もしかしてキスリングって猟で使えるんじゃなかろうかという妄想

最終更新日

最近、ぼんやりと思っていることの1つが「キスリングって猟で使えるんじゃないかな?」というもの。

唐突に思われるかもしれませんが、あながち懐古趣味で言っているんじゃないんです。事実使っている人もいるわけですからね。

今日は「キスリングが猟で使えるかも」と思った理由を挙げていきます。

まずキスリングって何?

キスリングという言葉を聞いてもピンと来ない人も多いと思います。わたしも知識として知っているというレベルです。

Googleで調べてみましょう。

 

Googleで「キスリング ザック」を検索

 

「ああこれね!」と思った人も多いはず。昭和初期に使われていた登山ザックで、現在ではまぁかなり利用者は少ないでしょう。

Wikipediaを見てみると——

キスリング
> 両横に大きなポケットが張り出した3室からなるキャンバス製の大型ザックで、スイス・グリンデルヴァルトの馬具職人ヨハネス・ヒューフ・キスリングに由来している。日本には1929年(昭和4年)[3]、槇有恒や松方三郎によって持ち込まれ広がった[3]。口を巾着の様に締めたあと、余った紐でさらにその下を括って水が入らないようにできた。厚い木綿のキャンバス地はそれ自体に防水性があるが、さらに熱した揮発油にワックスを溶かして塗布することも時には行われた。1960年代には非常に広く使われ[3]、駅の改札を通るときに横幅が広すぎて引っかかるので、体を横にしながら改札を通り抜けていたことから、かつてキスリングを背負って山に出かける若者たちは「カニ族」とも呼ばれた[注釈 1]。容量は大きいもののパッキングが難しく、荷物の詰め方によって背負い心地に大きな差が出る。また、構造上全重量が肩にかかり血行を妨げ、最悪の場合は腕が麻痺してしまう「ザック肩」になるなど負担が大きいため、現在ではほとんど使用されない。

リュックサック|Wikipedia

最後の「現在ではほとんど使用されていない」という文言で、普通なら選択肢からは外れるのでしょうけど、わたしはそれでも「いや、おもしろいかもしれない」と思っています。

 

キスリングに興味を持った理由

狩猟関係者だと知っている人も多い、『熊撃ち』の久保俊治氏がキスリングを利用しています。

TV番組の『プロフェッショナル仕事の流儀』『情熱大陸』などを見たことがあれば、その姿を覚えている人もいるはずです(ちなみに『プロフェッショナル〜』はYouTubeにも転がってますね。違法アップロードだろうと思うのでリンクはしませんが……)。

また、冗談ですけど、こんな所にもキスリングは登場しています。

見たことある人も多いでしょう。狩猟免許の更新なんかで見たりしてませんか? これの第一章の主人公がキスリングを背負っています。だからどうしたって感じですけどね。

この映像は冗談としても、久保俊治氏が使っていたことが気になっていました。なぜキスリングなのか? もちろん昔から使っていて「慣れているから」と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、それだけじゃない気がして、ずっと考えていたんです。

 

——で、考えた結果を書いてみようと思います。

 

1.丈夫

このキスリングって言うのは一般的にパラフィン加工と言って、綿自体に蝋を染みこませており、それを厚く追ったキャンバス地でできています。

船の帆として使われたりする帆布ってやつですね。

これがとっても丈夫です。今どきの登山ザックは軽量化を追求し、本当に薄くペラペラです。もちろん技術の進歩で薄くて軽い割に丈夫ではあるんですが、岩や木にガリガリと擦りつけるのは躊躇するはずです。

その点、キスリングは丈夫。丈夫ということは——

  1. 猟で酷使して良いのはもちろん、
  2. 雪国での休憩時や、野営するときなど座布団代わりに使えばお尻が冷えない
  3. 野営時に足を突っ込めば防寒になる

ってな感じで、大事に慎重に使うのではなく、ガシガシと酷使できるんじゃないかな、と思うのです。

 

2.そのままで防水

パラフィン加工のおかげで防水性があります。つまりザックカバーとかは不要。

ザックカバーを持っていかなくてもいいし、急な雨であたふたしなくて良いってのはかなり魅力です。獲物が近くにいるかもしれない場面で雨になったとき、ザックカバーでもたつきたくないんですよね。

(同じ理由で防水・撥水性のある服を着るのがわたしは好きです)

 

3.火の粉くらい大丈夫

山で野営するとなったら焚火くらい熾すと思いますが、綿なので火の粉でずぶずぶと穴が開くことはないでしょう。

だからこそ「1.丈夫」で書いたように、焚火の横で座布団代わりにしたり、足を突っ込んで寝たりできるというわけ。

 

4.首の後ろに飛び出ないから邪魔にならない

これは久保さんが仰っていました。

上方向に撃ちたいときなど、首の後ろにザックが飛び出てこないから良いとのこと。

また音を聞くという意味でも首の周り360度に邪魔がないので、より音を聞きやすくなると言えるかもしれません。とくに熊が多い地域では音を聞き逃すのは命取り……。

 

5.腰ベルトがないのが都合が良い

わたしはよく使う道具を腰回りに下げていることが多いので、ザックの腰ベルトと干渉してしまいます。

それが嫌で嫌で、ザックを使わないという方針で猟をやっていました。その点キスリングなら腰ベルトがないのでいいですね。

 

6.荷物量に応じて広げたり小さくしたりできる

キスリングは口をロープで閉じる形になっています。

だから荷物が少ないときは少ないなりに、荷物が多いときは多いなりに口の閉じ方を工夫できます。

具体的に言えば「山に入るときは少なめの荷物で……獲物が獲れたら、広げて肉を詰め込んで帰る」ということもできそう。

さらに言えば、入りきらなかった肉もザックの上に積み上げやすそうです。

 

デメリットは!?

もちろん、「現在では使われない」と言われているわけで、その理由は色々あります。

  1. パッキングが悪いと背負いづらくなる
  2. 重さがすべて肩に掛かるので負担が大きい
  3. 横長の構造のため、狭いところを通り抜けにくい(次のセクションも参照)
  4. 背負い紐自体が華奢で身体への負担が大きい

ってなところでしょうか?

 

気になるキスリング系ザック

キスリングは今でもちゃんと作られています。

その代表は『登山用品・ザックとタウンバックの片桐』でしょう。

いろんなザックを作っていますが、いわゆる標準的なキスリングはこちらサブザックと呼ばれる、キスリングから左右のポケットを取り除いたのがこちら。

わたしは実はこのサブザックが気になっています。シンプルな構造ですし、荷物の量に応じて工夫もしやすい。キスリングのメリットをすべて持ちながら、左右に太いというデメリットを解消してくれていて、使いやすそうだな〜って。

このサブザックの使い方としては、同じく片桐さんの新作サブザックのページを見ると分かりやすいです

荷物が少ないとき、多いときの使い分け方がイメージできるかと。

 

懐古趣味とは言いきれない魅力もある

まぁ、わたし自身、クラシカルな見た目の道具って好きなんです。銃がウッドストックだったり、家で使う筆記具が万年筆だったり……。懐古趣味的なところがあるのは認めます。

でも、昔から使われている道具ってやっぱりそれなりに理由もあるので、それを考えてうまく取り入れて「実用できる道具」として活かしていけたら良いな〜と思うのです。

中古で程度の良い片桐サブザックが見つかったらすぐ試すんだけどなぁ〜。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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