安上がりな射撃の練習方法『空撃ち練習』『据銃練習』
射撃ってお金かかりますよね。
射撃場自体も多くないので、どうしても遠出しなくては行けない人も多いと思います。そうすると、射撃をするとなると1日潰れちゃう人も多いのではないでしょうか。
「ただでさえ猟期は猟ばっかりやってるのに、非猟期も射撃ばっかりやってたら、家族に怒られちゃう」なんて人もいるでしょう。
わたしもそうです。
というわけで、わたしなりに「射撃に通う回数を抑えつつ、うまくなりたい」というわがままな欲求を叶えるために、日常的に “空撃ち練習” や “据銃練習” をしています。
今日はネットや書籍で見かけた “空撃ち練習” や “据銃練習” に関する情報源をご紹介しつつ、自分がやっている練習をメモしておきます。
空撃ちってして良いの?
まず、空撃ちの練習の話題に入る前に、空撃ちと言えば、必ず話題に挙がる「空撃ちって撃針に悪影響では?」という点について。
こちらはガンスミスをしている人が「なんか、あんまり知識がない人が空撃ちについてアレコレ言ってっけど、おれがちゃんと説明してあげよう」という趣旨の動画です。
20分を超える長めの動画なのですが、思い切って要約すると——
ここ30年くらいのセンターファイアーの銃は空撃ちをしても問題がないように出来ているよ。
ということ。特別古い銃やリムファイアの銃は別ですし、現代の銃でも少数の例外はあるかもしれませんので、この動画1つをもって「すべてOK」と断言はできません。動画中に「どうしてOKなのか?」という点もボルトの中身を紹介しつつ説明されているので、ぜひそちらもご覧の上、自分が所持している銃に照らし合わせて考えることをオススメします。
とはいえ初心者的には不安ですよね?
不安ならダミーの弾を使いましょう。空撃ちケースとかスナップキャップというキーワードで探すと見つかります。
こちらを入れておけば、通常の弾を入れている状態と一緒ですので、撃針を傷めることはないはずです。
安全性の確認
具体的な練習の話題に入る前に、空撃ち練習時の注意事項を。
- 実弾は装弾ロッカーに入れておくこと
- 薬室の確認などの常識的な安全確認は空撃ち練習でもやること
- 安易に引き金に指を入れないのもいつも通り
How To Shoot A Gun Awesomely – Dry Fire Training Technique | Pro Shooting Tips #3
まず、こちらの動画を是非ご覧ください。まさに「3分で分かる空撃ち練習のこと」って感じの動画です。曰く——
空撃ち練習は射撃に必要な全ての動作を、実弾射撃時のリコイルやノイズを抜きに確認することができるトレーニングです。
通常、スラッグを撃つと強い反動が来るので、撃った瞬間に景色がぼやけ、銃が跳ね上がり、強烈な音がします。さて、その引き金を引いたとき、本当に銃口を揺らしてしまってはいなかったでしょうか? うまい人は経験則として分かることも多いと思いますが、初心者は分かりません。
自分が引き金を揺らすときに起こしてしまう僅かな揺れよりも、はるかに大きな反動が帰ってきているのですから当然です。
しかし、空撃ちだと反動や衝撃がないので、それが丸わかり。実際に試してみると、引き金を引いた瞬間、クッと銃口が落ちたりするものです。いわゆるフリンチングですね。あるいは引き金を引くときに力が入ってガク引きになっていたり、撃つときに顔が起きてしまい、不安定になることもあるかもしれません。
引き金を引いたときに「カチッ」という撃針が落ちる音だけがして、銃口や視界が動かないのが理想でしょう。
また、もう1つ挙げておきたいのは、「射撃場でも1ラウンドに3発は空撃ちしていた」という事実です。この方は国際的な射撃大会でも優勝しちゃうような方です。信頼できる練習かと。
Long Range Shooting Tip | Dry Fire
こちらの方は練習ではなく「獲物を前にしたとき、まずは空撃ちする」という趣旨のことをお話していますね。
「獲物がいたら、据銃し、まずは空撃ちして、銃口がぶれずに引き金を引けたことを確認してから弾を装填する」とのことです。もちろん遠射が前提で、恐らく数百メートル離れた、こっちにまったく気が付いていない獲物を撃つときの話です。
ライフルでない限り、なかなかここまで余裕はないかもしれませんが、その意図は分かりますし、実際に獲物を狙うときのメンタルトレーニング的にも参考になるお話だと感じました。
「ほんとうにやるのかよ?」
と思う人もいるかもしれませんが、同じチャンネルの別動画で、獲物を前に空撃ちするシーンを見つけました。
1376ヤード(1.2km)の遠射です。まじか〜。
Learn How to Dry Fire Practice at Home – Step-by-Step from Navy SEAL Firearms Instructor
こちらの動画はピストルですので、動き方そのものは参考にならないかもしれませんが、練習方法としては参考になります。
実際に据銃する姿勢を分解し、意識的に練習することの重要性を語る動画です。こちらは空撃ち練習と言うよりも据銃練習といった方が正しいかもしれませんが、まあ、いいです。どちらも重要ですから。
『続・猟銃』
(上記は『猟銃』で、わたしが持っているのは『続・猟銃』ですが、中身は似ているとのことです。参考→書評『続・猟銃』まさに「撃つ瞬間の理論」という本ですね)
こちらの書籍の中で据銃練習の重要性が語られています。
数ページにわたる内容ですので、全て引用はしませんが、1点のみ重要な部分を抜粋します。
銃の使用目的に適した据銃動作で練習すること
『続・猟銃』p.58
狩猟用と考えるならばあまりゆっくり構えることはできませんので、パッと構えなければいけないし、スキートならば据銃に関するルールがあるので、それに従う必要があるし、トラップや静的射撃であれば、ゆっくり徹底的に据銃姿勢を作り込むことが可能です。
注意として『据銃動作は実際の場よりも、ややゆっくりしたテンポで行わないと、銃床の欠点に気付きにくいことである』とのこと。つまり狩猟用に素早く据銃するにしても、実際の猟場よりもあえてゆっくりした動作で行うことで、弱点や欠点、修正点を考える必要があるということです。ただし、何度も頬付けを直したりするのはダメ。テンポは下げるとはいえ、動作はいつも通り。
『技術トレーニング概論』
こちらのサイトはとても参考になる情報が沢山あります。そして、空撃ち練習に関しても触れられていますね。わたしなりにぜひご紹介したいのはこちら——
射撃では不随意な動き、とりわけ撃発直前の筋バランスの崩れや撃発動作中の銃の振りを排除したいのであるが、空撃ち練習がこれらの目標に最も合致したトレーニングである。
『撃発直前の筋バランスの崩れ……』というのは、つまるところフリンチングのことでしょう。
フリンチングというのは、身体が銃の反動を受け止めようとして起こる条件反射のこと。簡単に言えば肩に力が入っちゃうということです。肩に力が入ると銃口が下がり、狙点が落ちます。
これは身体の反応であって、意識とは別次元の現象なので、完全になくすのは難しいそうです。身体がビビっているという状態と言えると思うので、「大丈夫だよ〜」と身体に教え込む必要があるんでしょうね。だから反動が少ない銃を使うとか、肩が痛くならないように反動を吸収するパッドを使ったりとか、いろいろみなさん工夫しています。
そういう工夫の1つとして空撃ち練習は有力だとわたしも思っています。
自分なりの練習
わたしはできるだけ毎日「据銃練習〜空撃ち練習」をやっています。実際は忙しかったりして、抜けちゃう日もありますが、できるだけ毎日やるようにしています。
なにしろお金はかからないし、愛着のある大好きな鉄砲に触る機会でもあるので、メリットしかないと思っています。
わたしの練習方法はこの通り——
※これが正しいという意味ではないです。あくまでわたしの方法ということで。
- 狙いを決める
- 足の位置を決め、腰の位置を決め、肩付けして、(目を閉じて)頬付けしてみる
- 目を開けて、スコープと顔の関係が正しいかを確認。また狙いがだいたい合っているかを確認。この時点で大きくズレているときは、2を足下からやり直し。
- 実射撃のつもりで、撃つ。
当然撃つときはグイッといい加減に引き金を引くのではなく、ジワジワと引いて、狙点を確認して、またジワジワ引いて、と丁寧にやります。
このとき身体の全部に注意を向けると、結局気が散漫になるので、1〜2つの課題を決めて、そこに注力します。たとえば最近は右手。グリップを握る感覚と、トリガーを操作する人差し指の位置や動きですね。
合理的にグリップを握れているか? 引き金を操作する人差し指の動きが銃を動かしてはいないか? 余計な力が入っていないか? など。
また、この練習は射撃場でもやります。10発くらい撃ったら、空撃ちケースで1〜3発程度。とくに良い当たり方をしたときは、そのイメージを身体に教え込むつもりで丁寧にやります。安くない練習代だから、最大限の効果を発揮したいなーって。
ほんと、だれでもできる練習
なにしろタダだし、5〜10分の空き時間でできることです。
上に挙げた練習以外にも、猟期前は「急いで弾を装填して据銃する」という練習もしましたね。猟では弾を入れるところから勝負ですから。
今は猟期が遠いので、射撃に注力するつもりで練習しています。
「こういうことを意識して練習すると良いよ」というアドバイスがあったら嬉しいです。
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