北海道で猟場の下見は簡単じゃないぞ……と思った話

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やっぱり猟が好きなんですよ。猟期でもないのに、頭の中は猟のことばっかり。

仕事の合間になんとか猟場の下見をしています(と言ってもまだ数回ですが)。

越してきたばかりで土地勘がないもので、今のところは林道を走り回っているだけなんですけどね……。

 

で、今日は「ちょっとばかり猟場を歩いてみよう」と思ったわけです。ところが……。

北海道の山は深い!

林道の途中から撮った写真。「どこまで歩いてもいい」っていう感じが嬉しい。

 

地形図を眺めて、まだ走ったことのない林道に当たりを付けます。

その林道に入って数分。バーッと開けた視界が上の写真。

「うぉー広いー」

と声が出てしまいましたね。地図で見る限り、この見える範囲には林道の1つもありません。すばらしい場所だ!!

ここからどこまで歩いても猟場ってのが嬉しいですね。

 

シカ、鹿、しか……

 

しばらく林道を走ります。そうすると鹿のいることいること。すべての写真は撮っていませんが、一部撮ったものだけ並べていきますね。

お尻がかわいいシカ。

 

少しお尻が垂れてるシカ。

 

お尻を見せない、鼻筋の通ったシカ。

 

物陰でお尻を隠すシカ。ちなみにこいつは距離25mまで近寄れました(レンジファインダーで計測)。

 

いやはや、シカ天国です。

「流し猟」というスタイルの猟が成立する理由が良く分かった気がします。個人的には忍び猟が好きなので、流し猟に興味を持ったことはないのですが、これだけ遭遇するなら「この流れで獲ろう」と思いますよね〜。

 

山を歩こう

さて、わたしがやるのは忍び猟です。

「北海道に行ったら流し猟でしょ? いやいや草地でロングショットでしょ?」

と猟仲間に言われたこともあります。興味がないわけじゃないんですが、わたしの本分はやはり忍び猟。歩いて歩いて、こちらに気が付いていないような獲物を見つけることに喜びを感じるタイプなのです。

だから北海道でも基本的な猟のスタイルは歩いて獲物を探す忍び猟のつもり。

(駆除は別ですが)

 

そして地形図を手がかりに歩いてみたいエリアを絞り込み、その入山地点に立ってみます。

 

笹藪……。

そう。この時期の北海道の山はとにかく笹藪だらけ。どこもかしこも笹藪。植林された針葉樹林帯なんかは下草がないものの、その針葉樹林帯が終わればまた笹藪。

この笹藪を歩かないことには、どこにも行けないのです。

「よし、行ってみるか」

ちょっと尾根の上まで行ってみたかったんです。そうしたら広く景色が見えるわけですからね。藪漕ぎくらいこれまで何度もやってきました。

さ、行くか! と藪漕ぎしながら4〜5mも進んだときです。いや、4〜5mも進んでないかもしれません。急に寒気がしました。

「クマ……いたりして……」

そう。ここはヒグマの生息域。ヒグマは身体の大きさの割に小さな物陰に身を隠して、近づいてくる人間をやり過ごそうとすると言います。やり過ごしてくれれば良いのですが、近づきすぎればやられるわけです。

そしてここは笹藪の中。絶好のヒグマの隠れ家。この中にヒグマがいたら、為す術もないわけです。

カサ。

ちょっと先で物音がします。気付けば腰の剣鉈の柄を握っています。

「だめだ。帰ろう」

たかが数メートル入っただけですが、緊張感はすさまじいものがありますね。

物音? 鳥か何かでしょう。分かってるけど怖いもんは怖いんです。

 

気楽に猟場の下見なんかできない……

関東では暇があれば山に行って、猟場を歩き回って、シカの動きを観察したり、足跡を延々と追ってみたり、楽しく遊ばせてもらったものです。

ところがここでは笹藪自体も大変なことになっているし、ヒグマもいるかもしれないし、結構な覚悟がいるようです。

このまま帰るのも……と車に積んであったソロストーブで湯を沸かしてコーヒー飲んで帰りました。

 

まぁ「ヒグマなんてそうそう遭遇するもんじゃない」とも聞くので心配しすぎなのかもしれませんが、それにしたって延々と続く笹藪のことを思うと、やっぱり気楽に歩くってわけにもいきませんね。うまいルートを見つけないと……。

もうちょっと感が効くようになるまで、もう少し林道ドライブを楽しんでみたいと思います。それだけでもかなりシカに遭遇できるし、そういう傾向から学ぶこともありそうですし。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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