「狩猟と射撃は別物だから練習の必要はない」という意見について
ときどき「狩猟と射撃は別物だから、射撃場なんか行ってもムダ」という意見を耳にします。
何度考えてみても、それは違うと思うんですよ。そう思う理由を書いてみたいと思います。
鉄砲の技術は重要
狩猟(ここでは銃猟に限定)は、ザックリ言えば獲物を見つけて、撃って、獲る行為です。
鉄砲の腕が下手だと当たらないか、当たっても半矢にしたり、せっかく食べられる部位を撃ってしまうことになります。やっぱり理想はヘッドショット・ネックショット。これなら肉を傷めず、獲物もその場で倒れるため、すぐに血抜き・腹抜きができるので、肉もおいしくなります。
ヘッド・ネックショットが無理なら、心臓周りのバイタルエリア。うまく当たれば肉もあまりムダにしないし、獲物も即死か、それに近い形で倒れることが多いです。
鉄砲の腕前を山で鍛えることができるか?
獲物を見つける技術は山で鍛えることができます。しかし射撃は山で鍛えることが出来ません。少なくとも今の時代は……。
昔は山の中で練習する人もいたんじゃないかな? 分かりませんが……。その時代なら「射撃場なんか行かなくてもいいんだよ」という意見は一理あったのかもしれません。しかし今は山の中で獲物以外に撃つのは法律で禁止されています。
たとえば鹿を撃って外したとき、上に外したか、下に外したか、右か、左か……、分かりませんよね?(射撃をやりこんでいる人はこれも分かってくるんでしょうけど、それ自体、ある程度の鍛錬がいるものかと)
「ああ〜外しちゃった。つぎはがんばろう!」
なんて言っても、なにをがんばったらいいのか?
射撃は基礎練習
たしかに、射撃と狩猟はイコールではありません。鹿に丸い的の模様はないし、距離は固定されていないし、不規則に動いたり止まったりするし……。
「だから射撃は意味なし」でしょうか?
たとえばサッカー選手がシュート練習を意味ないと言うか? 野球選手がキャッチボールを意味ないと言うか? って話です。
ハンターにとって、射撃は基礎練習だと思います。
わたしもまだ下手くそとはいえ、やっぱり射撃を始めた頃に比べれば、ずっとうまくなってきています。
「山で撃ってうまくなる」
そんなの(少なくとも現代では)無理だと思います。
なにしろ狩猟では撃つ回数が圧倒的に少ないンです。わたしは初年度の大物猟では9回しか発砲していません。一方射撃はスラッグだけでも数百発は撃っています。クレーも入れたら1000を軽く越えます。
山で撃った9発のうち、1頭目こそ外しましたが、それ以降は全て当てて、8頭の獲物に恵まれました。そうやって獲ることができたのは射撃場での射撃練習があったからです。
※1000発越えくらいで撃った気になるな! という声も聞こえてきそうですが……できる範囲で努力が大事ということです。
射撃は自分の技量を知るチャンス
射撃は技能向上のために絶対必要ですが、それ以外にも自分の技量を知るいい機会です。
たとえば1発も撃ったことがない人が、山で獲物を見かけて、当たる・当たらないの判断が出来るか? ということです。言い換えれば、撃つべきか、撃たざるべきかの判断です。
射撃場で50mの立射を撃ってみる。15〜20cmの範囲にまとまるなら、猟場で50m程度の獲物に対して立射で撃ってみる価値はありそうです。
もし50mの立射がまとまらないなら撃ってもムダ。偶然当たったとしてもただのまぐれ。現実的には半矢にしてしまったり、まったく当たらないという可能性が高い。
でも射撃場での練習の経験から「50mの立射は当たらないけど、膝射は当たるよ!」とわかっていれば、膝射で狙うことができます。もちろん、膝射の姿勢を取る動きで獲物に逃げられる可能性はあります。でも、それが今の自分の技量なんだから受け入れるしかない。次の猟期に向けて立射を練習すればいいんです。
こうやって自分のできること・できないことを理解して、猟場で正しい判断をすることも射撃場に行く大きな理由です。
うまい人は練習している
結局、猟で当てる人は、射撃場で練習もしてますよ。
わたしの知っているハンターで、もうご高齢のライフルハンターですが、今でもちゃんと射撃場に行って、ローカルな大会で好成績を出します。
偉そうに書いてしまい心苦しいのですが、これから鉄砲を持とうとしている人は本当に射撃場に通うことをオススメします。
よく言われることですが、高い鉄砲を買うより、安い中古の鉄砲を買って、浮いたお金で射撃場に通った方が当たるようになります。
ていうかね。急に話のトーンを変えちゃいますが、射撃っておもしろいンですよ。
最初はただ丸い的に撃つだけのつまらないものかと思っていたんですが、やってみるとハマります。射撃場で黙々と……コーヒーでも飲みながら「うーん、こうか? いやこうか?」とあれこれ試しつつ撃つのってすっごい楽しいンです。あっという間に時間が経っちゃいます。
それに猟期は冬の3ヶ月程度しかないわけです。それ以外の9ヶ月は射撃を楽しんじゃえばいいじゃない。しかもそれが次の猟期の成果に繋がってくるわけで、やらない理由が見当たらない。
お金と時間がかかることだから、みんなが同じだけ練習できるとは思いません。毎週すごい数を撃つ人もいれば、数ヶ月に1度が精一杯という人もいると思います。その範囲でいいので練習してみるのが大切だと思うンです。
股、射撃場に行かなくてもできる練習があります。
練習しよう!
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