ジムニーのタイヤが外れない……ロックナットってものについて
人から譲っていただいたジムニー。狩猟車としてこの冬から活躍してもらうつもりで、アレコレ整備をしていました。
基本的な整備の一つであるブレーキ回りの点検をしようと、タイヤを外そうとしたときのことです。
「ネジが変……」
生まれて初めて出会ったロックナットと、そいつを外すまでの顛末をまとめてみます。
このネジが変……
こちらの画像の丸で囲んだネジが普通と違うのが分かるでしょうか?
通常、タイヤのネジは六角になっていますのでメガネレンチなどで開けたり閉めたりできますが、こいつはツルンとまん丸。ネジが引っかかりません。画像では伝わりませんが、手で回すとクルクルと空回りするだけ。
なんだこれ?
まったく見当も付かず、「引っ張れば取れるのか?」とか「延々とクルクル回せば取れるのか?」とか「押して回すのか?」とか……、とにかく思いつくだけのことをやり尽くし、それでも外れなかったのです。
「困った……」
ネットで検索だ
いろんなキーワードで検索していて辿り着いた答えが『ロックナット』というやつ。
タイヤって外に露出しているので、たった5つ程度のネジを外せば取れてしまいます。そのくせホイールにせよ、タイヤにせよ、決して安いものではなく、盗まれたときのダメージが大きいもの。そこでロックナットというアイテムが登場します。ロックナットとは、特別な工具がないと外せないタイプのナットなんです。
各社がいろんなタイプのものを販売しており、適合する工具がなければ外すことができません。まさに「ロック=鍵」ですね。
わたしの鍵を見ると、つるりと丸く、ロックナットの中でも特殊な形状です。調べてみたところKYO-EIという会社のDency2000という商品らしいことが分かりました。
もう製造していないようで、Amazonでも品切れ状態。でも、いろいろ調べて、こいつの仕組みは分かりましたよ。
Dency2000の仕組み
つるりと丸く、空転する部分はナットそのものではなくカバーです。ただのカバーなのでいくら回しても押しても意味はありません。外すためには同社が提供するカバー外し用の鍵が必要です。
特殊なマグネット(?)になっており、こいつを被せると簡単に外れるそうです。
で、カバーを外すとまた特殊なネジが現れ、そのネジを外すための工具がまた必要とのこと。
つまり、マグネット型のキーと、ネジを回す特殊工具の両方が必要というわけです。
それはどこに?
さて、タイヤにロックナットが付いているのだから、どこかにそのキーと工具があるはずです。
この車は人から譲っていただいたもの。車載工具がありましたが、ロックナットを外すものはありません。前オーナーに連絡して聞いてみるも「そんなのないよ。いつも近所の整備工場に持ち込んで、何事もなく外してもらえていたよ」とのこと。
どうやらロックナットのことを認識していなかったようです(つまりロックナットをつけたのは前の前のオーナーで、前オーナーは整備士任せだったことから、存在すら知らなかったということ)。
「その整備士がなにか知っているかもしれないので連絡してみるよ!」
と言ってくれたので、その連絡を待ちました。しかしその返答は無情なもの。
整備士「車のなかにロックナット外しの工具があったから、いつもそれで外してたよ」
前オーナー「そんなのないよ。捨てちゃったかな〜」
わたし「おーまいがー!」
メーカーに問い合わせる
メーカーであるKYO-EIにことの顛末を伝え、助言を求めました。
KYO-EI「すでに製造を終えており、メーカーの在庫もないため、マグネットキーをお送りすることはできません。しかし、工具はあるかもしれません。ただし、工具は防犯上100通り以上の種類があり、まずはマグネットのカバーを壊して、中に書かれた製造番号を見ていただくしかありません」
わたし「やるしかないか!(-_-)」
壊すと言ってもけっこう大変だろうと思います。うまくいく確証もなく、ちょっと不安でした……。
なんかよく分からないものが出てきた
そんな折、前オーナーより連絡がありました。
前オーナー「こんなのが出てきたよ!」
それそれそれそれですよ!
みごとにマグネットキーです。受け取りにいくついでに、前オーナーのご自宅の工具箱を見させてもらって、もう1つあるはずの特殊工具を探すことに。特殊工具の方は見た目は特別な感じがしないので、どこかに紛れ込んでいる可能性があります。
一気に希望の光が見えてきました。
少なくともこれで、カバーを外して、製造番号をチェックすることはできます。そうすればメーカーから特殊工具をお譲りいただけるかもしれません。
前オーナー宅
前オーナー宅で探すこと15分。じゃん!
見つかりました! これです。
防犯上、ネジの形をお見せすることはできませんが、明らかに六角などではなく、特殊な形状です。
前オーナーも「こんなのわからねーよ」と笑ってました。自分で整備するタイプの人でないと分かりませんよね。誤解がないように付け加えておきますが、前オーナーは決して車にいい加減な人ではなく、ちゃんと定期的に整備・点検をしていました。ただそれを人にお願いしていたというだけです。むしろわたしが知る限り、かなり頻繁に整備をお願いしていたタイプだと思います。その証拠にエンジンオイルとかもキレイそのもの。デフオイルなんかも2年に1度は変えているし、どこを見ても(年式相応に)きれい!
じゃ、外してみましょうか!
というわけで、結果的には前オーナーからすべての工具をいただくことができて、問題は無事解決となりました。
記事的には拍子抜けですが、同じような問題に陥った人のヒントになればと思います。とにかくいきなり破壊する前に、メーカーに問い合わせてみてもいいと思います。メーカーによって対応は違うでしょうけれど、アドバイスはいただけるかと。
念のため書き加えておきますが、メーカーや小売りでこういうロックナット外しをお願いする場合、身分証や車検証などが必要になるのが普通らしいです。そりゃそうですよね。だって盗人かもしれませんからね。
さぁ、最後に実際に外してみましょう。
まずはマグネットキーを被せます。
マグネットキーを押し込むとぽろりとカバーが外れます。
全貌はお見せしませんが、ごらんのように六角ではなくギザギザした形になっています。この形のパターンが無数にあるため、タイヤの盗難が困難になるんですね。
で、今回見つけた特殊工具をはめてみると……
スポッとハマりました。ご覧の通り、あとはスパナで外せば良いかと。
これでタイヤを外せる!
じつはこれを手に入れるまで、ジムニーに乗るのが怖くて仕方ありませんでした。
だって、万が一路上でパンクしても、タイヤを外すことさえできませんから……。
ともかくこれで外したいときに外せるようになりました。
さて、本題のブレーキ点検なんかをやっていきましょうかね。
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