ドッグナビを使うかどうか悩んでいるというだけの話

最終更新日

猟犬を飼う、犬を猟に連れて行くとなって、迷わずドッグナビを買いました。

ドッグナビがあれば犬がどこに行っても(電波が届く範囲であれば)位置が分かります。ああなんとすばらしいことか。犬が行方知れずになるのは本当に嫌だし、探すのも大変だし、万が一そのまま見つからなくなったら、と思うと気が滅入るので、使わないという選択肢は頭に浮かびませんでした。

犬を実際に猟に連れて行くまでは——。

いるかどうかは猟風・猟芸によるかも

あくまで「いまのところ」という話ですが、うちのイチ(アイヌ犬)はぼくから離れていくことはありません。

いまはドッグナビをつけることが多いので、実際にどれくらい離れているかを把握できるのですが、1番離れても100m程度。実際には50m以内で行動することがほとんどです。

シカを見つけて追いかけていったこともありますが、100m程度で諦めて帰ってくるし、行った道を帰ってくるので、その道上にいてあげれば確実に戻ります。

はっきり言えば、今のところ「ああ、ドッグナビがあってよかった」と思ったことは1度もありません。

それどころか、どうしても頭をよぎるのが、いつの日かヒグマと対峙するとき、あのアンテナ、重いGPS発信器、太めの首輪が邪魔になるのではないか、という気持ちです。ヒグマの爪が首輪に引っかかれば1発で捕まります。杞憂なのかもしれないし、現実的な悩みかもしれないし、なんとも言えません。

このあたりは犬の猟芸がハッキリすれば、適切な判断ができるように思います。

たとえば獲物を追ってどこまでも行っちゃう犬ならばドッグナビは重宝するでしょうし、獲物に飛びかからず吠え止めするならば、首輪が邪魔になるリスクも小さいでしょう。でも真逆で、獲物を深追いしないならドッグナビはほとんどいらないと言えそうだし、獲物に噛みかかるならば、そしてその相手がヒグマなら、ドッグナビはむしろ邪魔、という発想になるかもしれません。

経験が浅いので、そういった判断の土台がなく、フワフワと悩んでいる感じです。

 

葛藤の日々

まぁ、いまは毎回ドッグナビをつけています。

 

いまはぼくから離れては行かないけど、まだ生後9ヶ月……大人のイチがどうなるかは未知数。ある日獲物を追ってすっ飛んでいって、遠くで獲物を止めることがあれば、ぼくは駆けつけていかなければならない。そのときドッグナビは重宝する。一方で、ある日ヒグマを止めて、イチが噛み止めモードに入り、ヒグマと対峙することがあれば「ああ、ドッグナビをつけなければ良かった」と思う日もあるかもしれない。

そんな答えのない葛藤を毎回しています。

 

もちろん昔はこういうアイテムはなかったわけです。「だからなくてもいい」と言ってしまうのは乱暴だとも思います。それを言い始めたら「昔は弓矢で猟をしていた」みたいなところまで遡ってしまい、キリがない(それはそれでおもしろい思考実験ですが)。ぼくとしては現在与えられた選択肢の中で自分にとって最適な答えを探すことが、真摯な狩猟との付き合い方だと思っています。

最初はドッグナビをつけることが自分にとって最適に思えたのですが、最近は「外してあげたいな」と思うことの方が多くなっています。

まだ迷う日々は続くでしょうね。


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狩猟やってます。ひとりで歩き獲物を追う単独忍び猟が好き。2022年からはアイヌ犬のイチを連れて一銃一狗に挑戦します。狩猟系ブログ《山のクジラを獲りたくて》運営。狩猟系の本を集めるのが趣味。雑誌『狩猟生活』『ガンズ&シューティング』に寄稿し始めました。 ヤマノクジラショップ始めました:https://yamanokujira.theshop.jp

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