単独猟日記16:小さなメスジカを見送って、大きなオスジカを獲る

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前回の “単独猟日記15:山のクジラを獲りました” に引き続き、2回連続で獲物を得ることができました。

シカが豊富にいる山に感謝するばかりです。

※ 獲った獲物の写真や獲物の首の写真など、人によってはショッキングに感じる写真もあります。そういったものを見たくない方はページを閉じるようお願いします。そういった写真は面白半分にアップしているものではなく、誰かの役に立てば、と思って掲載しています。ご理解いただきますようお願いします。

入山してすぐ小さなメスジカに遭遇

入山して15分ほどで、こちらを向いて固まっているメスジカに遭遇。まだ逃げる様子もありません。

鉄砲に弾を込めましたが、なぜかあまり撃つ気がしませんでした。

その後もそのメスジカはしばらくわたしを見た後、のんびりと斜面を登っていきます。急斜面なので登り方も遅く、何度も立ち止まるので、撃つチャンスは何度もありましたが、それでもやっぱり鉄砲を構える気持ちにならず見送り。

 

狩猟を始めるときに買った167Lの冷凍庫はもうかなりいっぱい。毛皮を冷凍させているので、それを出せばまだ1頭くらいは入りますが、なんにせよ、肉の量に関して足りないという焦りはありません。

撃てるものを何でも撃つ必要はなく、「獲りたい!」と思ったものを撃ってもいいんじゃないかな、と思うようになり始めています。もちろん時間的な理由もあります。まだ日の出15分後。まだまだ1日は長いです。山を歩いて猟をするのが好きだから、こうも朝一で獲れてしまったらもったいない、という気持ちも少しだけあったかもしれません。これが夕方に近い時間帯だったら獲ったような気もしています。

小さなメスジカっていうのは、単独のわたしにとっては持ち帰りやすく、しかもうまいので実は文句ない獲物なんですけど、、

いや、はっきり言います。心のどこかで「またイノシシに出会えるかも?」という気持ちがありました。ここでシカを獲るより、イノシシに出会う可能性を求めていたんだと思います。

メスジカの「キャン」という鳴き声が山に響き渡ります。

 

濃霧の中を歩く

この日、あたりは深い霧……。視界はせいぜい40mほど。

正直「これじゃ出会えないんじゃないかな?」と思い始めていましたが、濃霧の中、シカがどこにいるのか調べるのも一つの経験でしょう。

わたしが「シカの巣」と呼ぶエリアがあります。数百メートル続く南東向きの斜面。陽の入る杉林。この一帯を歩いてシカに出会えなかったことは、大袈裟ではなく、1度もありません。もちろん出会えると言っても、遠すぎたり、先に逃げられたりすることも多く、撃てるとは限らないのですが……。

それにしても楽しいエリアです。シカに出会えるだけで喜びがあります。

 

このシカの巣に入ってすぐのことです。小さな丘を越えた瞬間、向こうからでかいオスジカが歩いてきていました。ちょうど丘が死角になって、お互いが見えてなかったんですね。わたしは咄嗟にしゃがみ、死角に入ります。

弾を込め、耳を澄まします。

まだシカはこちらに気付いておらず、同じペースで歩く音が聞こえます。

このあたりのシカ道は把握しています。どこに出てくるかは予想が付いていました。その場所に鉄砲を構えます。

待ったなしの状態です。獲物が獲れるときはいつもそう。射撃場での射撃は自分の心の準備ができたら撃てばいい。だけど、猟では違います。そのときが来たら撃たなければいけません。そこで躊躇して逃した獲物は多数います。

グッと覚悟を決め引き金に指を入れます。鹿の角が見え、直後、頭が出てきます。さらに1歩近寄ってきたところでスコープ越しに目が合い、シカの動きが止まります。

——今。

引き金を絞る。狙いは首。シカはやや斜め向きに立っていたので、首に斜め前から入る感じをイメージしました。

シカはその場で跳ね、斜面を下っていきます。地形の都合ですぐに死角に入りますが、確実にバイタルには入っている手応えがあったので安心していました。

が……しかし……。

 

血がない……、シカがいない……

まず、そのへんに死んでいないだろうか? と見渡しますが、見つかりません。

シカがいた場所で血を探します。とにかく血を見つけることが重要です。バイタルに入っているならば、血さえ追えば必ず見つかる、はず……。

ところがぜんぜん血がない。1滴もない。足跡を追うのですが、途中までは分かるものの、途中から鹿の新しい足跡だらけになり、どれがわたしの撃ったシカか分かりません。シカの巣と呼ぶだけのことがあるでしょう? 足跡だらけです……。

わたしの考えは「弱っているシカは下に行く」です。

さて、この場所は、ある程度まで降りると崖になり、深い谷間が待ち受けています。

「もしかしてそこに落ちたのだろうか?」

そうとしか思えないので、別ルートから谷間に降りていくことにしました。結局、1時間かけてこの谷間や崖を捜索。しかしまったく痕跡はない。

正直焦りが出てきました。もしかして当たってない? あるいはかすっただけだったりして……。諦め始める気持ちが出始めます。しかし、あの距離で外すようじゃ、もう安心して撃てない。当たってるはず、と自分に言い聞かせます。

初心に返り、元の場所に戻り、改めて血痕探し。そこでようやく1滴の血を発見。その周りを探し、1つだけ血だまりを発見。恐らくここで転ぶか何かして、血がどばっと出たのでしょう。ところが、あとが続かない。

とはいえ血を見つけたことが精神的な救いになりました。当たっているのは確かだし、それなりの出血量があるはず。状況によっては血痕がないのは経験済みです。血痕が少ないということは胸腔内に血がたまっているということ。必ずどこかで死んでるはずです。

「もうしらみつぶしに探すしかない」と覚悟を決めて、このあたりのシカ道を歩き回ることにしました。

そうして歩き始めてすぐ、この光景が! 写真中央あたりに白いのが見えますね。見やすくするためにちょっとだけ写真を加工したつもりです。コレを見つけたとき、本当に祈るような気持ちで双眼鏡を覗きました。そしてシカだと確認できたとき、思わず深いため息が……。

良かった、本当に良かった。

撃った場所からここまで、せいぜい100mちょっとでしょうか。途中で90度曲がり、わたしが探した谷間を避けたんですね。結果的には心臓を完全に破壊していたんです。それなのに、それだけの判断ができ、ここまで走ってこられるシカの生命力に脱帽です。

 

崖の際で解体

大きなオスジカです。大きさが伝わるでしょうか? 少なくともわたしが獲ったシカの中では1番でかい。先日獲ったイノシシ並の重さを感じます。

崖の際で死んでいましたが、ひとりで引きずることもできず、結局この崖の際で解体することに……。

自分が落ちたらしゃれにならないので、手持ちのロープで即席の命綱を作ります。まぁ、そこまでしなくても大丈夫だとは思いましたが、疲れもありますし、解体はまだまだ初心者ですので、つい没頭してしまいます。油断して血で足を滑らせたら大変ですからね。

(倍力システムでシカを持ち上げることも考えましたが、ソレをするにはロープの長さが足りず……、長めのロープがあっても良いな、とは思いました)

 

弾は首ではなく、肩の辺りからやや下に向かって入っていました。胸腔内は血の海。しかし弾は貫通してなかったので、下に血が抜ける穴がなく、血痕が残らなかった、というわけです。

これが逆に下から上に撃つような形だったら、相当量の血痕があっただろうと思います。

こういうこともあるので、血痕がなくても諦めないで探しましょう。

 

血抜き〜解体〜パッキング

わたしがシカを見つけたのは撃ってから軽く1時間は過ぎています。血抜きもできていないし、血は胸腔内にたまって、温度も下がらない状態です。

もう、申し訳ない気持ちでいっぱいです。「おいしく食えば供養になる」と思っているわけじゃないんですが、やっぱりおいしく食べてやりたい。自分で殺して食って「うーん、処理が悪くてマズイね」なんて言いたくないって気持ちがあります。ましてや、家族や友人に振る舞ったときに、それを言われるのも嫌。自信を持っておいしく処理したい。

なので、先ほどの写真だけ撮って、すぐさま血抜き。

肉を取って、パッキング。頭はリュックに縛り付け、リュックに入りきらない肉は土嚢袋に入れて、ロープで肩にかけます。とてつもない重さです。

(下記の写真はシカの生首が写っていますので、見たくない方は見ないよう……。クリックすると大きな写真になります)

 

 

単独猟は獲ったあとが大変です。「肉はおいしいところしか取らない」と割り切れば楽になりますが、わたしは自分ができる限り全部取りたいと思っているので、いつも過積載状態での下山になります。

わたしは足腰はかなり強い方です。足にはそれなりに筋肉もあるし、体力にも自信があります。それでもキツいです。翌日は確実に筋肉痛になります(これを書いている今、まさに筋肉痛です)。これから単独猟を始める人は、こういうことをよくイメージして始めた方がいいですね。初心者のわたしが言うのもアレですが、大変ですし、それなりの覚悟がいる猟です。

 

帰宅しても終わらない

猟は帰宅しても続きます。

現地で大バラシを終えた肉を冷凍するためのサイズに分けていきます。これも軽々2時間はかかりました。

そして、持って帰った頭を庭に埋めます。

 

そして、解体に使った刃物を掃除。研ぎ直しなどは翌日以降でもいいですが、とにかくキレイにしておかないとサビます。

 

残りの猟期はシシを探したい

さて、これで今期はシカ4頭にイノシシ1頭獲れています。わたしの冷凍庫はもういっぱい。がんがん消費しないといけません。

さて、それはともかく、猟期は残り1ヶ月を切っています(この記事を書いているのは1月19日)。

わたしはシカを獲ることの優先度をちょっと下げて、イノシシを探すことに重きを置いてみたいと思っています。

「ぜったいにシカは獲らない」と断言するつもりはありませんが、とにかく優先度は下げ、よっぽど猟欲が湧かない限り撃たないつもりです。というのも、わたしは1日1頭しか獲りません。2頭も運べませんし、1頭を1人で処理するのにスゴイ時間がかかるので……。

ある程度シカを見送ってでもイノシシを探したいなって。

 

犬なし単独猟でイノシシを獲るのは本当に難しいことだと言われています。狙って獲るのは不可能とも言われます。わたしが先日獲ったのも、シカを探していたらイノシシを見つけたってだけ。つまり偶然。

「完璧に狙って獲る」というのは難しいとはおもいます。でも、いまはあまりにもシカ優先。シカがいそうな場所だけを歩いています。そこで、もっとシシがいそうな場所を探し、そういう所を歩くことで、イノシシと遭遇する可能性を上げたいというのが目標です。来期以降も少しはイノシシを獲りたいので、イノシシを獲るための経験値をためたいなって。

そのためにはイノシシのいる場所を知っていなければいけませんが、そもそもそれが分からんのです。だからまずは獲れなくても良いからイノシシの痕跡を探して、出会いたいですね。

 

まぁ、シシ優先といえど、猟欲が湧くシカがいれば撃ちます。あるいは午後の時間帯にシカに出会えば撃つかもしれません。だからもしも次の猟でシカを獲っても「シシ優先じゃねーのかよ」って言わないでくださいね笑。

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