ターハントのトリガーメンテナンス+調整をやってみた
最近、ターハントのトリガーのフィーリングに不満がありました。
引き金を絞るときにわずかに引きずるような「ズズズ……」という感触があるんです。
ターハントにはレミントンのM700系のトリガーがついています。少なくとも外から見た機能はまったく同じだと言って良さそうです。そこでネットでM700のトリガーについて勉強し、メンテナンスした上で、改めて調整をしてみました。
その手順をメモしておきます。
——とその前に、2点強調しておきます。
1.このやり方が正解というわけではないです。一応調べたり人に聞いたりしてやっているので、0点ってことはないと思いますが、100点でもない気がします。あくまでひとつの情報として参考にしてください。
2.トリガーの調整は暴発を引き起こす可能性があります。記事の中でも説明している調整後の点検を念入りにやるとともに、これまで以上に銃口の向きに注意するようにしてください。
大きな流れ
まずは鉄砲を分解し、トリガーアセンブリを取り外します。通常のお手入れでここまでやる必要はないのでしょうけど、今回は大掃除的な意味で丁寧にやっています。
次に各種調整ネジを使って調整していきます。
そして安全点検。これ重要。
用語
トリガーに関する日本語の情報はネットでも少ないですので、用語についてわたしの理解を書いておきます。あくまでわかりやすさ重視で、ざっくり書きます。あまりに間違えている用語があったら教えて……。
シアー:撃鉄を支える金属。撃鉄が動こうとするのをシアーが止めている。引き金を引くとシアーが動き、撃鉄が作動する流れ。
シアーエンゲージメント:引き金の部品とシアーの引っかかり具合。
オーバートラベル:引き金を引いて、撃鉄が落ちた後に動く引き金の量。
トリガープル:引き金の重さ
掃除掃除!
まずは掃除します。
ターハントのトリガーはピンを2本抜くだけで取り外せます。が、取り方によっては小さなバネがビヨーンと飛んでいってゲームオーバーになりますので、ゆっくりと。そして散らかっていない場所でやることをオススメします。
で、取ってみると、こんな状態でした。
ひと言で言えば……
「きったね〜」
ですね。中古の鉄砲だから、前のオーナーの頃から掃除されていないのかもしれません。あるいはわたしが鉄砲をお手入れする際に、ここにもオイルが入ってしまい、それが汚れになったのかもしれません。
あんまり人のせいにするのは嫌なので、たぶん自分のせいだろうと思っています。
さて、見えるところは拭けば良いだけですが、このハウジング(トリガー機構が入った四角い部分)の中は完全に分解できませんでした。やろうと思えばできるはずですが、ムリしてやると壊してしまいそうなのでそこそこのところで終わりに。
で、ここまでやったらパーツクリーナーで掃除。その際に調整ネジも回しながらパーツクリーナーを吹き付けます。
すると、グッとスムーズに動くようになりました。これだけでかなりの大満足な作業。
トリガー調整……これが肝。
次にトリガーの調整をしていきます。
参考にしたのはこちらのページと、次に紹介する動画。
Adjusting the Remington 700 Trigger
わたしの感触としては1つ目のページをよく読んでから、動画を見ると「OK、なるほどね!」とすぐにわかります。
両方を見て、わたしなりに理解した手順で進めていきます。
1.シアーエンゲージメントの調整
まず、シアーエンゲージメントを最大にします。つまりネジを緩めた状態。
で、トリガーを鉄砲に取り付けて、ダミーの弾を入れて、ボルトもセットします。そのままシアーエンゲージメントのネジを締めていきます。つまりだんだんとシアーエンゲージメントが小さくなっていくわけです。ゆっくり締めていくと、最後に撃鉄が落ちます。そこでストップ。
理論的にはここがシアーエンゲージメント=0の状態。
ここから「少し」ネジを緩めます。ここで緩めた分がシアーエンゲージメントの量になるわけです。これは好みでしょうけど、上記サイトには「ネジ半周」とありましたので、ひとつの目安にします。これが小さすぎると危険ですので、安易に縮めない方がいいです。
2.オーバートラベルの調整
1の手順を終えた状態ですので、撃鉄が落ちているはずです。そのままオーバートラベルを締めていきます。で、引き金がシアーに軽く当たったら終わり。
これがオーバートラベル=0の状態。
オーバートラベルは好みだと思うので、ここから緩めて、オーバートラベルを増やすも良し、ゼロのままでも良し。わたしはゼロが気持ちが良かったのでゼロにしています。先述の動画の人もゼロが好きだそうですが、ゼロよりちょっとあったほうがいい、という意見もあります。人生いろいろ、トリガーいろいろ。
3.トリガープルの調整
ここからトリガーの重さを決めます。
感覚でもいいのですが、やっぱり目安が欲しいですよね。トリガーの重さを量るツールをお持ちならそれでいいのですが、なくても大丈夫。
ビニール袋に重りを入れて、希望の重さにしましょう。猟友会仕様なら1.5kgかな。1.0kgがよければ1.0kg分の重りを入れます。
わたしは手近に袋がなかったので、手袋に重りを入れました……笑。
これに紐をつけて、紐の先にフックをつけておきましょう。
用意ができたら調整していきます。まずはトリガーがプラプラになるまでしっかり緩めます。そこからジワジワ締めていき、トリガーにテンションがかかり始めたら、あとは重さの調整。最初は軽いハズなので、重りをぶら下げるとパツンと撃鉄が落ちるはず。
これを締めていき、落ちなくなる瞬間を探します。落ちなくなったら、ちょい戻し(ほんとにちょっと)して、撃鉄が落ちることを確認。
これでだいたいは狙った重さになっているハズです。
本気でぴったり合わせようと思うなら、測定する器具を使ったほうがいいでしょうけど、これでも十分目安にはなると思います。
また、ストックをつけると変わってくることもあるそうなので、あとで必ず再確認してください。必要ならこの手順に戻って再調整。
4.安全点検
調整が済んだら安全点検します。
ぜひ先ほど紹介した動画の最後を見てください。動画主はプラスチックハンマーで機関部回りがガンガン叩いているはずです。これはつまり、衝撃で撃鉄が落ちないことを確認しています。
念のため手順を書くと——
ストックだけ外した状態で、ボルトを閉じて、プラスチックハンマーや木槌で叩く。ガンガン叩く。いろんな向きから叩く。これで引き金が落ちるようだと、狩猟の最中にぶつけて暴発する可能性があるので、念のため強く叩きましょう。
次にストックを組み上げた状態で、ストックのいろんな部分を手で叩く。肩に近いところや先台などをバシバシ叩きます。
こうやって叩いていると鉄砲に悪いことをしている気がしますが、スラッグの反動を考えれば、これくらい大したことじゃないです。
次に安全装置の動作確認をたくさんやる。安全装置をかけて引き金を引く。撃鉄が落ちないことを確認。安全装置を解除して、またかける。撃鉄が落ちないことを確認……と、これを10回くらいはやる。また、安全装置をかけた状態でもバシバシストックを叩いてみる。
とまぁ、こんな感じで、要するに衝撃を与えても大丈夫かを確認するわけです。
繰り返しますが、トリガーの調整はかなり慎重にやりましょう。そして点検をしたとしても、過信せず、これまで以上に銃口の向きに気を配りましょう。
射撃場で他人の様子を見ていると、装填時に銃口がおかしな方向を向いている人が多いです。けっこう真面目に取り組んでいる人でも、つい上を向いていたりするものです。
トリガーの調整を誤ると、ボルトを閉じただけで暴発することもあります。だから必ず的に向かって装填。弾を入れたら変な方向に向けない。当たり前のことですが、再確認をお願いします。
いい。めちゃくいい。
さて、ここまで調整を終えてみたところ、めちゃくちゃ良くなりました。調整もよかったですが、掃除がかなり大成功。劇的に変わりましたね。ターハントへの愛着が1.5倍くらいになりました。
マジメにトリガーを変えることを検討していましたが、今回のメンテナンスでトリガーを変えたくらいの変化がありました。
上等なトリガーの感触を知らないので、井の中の蛙なのは言わずもがなですが、よく良いトリガーの説明で言われる「薄いガラスを割るような感覚」というのが分かった気がしました。それくらい良くなったんです。パキンと落ちます。そしてオーバートラベルがないので、落ちてピタリと止まるの心地いい。
実際に撃ってみたらまた違う感想もあるかもしれないので、オーバートラベル=0が良いかは保留にしておきますが、家で練習している分には最高に気持ちがいいです。
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