双眼鏡選びの結論:VixenアトレックⅡ 8×42 に決めた理由

最終更新日

悩み続けていた双眼鏡を買いました。かなり考えた末の決断でしたので、けっこう満足です。

買ったのは『Vixen アトレック II HR8×42WP』というモデル。今日はこいつをご紹介すると共に、「なぜこれを選んだのか?」を他のモデルと比較しながら書いてみたいと思います。

低〜中価格帯の双眼鏡って本当に「完璧なモデルは存在しない」んです。だからどこを妥協するかが鍵。人によってきっと選ぶモデルが違ってくるんだと思います。

私はこれを選びました。あなたは何を使っていますか? ぜひ教えてください。

アトレック II HR8×42WP

さっそく買ってきたので、箱を開けてみましょう。まぁ、箱は目立った特徴もありません。

 

中には双眼鏡本体に加え、レンズカバー、ケース、ストラップ、マニュアル、保証書、レンズ拭きが入っていました。ケースにもストラップがつきます。ケースを双眼鏡用のハーネスにつければ、良い感じに使えそうですがどうでしょうか?

 

本体のサイズ感はこんな感じ。今まで8×21を使っていたので、大きく感じますが、しっとりとした外装が手に馴染み、心地良いです。

 

もう、戻れない……

今まで、こいつを使っていました。

Amazon価格で1000円ちょっとの激安双眼鏡です。安い割には使えるとは思っていますが、申し訳ないですが、新しい双眼鏡を覗いてからこちらを覗いたら「見てらんない……」って思っちゃいました。それくらい、ぜんっぜん違います。

もう、ほんっとに違う。そりゃ、どう見ても別次元のスペックなので比較するのも酷だし、ましてやこの安い双眼鏡を悪く言うつもりはないんです。なにしろ安いですから。この安さで、ちゃんと見えることが驚きなんですよ。

どう違うかというと、もうダイナミックさが違う。色合いも違うし、遠近感の見え方も違う。Qtuo(安いヤツ)は「風景写真を安いコピー機でコピーしたあとの絵」に見えるのに対して、アトレックⅡは「映画館の臨場感溢れる映像」を見ているような感じです。

本当に立体感が違います。Qtuoでは遠いものも近いものもベターッと見えてしまうのに対して、アトレックⅡはまるで生で見ているかのように遠近感を感じられます。

 

実際どう見えるか?

双眼鏡の見え味をどう伝えていいのか分かりませんが、1つ例を挙げてみます。下の写真はある場所から見た景色です。肉眼で見たときもこんな感じで見えます。

向こうの山を双眼鏡で見てみました。

この赤丸の場所を覗いてみました。この場所は木が開けていて、山肌が見えており、「もしシカがいれば判別できる」と断言できます。それくらい見えます。

ちなみに、先ほどのQtuo(1000円双眼鏡)でも覗いてみましたが、結果は「ギリギリ見えるが辛い」という感じ。どうしてもぼやけてしまい、はっきりとしません。シカがいて、動いていれば見つけることができるかもしれませんが、立ち止まっていたら判別できないでしょう。

驚くべきことは「1000円の双眼鏡なのにちゃんと8倍に見えている」ってことですね。安物ってスペック通りの倍率で見えなかったりするので、、、

 

それに、見える見えない以上に嬉しいのは、見ていて苦痛じゃないってことですね。「実際にシカが通ったら楽しいな」と思ってしばらく眺めていましたが、まったく苦ではありませんでした。

 

なぜアトレックⅡ 8×42を選んだか?

さて、これまで散々双眼鏡選びで悩んできました。悩んだ過程をすべて記事に書いてきたので、そちらもぜひご覧ください(上から下に時系列で書いています)。

狩猟家ブロガーのみなさんが使っている双眼鏡から、狩猟用双眼鏡を考える
狩猟で使えそうな8倍・30口径くらい・防水の双眼鏡を挙げてみる
狩猟で使えそうな8倍・42口径くらい・防水の双眼鏡を挙げてみる
狩猟用に双眼鏡を実際に覗き比べてみて思ったこと
海外ハンターの双眼鏡事情は日本とは違うようです
今考えている狩猟用にベストな双眼鏡をいくつか

悩んだ末にアトレックⅡに決断した理由を、他のモデルと比較しつつ書いてみたいと思います。言うまでもないですが、好みの世界です。完璧な双眼鏡というのは絶対に存在しない、というのがわたしの持論。あとはどこを妥協するか? ここに個人差が現れるのだと思います。

 

42口径を選んだ理由

30口径クラスか40口径クラスか……。

これはかなり悩んでいました。30口径なら軽い。40口径なら見え味が良くシャープ。極めてシンプルな話です。

わたしが最終的に40口径クラスを選んだのは「双眼鏡を覗く楽しさ」を優先したからです。

ぶっちゃけ、たぶん30口径クラスでも問題はない気はします。たとえば、ちょっと薄暗い日、40口径クラスに比べて多少シャープさに欠けるとしても、シカの判別はできるんじゃないかな? 事実、30口径クラス、あるいは20口径クラスで猟をしている人も沢山いるようです。

わたしだって、これまでの猟場歩きは、先ほど紹介した激安8×21でやってました。不満がないといえばウソになりますが、「できないわけじゃない」のは確かです。

しかしながら、双眼鏡をひとつの遊びと捉え、動物観察や、バードウォッチングを楽しもうと思うとそれなりの口径が必要だ、というのがわたしの行き着いた結論です。猟期は年に3ヶ月程度しかありませんが、残りの9ヶ月だって、山を歩いて動物観察をすることはできます。そういうときに40口径クラスの方が楽しいだろうな、って思ったんです。

また将来「どうしても軽量化したい。30口径にしたい!」と思ったとしても、上記の理由で、40口径は「狩猟以外の山歩き用」、30口径は「狩猟用のコンパクト双眼鏡」として使い分けることもできると思います。

となると、40口径クラスは持っておいてムダのないアイテムかと。

 

Vixen アスコット ZR 8×42を選ばなかった理由

これはヨドバシAkibaで「狩猟用ならこれも検討してみては?」と勧められたモデルです。 42口径で、実視界8.2°とかなりの広角モデル。ポロ型ですので、見え味の良さの割に安いのもありがたいですね。

……しかし重い。870gです。「重さはある程度は慣れだ」と思っているタイプのわたしですが、片手で持っていると腕がプルプルします。

それに加えて、手に持ったときの筒が太いんですねェ。筒が太いせいで、フォーカスリングが遠いんです。片手で持ってフォーカスリングを回すのは辛いと感じました。両手で持っていれば、まぁ良いのですが、山の中では片手が埋まっていることもよくあります。

「片手での使い勝手が著しく悪い」というのがこいつを選ばなかった理由です。

 

それに比べてアトレックⅡは片手でもそれなりに操作できます。これは大きなメリットでした。

 

Nikon モナーク5 8×42を選ばなかった理由

これはかなり悩みました。

モナーク5は悪くないんです。むしろ、最後の最後までアトレックⅡと悩んだのはモナーク5でした。

(わたしにとって)アトレックⅡに比べてモナーク5の良いところは——

  1. 見え味は同等か、やや良し
  2. 軽い!
  3. Nikon好きだからモナークに憧れ

とまぁ、モナーク5に気持ちはかなり傾いていました。ただ1点。どうしても最後まで納得できなかったことがありました。

「実視界の狭さ」です。

わたしの中で候補に挙がっていた3モデルの実視界を比較してみましょう。

モデル名 実視界
Nikon モナーク5 8×42 6.3°
Vixen アトレックⅡ 8×42 7.5°
Vixen アスコットZR 8×42 8.2°

とまぁ、みごとに3モデルがまったく違う実視界なんです。当然、3モデルを実際に覗き比べてみました。わたしの個人的な感想ですが……

モナーク5(実視界6.3°) → せま!

アトレックⅡ(実視界7.5°) → ちょうどいい! 普通と感じる(つまり覗く前に期待した通りに見える)

アスコットZR(実視界8.2°) → まぁ、広くていいけど、まあまあって感じ。

たぶん、私の身体は7.5°くらいを「ちょうどいい」と感じるようです。それより狭いのはイヤですが、かといって広いアスコット(8.2°)を覗いても感動がないので、7.5°前後が適しているのかな? と感じました。

人によって6.3°くらいがちょうどいいと思う人もいれば、8.2°を心地よいと感じる人もいるのでしょう。人それぞれ。

わたしはどうしてもモナーク5の実視界の狭さに絶えられず、アトレックⅡに決めたのでした。

 

Nikon モナーク7 8×42を選ばなかった理由

モナーク7の8×42を選ばなかった理由は「価格」です。

それ以外にありません。

他に何も不満はありません。見え味良し。実視界も広い。そのうえアトレックⅡよりもわずかにですが、軽い。価格以外に欠点がないって印象です。

以上。

 

双眼鏡って楽しい

双眼鏡ってそれ自体が趣味になるくらいおもしろいものだと思いました。

庭に集まる鳥を見るのも楽しいし、山を歩きながら動植物を観察するのも楽しい。良い双眼鏡を使うといつまでも覗いていたくなるものです。

また、ネットでスペックだけ見ていても、絶対に良い双眼鏡にはたどり着けないと思います。低〜中価格帯の双眼鏡はなにかしら妥協しています。スペックに見えるところを妥協していればまだ良いのですが、手に持ったときの質感が悪い……とか、実際に覗いてみると像が歪んでる……とか、実物を目にしないと分からない点を妥協しているモデルも少なくありません。

ぜひお近くの双眼鏡を取り扱うお店に行って、比較してみてください。たとえ欲しいモデルが置いてなくても、いろんなモデルを覗き比べることで、どういう点に注意すれば良いか? あるいは自分は双眼鏡に何を求めているか? といったことが見えてくると思います。

山に行きたくなるなぁ〜。秋の山歩きを楽しみに夏を乗り越えたいと思います。

 


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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3件のフィードバック

  1. こんにちは
    ワタシはモナーク3だと思いますが結構旧型になりますね
    10×42 6° です
    10倍ないと2000m以上離れたクマを確認するのが難しいです
    毎日首からぶら下げ、常にすぐ取り出し見えるようにしています
    激しい仕様に、対物側レンズカバーはすぐに脱落 接眼側のカラー?(回せば伸びる部分)はむしれてガクガクです 修理出せば治ると思うのですが、そのまま使ってます
    かなりひどい使用状況ですが、しっかりした作りなので問題はないのですが
    あまりにズタボロに草臥れてきたので、新しいのが欲しいですね
    後輩はリューポルドの双眼鏡ですが、ニコンより少し暗闇に強い感じですが高いです
    次回には、モナークの安い奴探したいです。10倍は欲しいですね
    Vixenのもモノがあったら覗いて比較してみたいですが、田舎なのでお店に並んでそうもないので比較できない( ;∀;)  やっぱりニコンは通販なら外れなしって感じかなぁ~

    • 通販だとニコンは安心感ありますね〜。わたしも、もし実機を見ずに買うならニコンを買ったかもしれないです。実際、実機を見ても最後まで悩んでましたが……。

      ビクセンも良かったですよ。もし比較できる機会があればぜひ!