狩猟を目的に北海道移住するなら知っておきたいこと

最終更新日

関東から北海道へ移住してもうすぐ3年です。

自分としては移住は大正解で、楽しく、充実し、ストレスもほとんどありません。自分の移住体験や、そこで学んだことを少しずつ記事にしてみたいな、と思ったので、ざっくばらんに書いていきたいと思います。知りたいことなどありましたら、TwitterInstagramにご連絡ください。

さて、今日は「移住して狩猟をやりたい」という人に向けて、移住前に知っておいた方がいいことを書いてみたいと思います。

1.どこも駆除で獲り放題ではない

北海道でエゾシカの駆除をやっている人の話を見聞きすることもあると思います。年間100も200も300も獲り、しかも「1頭当たりの報奨金が1万円を超える」なんて話を聞くと、取らぬ狸の皮算用ってやつで

「200頭獲って、1頭1万円なら、200万円じゃん! もはやしっかりした副業レベル。もう少し獲れば専業も夢じゃない」

なんて思うかもしれません。実際にそういう感じでやっている人もいますが、駆除の制度は道内でも地域差が大きいのです。たとえばぼくの地域では、獲っていい頭数は1人あたり年間約20頭。全然稼げるって感じじゃありません。

なので「北海道で獲りまくって小遣い稼ぎ」みたいに考えているとしたら、移住先の役場で確認した方がいいですよ。そもそも制度的にそれが叶わないかもしれません。

また、次項『2.牧草地での猟は「人間力」』でも書きますが、牧草地での猟は、本来は許可制です。持ち主に立ち入りと駆除の了承を得て、初めて獲ることができます(了承をとらないハンターがいるのは事実ですが大きなトラブルになる可能性も)。

これは聞いた話ですが、いわゆる「制度的に稼げる地域」だと、この牧草地に縄張り的な力が働くこともあるそうです。つまり、シカが集まる牧草地は稼ぎやすいことを意味しているので、新参者はいつもそこでやってる人に「ここでは獲るなよ」と言われるとかなんとか。

というわけで、行けばガンガン獲り放題とは限らないので、それがやりたいならよくリサーチしましょう。ぼくはそういうの興味ないので気にしていませんが。

 

2.牧草地での猟は「人間力」

北海道の猟と言われると、広大な牧草地での流し猟を思い浮かべる人もいると思います。そういう様子を発信しているYouTuberもいますもんね。

牧草地は畑や田んぼと同じです。畑に勝手に入ったりしないですよね? 駆除や狩猟でも同じです。

入るためには持ち主に許可を得るわけですが、牧草地ごとに「問い合わせはこちら」とか「狩猟の許可はこちら」と看板があるわけじゃありません。いざ許可を取ろうにも「これ、だれの牧草地なんだ?」と途方に暮れるはずです。しかも近くにある家が、持ち主とも限らないんです。

地元の人は「ああ、ここは鈴木さんで、その奥に佐藤さんの畑があって、その向こうはたしか最近鈴木さんが買い取ったはずだな〜」なんて具合によく知ってるんですが、移住したばかりで名前も顔も知らない状態だと難易度「高」のパズル状態です。

ぼくは牧草地での流し猟はちょっとしかやりませんが、その「ちょっと」のために、地域の牧草地を走り回り、シカがいる場所を探し当て、猟友会の先輩たちに「あそこは誰の畑ですかね?」と訊き、持ち主の家を訪ねて回りました。

ぼくはそれで数ヶ所の了承を得ました。もしそれをメインで取り組もうと思ったら、この挨拶回りもたくさんやらないといけません。毎年「お歳暮」的なものを持って行く人もいます。

牧草地での駆除は、自然とのやりとりより、人間とのやりとりの方が重要な気がします。

 

3.国有林の中でも銃禁が多く、変動する

「いや、おれは山の中で猟をやるんだ」という人も注意が必要です。ぼくもこのパターンで苦労しました。

まず気付く関東圏との違いは国有林の広さです。国有林は簡単に入林許可をもらえるので、下手に誰の山か分からない場所でやるより、ずっとハードルは低いと思います。そういう意味で、国有林の広さはありがたいところ。

しかし——

国有林の中にも大量の銃禁エリアがあります。これはハンターマップには記載されていません。ここ重要です。

移住前にハンターマップを確認する人は多いと思いますが、国有林の地図は確認しない人が多いでしょう。下手すりゃほとんど禁止という地域もあります。移住先の候補地の様子は見ておいた方がいいでしょうね。下記リンク先から最新版の地図を見ることができます。

銃猟立入禁止区域図

ほんの一例ですが、たとえば夕張山地を見てみると、こんな感じ。赤いところは全部禁止です。

2021年12月27日時点での、夕張山地の国有林マップ

また、上の地図をよく見てもらうと「全期間禁止」と、「○月○日まで」と期間が指定されている場所もあります。期間指定場所はその期間だけ禁止になります。結構複雑です。

しかもしかも、この国有林の禁止エリアは毎年変わります。わたしも詳しくは知りませんが、その年に作業を計画している一帯は禁止になるようなので、翌年は解禁になったり、また別の場所が禁止になったりします。

ぼくが移住した3年の間でも変わった場所がありますね。

山ばっかりの場所に移住したけど、周りが国有林の銃禁エリアばっかりだった、となると寂しいですよね。毎年変動するとはいえ、一応見ておいた方がいいと思います。

 

4.やっぱりハーフライフルが有利

いろいろ考え方はあると思いますが、エゾシカを獲るなら、やっぱりハーフライフルが有利に感じます。

これは必ずしも遠くを撃つためではなく、弾の選択肢の問題だったりします。道内は鉛のスラッグは禁止ですので、銅弾なんかを使う事になります。たとえば本州で使っていた銃を北海道に持ってきても、「合う銅弾がない」なんてことにもなります。小さな銃砲店や火薬店だと弾の種類も多くないかもしれません。

道内の多くのハンターはハーフライフルを使い、10年経ったらライフルに移行します。だからみんなに合わせてハーフライフルを所持した方がやりやすいというのが、ぼくの感覚です。

5.道内でも地域によって山がずいぶん違う

北海道は広いです。

ぼくのいる道北エリアと、南の方とでは気候も山の形も植生も雪の量も違います。

あるエリアでやれることが、別のエリアではやれないなんて普通。たとえばもしYouTuberの誰かに憧れて「あの人のやってるような狩猟をやりたい」と思って移住しても、その人の活動エリアと異なれば、何もかもが違ってくる可能性があります。

もしやりたいことが明確で、それを優先したいなら、必ず、必ず、事前に見に行きましょう。山を歩きましょう。実際にやっている人と交流して自分のやりたいことを伝えて相談しましょう。

どうせ移住したら、そういう類いの交流は必要になります。そういう交流をしたくないなら、下手に地方に移住するより、大都市に住んでいた方がいいです。

 

北海道の広い

まぁ、とにかく北海道は広いです。それに合わせるように、人の行動範囲も広いです。

1〜2時間の運転なんて日常茶飯事。狩猟登録1つで、その広い北海道のどこでも狩猟ができるという意味では、かなりおもしろいとも言えます。

ぼくも先日遠征してみましたが、地元でやるのとでは違ったおもしろさがあります(注意事項も山ほどあります)。

いろんな可能性を秘めているという意味で、狩猟を目的に移住するのはありだと思います。もちろん本州に比べてすべての面で有利だとも思いません。今度は「関東の狩猟の方がいいと思うこと」も書いてみましょうかね。

では。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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