初めての土地で猟場探し:引っ越すと猟場という財産の大切さを実感

最終更新日

先月から北海道に引っ越してきました。

引っ越すといろんなことが起こりますが、狩猟関連で言えば「猟場の見当が付かない」というのが当面の心配事になっています。

とはいえ、こればっかりは本当に「山に行ってみるしかない」ので、時間を見つけて山を見るようにしています。

そんな様子をお話しつつ、改めて「猟期外に山を歩くことの重要さ」を語りたいと思っています。

移住すると、山の見当がまったく付かない

わたしが神奈川で猟を始める前、回りの山々を「猟場」という視点で見たことありませんでした。

それでもいざ狩猟免許を取って、冬の猟期に備えて「どこで猟をやろうかな〜」なんて考え始めたとき、ゼロから考える必要はありませんでした。

 

「あっちの山は登山者が多いイメージだなぁ。んで、こっちは釣りで入ったとき、なんとなく動物がいそうな雰囲気だった気がするな。あ、でもすごい急な山だから……」

 

ってな感じで、なんとなく知っていたんです。なにしろ関東で生まれ育ったし、登山にハマって暇さえあれば地形図とにらめっこしていた時期があるので、少なくともざっくりと「ここに山脈があって、大通りがどこを通っていて……」という概略は把握していました。

ところが、北海道はまったく知らない。ここに来るまで地形図も見たことないし、十勝岳みたいな有名な山の名前こそ知っていてもそれがどこにあるかもわかっていない。

さあどこで猟をやろうかな〜?

と頭をいくらひねっても、そのヒントになりそうなものさえひとつも出てこない。飲み終わった酒の空き瓶のようです。ひっくり返しても、振っても、1滴も出てこない……。

 

「参ったなァ……」

こうなると、基本に立ち返るしかないですね。

ハンターマップ、地形図、そして車で走る

猟場探し:新しい猟場を捜しに行ったので、そのプロセスをまとめてみる

もう、やることはこの記事に書いているとおりです。

まずはハンターマップを見てとりあえず禁猟エリアを把握します。

んで、地形図。ジオグラフィカが使いやすいと思います。こればっかりは1発で良い場所を見つける方法なんてありません。とにかく広域で見て「この辺はどうだろう?」って場所に当たりを付けて、アップで見ていく。周囲の林道や建物のマークをよく見る。んで、そこにアクセスする方法もぼんやり考える……。

この繰り返しです。終わりのない作業。結論のない模索です。

 

何カ所か良さそうな場所が見えてきたら、今度は車で走り回ります。

今、わたしは仕事が忙しくて、丸1日どころか、半日の時間も空けにくい状態なので、ちょっとした時間の合間に1〜2時間だけ、おにぎりを食べながら林道を走っています。つまり昼食の時間を猟場捜しに当ててる感じ。

 

良さそうな場所は歩いてみる

走り回ってて「ここいいなぁ」と思ったら、車を停めて歩いてみるのも良いです。

何時間も歩く必要はなくて、まずは10分とか、その程度で良いかと。

ちょっと歩いてみるだけでも痕跡があったりなかったり発見があるもんです。人の出入りもよく観察します。人の足跡、車の轍、人工的な何か……。そういうものが散見される場所はわたしは避けます。なにしろ北海道の山事情が分かっていないので、「良い場所だと思ってたら、何らかの事情でガンガン人の出入りする場所だった」なんてことになりかねません。注意深く観察します。

 

開けている場所を見つけたら、獣道がどこを通っているか目で追ってみるだけでも良いですね。

 

なんてことをしていたら、鹿の群れに遭遇することも。

「この距離なら当たるなぁ」

とか想像しながらジーッと眺めていました(ここは公道上なので撃てないのは当然ですが……)。

 

こういう景色がわたしには北海道的に感じられます。関東では見てこなかった風景です。森と草地の境界線にシカが出てくるイメージが湧いてきます。

 

好きなナイフなんかを持ってきて、ちょっと遊んでみるのも猟場探しの楽しみの1つ。山菜を見つけて採ってみたり、ね。

 

まぁ、とにかくまだたかが数年とはいえ、猟をやってから引っ越してみると猟場の大切さを痛感します。またお気に入りの場所を見つけないとダメですね。

山を歩いていますか?

冗談抜きで、猟のベテランと言われる人は山を歩いています。

先日も尊敬するハンターさんにお会いしたのですが、本当に山のことをよく知ってる。獲物のことを知っているだけではなくて、山のことをよく知ってて、その全体の中での獲物のことを知っているんです。

草のことをよく知っていて、木のことをよく知っていて、地形のことをよく知っていて、獲物のことをよく知ってる。そしてその繋がりを本当によく知ってる。

最新の銃や猟具のことを知らなくても、山のことは毎年毎年知識がアップデートされていて、大変な事情通。

 

「狩猟はお金がかかる趣味だ」

なんて言う人がいますが、わたしはそうは思いません。そりゃ、最初に銃を所持する過程で少しはお金を使いますし、射撃の練習も少しは金がかかります。

だけど、もっとも重要な「山を歩く」「猟に出る」という部分はタダ同然ですよ(狩猟登録とか狩猟税はあるけど)。

猟場を歩くのなんて、1円もかかりません。

お金があれば、最新の銃を買って、たっくさん射撃の練習をするのも良いけど、お金がないなら射撃は無理のない範囲(でも最低限の練習はやはり重要だと思う)で取り組んで、ほかの誰よりも山を歩けばいいんです。遠くの的に当たらないなら、獲物に近寄る方法を身につければ良い。

 

巷には「筋肉は裏切らない」という言い回しがあるようですが、ハンターにとっては「山歩きは裏切らない」んじゃないかな。うん。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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