「ココは牧場か?」と思えるほど獲物の気配濃厚、しかし……
猟場歩きをこれまで何度もやってきましたが、今日歩いた場所はダントツで獲物の気配が濃厚でした。
しかし夏の茂みは深く、視界は悪く、なかなかうまくいきませんね。
より深く山に
エリアとしてはいつも来ている場所ですが、今日はいつも以上に奥まで入ってみようと思います。
単独で猟をするときは巻き狩りの人があまり来ない場所がいいんじゃないかな、なんて想像しています。静かに猟をやりたいし、お互い邪魔にならない方がいいかな、と。
わたしは巻き狩りも単独も両方やろうと思っているので、うまく両立させたいんです。そこで考えたのは「他の人よりも少し深く山に入ろう」ということ。若さゆえの体力を武器にして、他のハンターさんたちが来ない場所まで入りこんでしまえば、単独猟中に誰かに遭遇することもないでしょう。
もちろん他のハンターがどこまで入るかなんて想像するしかないので外れているかもしれませんが……。
これまで猟場歩きをしていて空薬莢を何度も拾ってきました。それらはすべて林道からそう遠くない場所。奥の方で見たことはありません。だから奥にはあまり人が来ないのではないか? まぁ、仮説でしかありませんがね。
山に入るなり新鮮な糞
山に入るなりすぐに糞を発見。結構鮮度が高い糞です。まだしっかり湿気も残っています。
そして、近くを見るとしっかりした足跡も。
シカでしょうね。向かっている方向を見ると、わたしが行きたい方向そのものだったので、この獣道を追うことにしました。
余談ですが、獣道って大まかに分けて、尾根を登る道と、尾根を横切る道に分かれる気がします。尾根を横切る道はいつまで行っても上に上がらないんです。
で、この足跡はまさに尾根を横切る道でした。だから、いつまでも標高が変わらない形で尾根を横に歩いていきます。
「今日はこの尾根の上にも行きたいからな」
と考えていたので、歩きながら “最近使われた形跡のある、尾根を上る獣道” を探しました。すると——
最近使われたってことではないと思うんですが、珍しく鹿の副蹄まで見える足跡を見つけました。鹿も猪も普通に足跡に残る蹄の後ろにもう2つ蹄があるんです。で、猪はその位置が低いため、けっこう普通に副蹄まで足跡に残ります。一方でしかは副蹄の位置が高く、足跡には残らないんですね。
で、上の写真はというと、地面が柔らかいときにキレイに足跡ができたおかげで、後ろの副蹄までちゃんと見えてます(矢印がそれ)。
なんか嬉しくなったので、この足跡が向かう先(尾根の上)を目指すことに。
獲物はいる、だけど……
登り初めて数分で自分のすぐ横10メートルくらいの場所でガサガサと大きな音が! 目を向けるとピョンと茂みに逃げ込むシカの白いお尻。そしてバサバサと茂みをかき分けて、しばらくしてピタリと止まります。山に戻る静寂……。
そのシカが居た場所は、わたしは歩きながら何度もチェックしていた場所です。
獲物探しに来ているのですから、スタスタと歩いているわけではありません。1歩、2歩、3歩、とゆっくりゆっくり、それこそ2〜3歩歩いたらちょっと立ち止まって周りを見るし、歩きながら絶えず「もしシカがいるとしたら、あそこかな? こっちかな?」と狙いを定めてアンテナを張っています。
そうやって何度も見た場所だったのに、気付くことができませんでした。それも10メートルくらい近付いているのに、です。
自分の未熟さを痛感するばかり……。しかし、上の写真のような茂みの中でシカの存在に気付くのは容易なことではありません。夏の猟の難しさを痛感しました(わたしは夏の単独猟はやりませんが……)。
尾根の頂上は牧場か?
尾根をひたすら上がります。尾根がピークを迎えます(上の写真)。標高は800mくらい。この辺で1番高い場所です。頂上って言うと、開けていて、視界がいい場所を想像してしまいますが、そんなことはありませんね。まぁ、陽が入る分、明るく感じますが。
さて、この場所は獲物の気配が本当に濃いのです。足跡、角の研ぎ跡、糞……、そして挙げ句の果てにまたシカがいました。尾根から5mほど下った場所でじっとわたしの様子を見ていたようで、尾根の下に向かって逃げていきました。シカの斜面を下るスピードはすさまじいです。写真を撮る暇さえ与えてくれません。
テン?
しばらく尾根を歩きます。多少上がったり下がったりしつつも、比較的平坦な尾根です。
ガサガサ、と数メートル先で物音がします。待っていると少しずつ近付いてきます。音を聴く限り、大きな生き物ではなさそうですが、姿が見えないのでちょっと怖いですね。姿を現すとこいつでした。
テンでしょうか? シャッターを切る音が聞こえているはずですが、あんまり気にしている様子もありませんでした。
どこかに向かっているのか、スーッと小走りで消えていきました。
待望のランチ
山歩きの楽しみは色々ありますが、なんといっても食事は醍醐味のひとつです。
暑い季節のヤマメシに関して、まだ「これだ!」っていうメニューがないのですが、この日はちょっと涼しかったので、インスタントラーメン+ミルクティー。こういうヤマメシの献立を考えるのって実は奥が深いんです。
最低限の道具を使い、最大限の効率で、手際よくうまいものを食べたい。そんなわけで、献立を考えるときは、その手順まで考えるわけですよ。
今日はまず湯を沸かし、沸いたら、その一部を紅茶にして、残りのお湯にラーメンと具材を入れます。これなら一気に飲み物と食事が出来上がるというわけ。
今日の振り返り
今日の猟場歩きは全部で6.5時間。1時間弱は昼食だったので、行動時間は実質5.5時間。で、移動距離は3.9km。1時間あたり700mくらいの移動ってことですね。
足音に注意し、周囲の動物の気配に注意し、できるだけ汗をかかないように、息を切らさないように歩くと、どうしてもこれくらいのペースになってしまいます。
未経験ながら、自分なりに「単独忍び猟をやっているつもり」になって歩いているので、言い換えれば実際に猟をするときもこんな感じのスピード感になるんだろうと思っています。
冬だと、日が出てから日没まで約10時間。休憩なんかも考えると5〜6km程度が移動距離の限界ってことですね。さらに言えば登山と違って「移動しなければいけない」ってことでもないので、状況によってはどこかで待ち伏せる、という選択肢もあります。
車が入れる林道沿いを起点に、5〜6kmの範囲が猟場の広さってことになるんでしょう。今後、地図を見るときの参考になりそうです。
また、動物のいる場所ですが、想像以上に頂上エリアに集まってますね。陽が入りやすく、暖かいとか、そういうことでしょうか? ん〜、まだ確信はありませんが、探ってみたい傾向ですね。
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ぼくが行くフィールドもこういうところが多いです。
ただ平坦で開けているところはシカからも発見され易く、バックストップが取れないことがあります。もしあるのなら尾根がたくさんあって山の起伏が激しいルートを探されて見てください。尾根の反対側、急な斜面の曲がり角等、遮蔽物があれば気配が悟られにくいです。近距離でバッタリ会える機会も増えますし、バックストップが取れやすいです。ただ撃ち上げ下ろしには注意ですね。平坦で開けているところを真っ直ぐ歩くのではなく、真ん中にこちらを狙っているスナイパーがいると思って平坦で開けているポイントを迂回しながらシカを探すと棒立ちしているシカを発見できるかもしれません。
たしかにわたしがシカを発見するような場所はバックストップに関して不安がないところが多いですね。
開けたところだと見つけても撃ちにくいし、向こうから気取られやすいと思うと、こういう猟場の方がいいのかもしれませんね。
猟期が楽しみです。