狩猟を続けるということ

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ぼくは猟期としては6シーズンを終えたところです。

狩猟の世界には猟歴40〜50年という妖怪(褒めてます)がたくさんいるので、猟歴6年なんて小学校低学年っていう感じでしょうね。でもね、ちょっと業界から離れて客観的に見てみると、経験6年ってことは、22歳で新卒入社して28歳……。もうすぐ30歳になるわけです。ちょっとした役職がつく人も出てきます。ぼくも会社員をやっていましたが、ちょうど27~28歳くらいで一応役職が付いて、ちょっと給料が増えたのを覚えています。

また別の視点で見てみると——なにか趣味やライフワーク的な活動でどっぷり6年続けたとなると、まあまあ長いとも感じます。そればっかり考えて、首元まで漬かって6年ですからね。

何が言いたいかというと「それなりに続けてきたんだぞ」ってことではなく、「6年経った今、これからもまだまだ続く狩猟生活の長さにワクワクしている」ということです。この6年がこれだけおもしろかったのだから、次の6年、10年、15年はもっとおもしろくて、もっと学ぶことがたくさんあるんだろうな、と。

イチと狩猟で
イチと狩猟で

はじめは狩猟を始めることが重大

狩猟を始めようと思うと手続きも大変だし、準備も大変だし、未知の世界だし、不安と興奮と期待で昂ぶるものです。

ある種の「狩猟ビギナーズハイ」みたいなものがありますよね。

「おれは狩猟の世界に踏み入れるのだ!(ドヤッ」

みたいなやつです。ぼくもそうでした。わかるわかる。1年目くらいはそういう気持ちで取り組むんだけど、2年3年と過ぎていくと、猟歴が長い人たちと出会ったりして、「狩猟の世界の入口に立っただけだった」ということを痛感するわけです。

これは結婚みたいなものかもしれませんね。始めはプロポーズやら、親への挨拶やら、結婚式やら、そういうものが重大に思えるんだけど、本当に重大なのはそれから(建前上は)一生続く結婚生活の方がはるかに重く重大で難しいわけです。続かない人も多くて、厚労省のデータを見ると3人にひとりは離婚するらしいですよ(日本の夫婦の離婚率は35%!実態と原因・離婚回避のためにできること)。

狩猟もそう。狩猟免許や猟銃の所持許可の手続きも大変ですが、家族の理解であったり、賃貸だと猟銃の保管場所で苦労したり、猟友会の人間関係や銃を持つコトの重さを感じたり、「自分に動物を殺め解体することができるだろうか」と悩んでみたり……。まるで結婚式のような気分で初猟を迎え「ああなんて素晴らしいんだ」と思うんですが、2度目3度目と猟を重ねていくと、狩猟生活というものは途方もなく長く深く静かなものなんだと気付かされたりもするんです。

 

続けるということ

始めの頃は獲物が1頭獲れたらそれだけで心躍り昂ぶり目をギラギラさせたものでした。

今でも獲れれば嬉しいけど、やっぱり1年目に比べれば気持ちも落ち着き、淡々とコトを進めることができるようになりました。

ここまで書いて思うんです。

「ああ、ぼくは何を言いたいのだろう」って。書きながら形のないナニカをどうにか形にしようともがき、でもうまくいかず考えあぐねているわけです。

結婚式がゴールではなくスタートであるように、狩猟も出猟し始めてからがスタート。どうやって始めるかが大事なのではなく、どう続けていくかが大事。どう始めるかよりも、どう続けていくか、それを大事にしたいな、って思うんです。

いま続けている人は、それだけで偉い。獲物が獲れようが、獲れまいが、狙った獲物を獲れようが、偶然任せで獲れようが、続けている人は偉い。狩猟は他人と比べるものでもないと思ってます。ベテランから学ぶことはある。だけど、わざわざ他人と比較して「あの人より獲れていない」「でもあの人よりは獲れてるぞ」とか卑下したり誇ることもない。

淡々と続けたい。

そういうこと。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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