解体技術は最初はそこそこでいいと思う、という話。

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これから狩猟を始める人がブログや本を通じてぼくを訪ねてくれることが少なくありません。その中でかなりよく言われることのひとつが「解体ができるか不安なんですが……」というもの。

それに対して、ぼくはいつも「最初はうまくいかない部分もあるけど、自分が食べる分には問題ないくらいにはできるもんだから心配しないでいいよ」と伝えています。

そのあたりの感覚を書いてみたいと思います。

いきなり解体ができるわけない

そもそも解体をいきなり1人で上手にできるわけがありません。

裏返せば、最初から上手にできるわけがないのに、「うまくいくかな?」と不安になる必要もありません。というか、その不安感は無意味です。どうせうまくはできないんだから。

もちろん、中には強い意思を持って、誰かにびっちり教わって、いざひとりでやるときにはすでに中級以上の腕前を持っている人もいると思います。もちろんそれもひとつの道です。そして立派な道です。

でもね——釣りをするのに捌き方から学ぶ必要ないですよね。まずは釣る。それを捌いてみる。うまくいかない。本を読んだり、YouTubeを見たり、誰かに教わり、次に釣れたときに挑戦してみる。前よりはできるようになる。この繰り返しです。

家庭菜園でもそう——育ててみる。大量のトマトが採れる。「こんなに大量のトマトをどうすれば……」と途方に暮れて、トマトを使った料理のレパートリーを増やしたり、保存食のレシピを学んでみる。

狩猟も同じです。

獲る前から解体に頭を悩ます必要はありません(考えるな、という意味ではないです。それは後述)。手を動かしたことがない状態で、誰かにちょっと教わったところでどうせ身につきません。何度か自分でやってみて、苦戦してみてから学んだ方が身につくはずです。

 

実際の初猟までになにもしなくていいのか?

とはいえ、まったくのゼロ知識で、初の単独猟に挑むのはちょっと無謀かもしれません。

倒れた獲物を前に、たぶん途方に暮れます。

というわけで、オススメするのはYouTubeあたりで一連の流れだけは何度も見て覚えてしまいましょう。それこそ頭の中でリピートできるくらい見ておきます。細かい部分は気にしなくていいので、大きな流れだけで良いと思います。

簡単に言えば——

腹を出し、皮を剥ぎ、手足を切り分ける……という程度の解像度で良いでしょう。その際の細かい刃物の取り回しなどはたぶん動画を見ても覚えられない——というか、良く分からないと思うんです。ベテランの人が何気なく切り分けている部位が、じつはめちゃくちゃコツが必要で、初心者にはわけわからんことも多いです(ぼくは今でも迷ったり、ミスったりします笑)。

一度やってみると、そういう落とし穴というか、“じつは難しい” という場所を実感できるようになり、次に動画を見るときは「あーーーなるほど、最初にそこの腱を切って、回りの肉に切れ目を入れて、それからひねると取れるのか〜!」と一気に腹に落ちるはず。腹に落ちるためには何回か自分でやってみるという経験が必要なんですよ。

 

言うまでもなく、YouTubeである必要はありません。誰かに付いていって見せてもらえるならそれもありだと思います。むしろ、そっちの方がいい。でも、たぶんぼくに相談に来る人とか、困って、不安に思ってこの記事に辿り着いた人は、そうやって頼れる人がまだいないんじゃないかな。べつにいなくてもいいです。そのうちそういう仲間に出会うかもしれないし、出会わないかもしれない。そもそもそういうのが苦手な人もいます。

 

命をいただく上で、解体が下手じゃ失礼では? 獲物に感謝論に対して

この論を否定する気はありません。姿勢としてはとても大事だし、立派だし、ぼくだって思います。

でも、そこで大事なのは儀式より姿勢だと思っています。獲った獲物を前に学べば良い。誰だって最初は初心者で、下手くそ。当たり前です。そもそも解体の前に発砲技術だって未熟でしょう。もしかしたら狙い所が悪くて半矢にしたり、長く苦しめてしまうこともあるかもしれません。「それでいいよ」と言いたいわけじゃないですが、仕方ないんです。どんな動物だって、人間だって、学びのフェーズが必要です。

猫だって、食べるために狩る以前に、遊びとして狩り、獲物をもてあそぶこともあります。その遊びを通じて学び上達していくのだと思っています。人間だってそう。大事なのは学ぶ姿勢であって、最初から完璧にこなすことじゃないです。

 

なんとかなるもんだ

ぼくの実体験ですが、初めての解体は確かに不安でした。

事前に本や動画を見て学んだつもりで今したが、いざやると全然うまくいかない。でも、うまくいかないなりにも、ちゃんと食べる事はできましたよ。そりゃ変なとこで切っちゃったり、見てくれが悪くなったり、毛がついちゃったり……でもさ、自分が食べるわけです。

うまくいかなくて悔しいな〜と思いつつも、食べる。噛みしめる。旨い。それでいいじゃないですか。

いきなりうまくやる必要なんてないので、さっさと始めてみた方がいいですよ、という考えです。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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