山が好きになった本当の理由
登山や渓流釣り、狩猟、キャンプなど、山遊びはいろいろ好きですが、その1番の理由は「荷物が少ないこと」でした。
登山で頂上から見る美しい景色や、その達成感も嫌いじゃないですが、それが登山の本当の目的だったことは1度もなかったような気がします。
釣りも好きですが、釣れる瞬間の喜びだけを目的に行くことはありませんし、狩猟でもそうです。もちろん釣れる瞬間、獲物が獲れる瞬間は大きな喜びでしたが、もう少し深いところで別の喜びがあったように思うんです。
バイクの旅から始まった
わたしの遊びはバイクから始まったような気がします。
乗り始めたのは会社員になってから。働き始めてすぐにバイクの免許を取って、毎週毎週飽きずにツーリングに行ってました。最初は日帰りでしたが、日帰りでいける範囲では飽き足らなくなって、土日で1泊2日のツーリングが基本になりました。テントと寝袋をバイクに括り付けての野宿旅です。
ご多分に漏れず、寺崎勉さんの影響も存分に受けていましたね。
バイクを楽しんでいましたが、スピードを出したり、コーナーでバイクを傾けることに喜びを感じたことは本当に1度もありませんでした。ただただ遠くに行けることが嬉しかっただけです。今思えば行き先もどうでも良かった気がします。
地図を広げて、「ああ、ここまで来たんだ」と思うだけで嬉しかったんです。
最初は道の駅なんかで野宿していましたが、なんとなく人の目を避けようとしているうちに、誰もいない山の中で野宿するようになりました。オフ車でもないのに、非舗装路をひた走り、草原にバイクを停めてテントを張る。そういう感じです。
登山へ
山での野宿をしているうちに「それなら山を歩くか」という感じで、登山を始めました。
ザックを背負って、ひとりで山を登ります。仲間と登ることもありましたが、ひとりが多かったですね。バイクも100%ひとりでした。
やはり日帰りから始まった登山も、1泊か2泊くらいするようになり、長く歩くことを夢見るようになりました。どうせなら一気にロングトレイルに挑戦するのも良いかもしれないと思ったほどです。本気でアパラチアントレイルに挑戦しようと考えていました。
アパラチアントレイルとはアメリカを南北に貫くトレッキングコースで、全長3500Kmあります。この本をバイブルのように抱え、いつもベッドの横に置いて読んでいました。
半年以上かけて歩くコースです。毎日20Km歩いても175日かかるわけですからね。まさにロングトレイルですよ。
少ない荷物が大事だった
じつはアパラチアントレイルに興味を持ちつつ、もっと強い願望がありました。
世界一周の旅です。
というか、世界一周の旅をわたしはロングトレイルと同列に考えていたように思います。バックパックを背負って世界を旅する。べつに歩くことが重要なのではなく、ただ長く旅をしたかっただけなんです。
この旅は実現しまして、2年4ヶ月かけてアジアからヨーロッパ、南米と旅をしました。
このとき、確信したんです。
バイクで旅をしていたのも、登山を好きになったのも、ロングトレイルをやりたくなったのも「自分が背負った荷物だけで過ごす時間」が好きだったんだってことに。
バイクは車と違って詰める荷物が限られています。登山はなおのことそうですし、ロングトレイルとなると軽量化が重要なので、さらにシンプルな荷物で歩くことになります。
バックパッカーとして旅をするのもやはり背負える荷物は限られていて、その制限の中で生きていくことが楽しくて仕方ありませんでした。
外ではミニマリストでいたいのかもしれない
家ではけっしてミニマリストではありません。過剰に荷物が多いつもりはありませんが、人並みに荷物はあります。
でも、山に行くときや旅に出るとき、グッと荷物を減らして「今背負っているものだけが俺のすべてだ!」と思う瞬間がすごく楽しいんです。それ自体が満足感を生んでいるだと思います。
「この少ない荷物で立派にやれてる」という感覚が楽しいんです。
そういう意味で、山遊びって必然的に荷物が限られていて、おもしろいんですよね。
ふと去年の猟期を振り返ると、やっぱり「これだけの荷物でやれてる」っていう感覚が満足感に繋がっていて、心のどこかで「少なければ少ない方がいい」と思っている節があったように思います。だから「ザックを背負わない」という形になったのでしょう。
服部文祥さんのやっていること、やろうとしていることに共感するのはこういう感覚があるからなのかもしれません。
——という独り言でした。
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