《銃のギモン》水平二連銃って結局どうなの?

最終更新日

父から「おれも最近は使えてないから、そのうち水平二連をやるよ」と言われました。

水平二連銃の見た目は好きだったものの、大物猟のことばかり考えていた自分としては本気で買おうと思ったこともなく、あまりリサーチもしていませんでした。

もらうのはあくまで数年後のことになると思いますが、いい機会なので水平二連銃について調べてみたいと思います。

水平二連銃とは?

まずはお手軽にWikipediaを見てましょう。自分的に「へぇ」と思った部分を太文字にしてます。

銃身を横に二本並べた物。上下二連に比べて機関部と閉鎖機構をコンパクトに出来る為、軽量で野外での鳥撃ちに適しているとされる。チョークは伝統的にフルとモデの組み合わせの銃が多く、左右銃身の撃ち分けが瞬時に行えるように引金が2本付いている「両引き」の銃が多いのも特徴の一つ(セレクター式1本引金の物は「単引き」と言う)であるが、それ故に近年のクレー射撃に供するのにも余り適していない。また、閉鎖機構が小型な分強度が弱く、重装弾を使用すると閉鎖機構に故障が発生しやすい事。全体的に軽量故に銃口の跳ね上がりが起きやすい事、単・両引き両方の需要に応える必要があり在庫管理に手間が掛かる事などから、最近では生産を行うメーカーは少なくなっている。

散弾銃一覧|Wikipedia

よくまとまっていますね。左右の銃身で絞りが異なるため、遠くの獲物を撃つときは絞ってある方(フル)で撃ち、近いときは絞りのゆるい方(モデ)で撃つことができるんですね。トリガーも2つついている銃が多いのも、瞬時にどちらの銃身を使うか選ぶためのようです。

ベーシックなシナリオで言えば、近くの鳥を撃つときはモデの銃身で撃ち、外してから二の矢を撃ちたいときは(鳥がすでに遠くに逃げ始めているので)フルの銃身で撃つってのが一般的でしょう。もちろんトリガーで左右の銃身を選べるので、いきなりフルの銃身から撃つこともできます。

更に言えば、左右で違う弾を入れることさえできます。片方はウサギ用の弾、もう一方はヒヨドリ・キジバト用の弾なんて具合に。

銃自体が軽いこともあり、山での鳥撃ち銃としてはすごくいい気がします。

しかし軽いために反動が強く、クレーでがんがん撃っていると疲れてしまうとも言われています。そうでなくても、上の引用文にあるように撃つときに銃身を触ることになるため、連続して撃っていると熱くて持てなくなるそうです。

さらに(どこで読んだか忘れてしまったのですが、知恵袋にもチラリと書いてあります)、水平二連銃は左右の銃身が平行についているわけではありません。50mくらい先で着弾点が一致するように、うっすらハの字になっています。大袈裟に言えば、左右共に内側に向いているということでしょう(たぶん)。

となると、左の銃身は右を向いていると言えるわけで、撃った際に反動で銃が左に流れ、右の銃身は同じ理由で右に流れるわけです。他の銃はみんな跳ね上がりはあっても、左右に振られるわけではないので、どうしても慣れが必要な銃なんでしょうね。

ここまでの話をざっくりまとめると……

射撃用としては上下二連に分がある。銃身の温度の問題は手袋をすればOK。反動は慣れの問題か? しかし、排莢は手動なので薬莢を散らかさなくていいし、元折れ式なので射撃場での安全性は(周りから見た安心感も含めて)高い。競技用と考えたら分からないですが、趣味の射撃に使うなら楽しい銃だろうな、と想像しています。

また狩猟用としては、鳥撃ちに良さそうですね。強度の都合上、あまり強い弾は使えないそうですが、鳥撃ちや兎撃ちで使う装弾であればダメってことはないでしょう。上下だとスラッグも撃てるのに対して、水平は無理なのかな? そういう認識です。

軽いのは持ち運びの上で最高に強みだし、折ったときの角度が浅いため、リロードが早いとも聞きました。当然、元折れ式なので猟場での安全性も高いですし、静かに装填できることも強みですね。

どんな銃がある?

水平二連銃については、FAR EAST GUN SALESさんのページが参考になります。

参考:水平2連銃について – 銃について

こちらのページ曰く、“現在大手で製造している所は、メルケルとベレッタだけになってしまっています、番外的にはスペインのAYA(アヤ)でも製造してい” るとのことです。

それぞれどんな銃か見てみます。

メルケルの水平

まずはメルケルを見てみましょう。一応、今製造されているもの、ということで公式サイトに載っている銃をご紹介します。

こちらは40E SXS 20GA。20番なんですね。へぇ。

かっこいい!! やっぱりクラシカルですね。彫刻の写真など、もっと沢山ありますので、ぜひリンク先に飛んでご覧ください。古き良き歴史ある銃って感じです。お値段は4595ドル。ざっと50万って感じ。これでもサイトを見る限り最安です

上は8000ドルを超えるので、日本で買えば100万はくだらないでしょう。

ひゃー。

しかし、水平二連銃は中古での値が安いとも言いますので、うまく探せばこういうかっこいい銃を安く手に入れられるかもしれませんよ。

ベレッタの水平

ベレッタは3種類の水平がサイトに載っていました。パッと見でカッコいいのはImperiale Montecarloですね。

よく見てください。セーフティにまで彫刻が入っています。

すごいなぁ。これ猟に持って行くのは気を使うなぁ。

でもこんな銃と愛犬を連れて、ヤマドリ・雉撃ちなんかしてたら、ロマンがあるんでしょうね〜。

我らがミロクは?

メルケルはドイツ、ベレッタはイタリアのメーカーですが、日本のメーカーはいかがでしょうか?

調べたところ、ミロクも昔は作っていたようです(まぁ、昔はどこも作っていたんだと思います)。

両引きの水平二連銃はFEというモデル名で出ていました。

公式サイトがありませんでしたので、中古で販売していたオザワ銃砲センターのミロクFEをご紹介しましょう。

かっこいいですね〜。すごくいいです。

さて、わたしにとっての水平は?

もらうのがいつになるかもわかりませんし、急ぐ気持ちもありませんが、こうして調べていて「自分でも活かせそうだな」という気持ちにはなりました。

自分の場合は競技としてのクレーはやらない(国体の選手になるわけではない、とか、選手として生きていく気はないという意味)ので、射撃場での遊びには丁度良さそうだし、時々は鳥撃ちもしたいと思っているので、そんなときに持ち出すには丁度いい気がします。

実際に持ったらどういう使い方になるのか、楽しみな銃ですね。

日本で情報を探すと趣味性が高い銃に見えますが、イギリスでは主流であえるとも聞きます。だから実用銃としても立派な形だと思うんですよね。

いつか手元に来たら楽しみたいと思います。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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