山での焚火の是非について考える

最終更新日

 

「山での焚き火は禁止だ!」と誤解している人も多いようです。またそう言いたくなるくらい、マナーの悪い焚火も見かけます。法律からモラル的な面まで通して、焚火の是非について考えてみたいと思います。

ぜひみなさまの考え方も教えてください。

焚火は禁止!?

焚火の是非についてネットで調べてみると散見される誤解があります。それは——

『焚火は基本的に禁止である』

というもの。結論から言えば、一律に焚火を禁止する法律はありません。しかしいろんな法律や条令で、条件付きで禁止されていることがあるのも事実。

法律論に入りこんでいくと解釈の問題や地域ごとの違いなど、とても1記事でまとめられる内容ではなくなるので、興味がある人は下記のサイトあたりを読むことから初めてみることをオススメします。

焚火と法律(日本焚火学会)

焚き火「焚火に関する法律」(Wikipedia)

上のサイトを読んでいくとわたしも誤解していたことがありました。今まで「自然公園では焚火は禁止されている」と思っていたのですが、正確には「自然公園の中の特別保護地区では焚火が禁止」であるとのこと。特別保護地区以外に規制はありません(自然公園法の範囲内の話です)。

また特別保護地区でも七輪はOKらしく、ということはソロストーブのように、容器の中で燃やす形式の焚火台の類いはOKだろうと解釈できそうです(わたしの解釈です。ご意見ください)。

さらにひとつ参考程度にご紹介したいのはわたしのときどき行く丹沢エリアの焚火に関する県の説明です。

焚き火、テント、バーベキューに関する詳しい説明(神奈川県)

てっきり明確に「禁止」とか「OK」とか書いてくれているかと思いきや、『1.焚き火は禁止されているのか』という項で

しかし前述のように山中での焚き火は山火事の危険がありますし、土地所有者が禁止している箇所もありますから、土地の管理者がそばに居てきちんと管理されている場所でない限り、止めておいた方が良いでしょう。

と書かれています。まぁ、ずいぶん曖昧な表現ですね。結局、丹沢エリアの中でも私有地によって違うので、ひと言で「禁止」「許可」とは言えないというのが実情なのでしょう。それくらい「法律的な焚火の是非」って微妙な立ち位置なのです。

前述の自然公園法に基づくと、丹沢エリアの山頂・稜線あたりが特別保護地区に指定されています。だから焚火は明確に禁止されています。それ以外については土地の持ち主次第、という感じでしょうか。

また解釈論が入り込む余地があり、複雑なこと複雑なこと……。

個人的な焚火の考え方

さて法律の話が長くなりましたが、わたしなりに焚火に関して思うことを書いておきたいと思います。

法律で禁止されている場所での焚火はもちろんNGです。しかし「それ以外ならオールオッケー」と思うのもよくない、と感じています。

焚火にもTPOがあるはずで、世間一般で通用するほど体系化されていないにせよ、やはり美徳を持って焚火をしたいと思います。

人に押しつけることはしませんが、わたしなりに考えている焚火のルール・TPOについて挙げてみます(焚き火台・ウッドストーブなどはここでは除外)。

  • 人の目につく場所は避ける
  • 後片付けは完璧にやり、跡を残さない
  • むやみにゴミを燃やさない
  • ファッションで焚火をやらない(やるからには目的があるはず)

安全に注意するなんていうのは、挙げるまでもないほどあたりまえのことです。

意外と大事だと思っているのは「ファッションで焚火をやらない」だと思っています。焚火をやるからには目的があるはずです。調理、暖をとる、煙で虫除け、など。で、目的に応じた焚火をすべきなのは当然です。ちょっと調理するだけなら小さな焚火でいいし、5人で暖をとるなら、もう少し大きな焚火が必要になるでしょう(ほどほどにね)。

無目的に盛大な焚火を作り「いや〜、キャンプには焚火だよ」ってのはわたしのスタイルではありません。

ソロストーブを買おうと思っていますが、そう思ったのも、調理のための手頃な火を作れると思ったから。実は小さい焚火って面倒が多いので、ソロストーブのようなツールを使うととっても簡単になるはずです。

焚火は微生物を殺すか?

よく焚火に反対する意見として「焚火は地中の微生物を殺すので、云々」という話を見かけます。

殺すか殺さないか、で言えば殺すのでしょう。

しかし、微生物を殺すことが悪ならば、日常生活がかなり苦しいことになりますね。山の中で汚れた手をアルコール入りのウェットティッシュで殺菌したならば、山の微生物を殺したことになってしまいます。小便をしただけで死ぬ微生物だっていそうです。

まぁ、そんな屁理屈は置いておくとして、本当の問題は微生物を殺したかどうかよりも、再生可能か不可能か、だろうと思います。

わたしの感覚では「同じ場所で繰り返し、絶え間なく焚火を繰り返すのでなければ、特に影響はない」と考えます。少なくとも「焚火が微生物を殺し、生態系に再生不可能な影響を与える」という学術的な裏付けは見つけられません。

「同じ場所で繰り返し焚火をしない」ためにも「跡を残さない」というのは重要です。

跡があれば別の人がそこで焚火をしてしまいますからね。

LEAVE NO TRACEの哲学

アメリカでもLeave no traceという哲学があり、焚火跡を一切残さないことを美徳としています。

耐火シートやフライパン状の鉄板を勧めている資料もあります。

Leave No Trace Campfire and Firepans

耐火シートなどを使うか否かは置いておくとしても、Leave No Traceの哲学はいつも心に持っておきたいものです。

焚火をしたら、きっちり燃やしたものは燃やしきり、その場に埋め、あとから見た人が焚火をしたか分からない形にしておきたいですね。

この記事で言いたいことは、「焚火は一律禁止じゃないよ」ということと「でも焚火のモラルが低下すれば規制が厳しくなることもありえるよ」ということです。

楽しい焚火ライフを。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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2件のフィードバック

  1. 山で焚き火って憧れますね
    ただ自分は山へ行くときはガスバーナーです
    微生物とか正直気にはしていないのですが消防団で焚き火が原因な山火事に何度も出動を経験しており、さっと消せるバーナーが精神衛生上良くて…
    もちろんバーナーだからといって油断せず火を消しますが
    あと猟期は雪で燃える物探すの大変ですし!

    どうしても焚き火がしたいときは畑の隅でやってる自分です

    • 山火事が怖い気持ちすごくわかります。
      わたしもその場でゆっくり火を最後まで面倒見れるとき以外は焚き火はやらないですね。そういうときはガスやアルコールバーナーを使います。

      でも焚き火が楽しいのも分かるので、ちゃんと焚き火ができる人でありたい、という気持ちもあります。