。洗い物も、手間も、何もかも忘れて食べたいものを食べる。割と好きなのが鶏もも肉で作る照り焼きだ。デッカく作ってマヨネーズと共にパンに挟むとうまい。
一方で、行動力を重視するときは鍋が主になる。定番は鳥鍋。もも肉や手羽元と適当な野菜を味噌で煮こんで終わり。最後に米を入れて雑炊にする。
これのいいところはコッヘルの掃除がほとんどないこと。食べ終わるとちょっと油が付いているくらいのもので、こびりついた汚れはまずない。サッとティッシュで拭けば終わり。
泊まりの時は夜のうちに多めに米を炊いておく。夕食はその米を鍋に入れて食べる。残った米はそのままにしておいて、翌朝はその米を炊いたコッヘルで鍋を作る。そうするとこびりついた米も全部食べられるので、やっぱり掃除がほとんどない。
具材こそ変われど、だいたいこの発想で献立を考える。だからわたしの定番調味料は味噌。味噌さえあれば鍋になると思っている。
日帰りの時は米を炊くのが面倒なので、麺類が多くなる。あるいは米だけは家から持っていって、鍋に入れて食べることもある。鍋こそ山の定番料理だと思っていて、カレーのような洗うのが面倒な物よりもずっと合理的でうまくいくと思っている。
コッヘルは性格が出るような気がする。
以上、わたしが思うコッヘルのことを垂れ流してみた。
コッヘルに対する考え方はわりと性格が出るような気がしている。ギリギリの軽量化を目指す人もいれば、合理性を追求する人もいる。あとはコッヘルの考え方は食糧計画に繋がる部分もあって、そのあたりも性格が出る。
いろんな人のコッヘルとその使い方を見てみたいと思ったり → どうですか?ブロガーのみなさん、SNSのみなさん?
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